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谷山浩子 猫森集会2016のDプロは新居昭乃さんとふたりで時を閉じこめる秘密の花園

※この記事は、過去のブログからの転載です。
初出:2016/09/26


イベント名:猫森集会2016~Season 15~ Dプログラム
ゲスト:新居昭乃(ピアノ、ボーカル、その他)

なぜか今回の猫森だけ「~Season 15(フィフティーン)~」がついてるんですけど、これは浩子さんの大好きなドラマ「相棒」を真似たのだそうです。
でも「相棒」より猫森集会のほうが1ヶ月早いから先輩です!と、浩子さんが得意げに語ってました。

今年の猫森、私はC2とD1の参加でした。
C2はオールリクエストなので後回しにして、先にD1(Dプログラム1日目)の感想を書くよー!
オールリクエストは記憶に残しにくいんだわ…。

いつものようにメモとか一切ないから(セトリの画像だけ)、まちがってたらごめんね!
今回は例年よりも簡潔に書くでござる。いってみよー。


セトリ

最初の曲。浩子さんと石井AQさんのふたりでスタート
・ポンピィ・クラウンの片想い

鳥の歌/岩男潤子さん提供曲コーナー。またの名を岩男鳥(いわおどり)
・鳥籠姫
・ピヨの恩返し

夢の歌
・猫のみた夢
・夢

新居昭乃さん登場。昭乃さんの歌を拝聴するコーナー
・時の歌

昭乃さんの歌を3人で
・金色の目
・仔猫の心臓

浩子さんの歌を3人で
・不思議なアリス
・クルル・カリル(扉をあけて)
・MOON GATE

この日のために浩子さん・昭乃さんふたりで合作した新曲
・秘密の花園

浩子さんの歌を3人で
・雨のアタゴオル
・悪魔の絵本の歌
・花の季節 屋根の上

お別れの曲
・風になれ~みどりのために~

アンコール
・トライアングル


曲の全体的な感想

浩子さんがピアノを弾く場合もあれば、昭乃さんがピアノを弾く場合もあり。
そんなわけで、何度かトークの合間にピアノのイスをスタッフさんが交換してはりました。人によってイスの高さ、ちがうもんねぇ…。

3人のコーナーは、特に浩子さんと昭乃さんが輪唱になったり、数小節おきに交互に歌ったりしてて、すごく不思議な雰囲気がありました。

「クルル・カリル」では昭乃さんが手元の小さな鉄琴を叩きながら、浩子さんと一緒に歌ってはったよ。

今回、私の席は16列目(昭乃さんの背面の前から3列目)でした。
ちょうど昭乃さんの斜め後ろあたりだったので、昭乃さんの譜面の文字が読めてしまいました。

だから、「次の曲はあれか」ってわかっちゃった。
譜面のタイトルがけっこう大きく印字されてたのよねー。明朝体だった。コーラス曲の場合はタイトルのあとに(コーラス)って書いてあったよ。


腰が低すぎる

終始あまりにも腰が低すぎる昭乃さん。ここまでいくと、むしろ卑屈では…。
(京極夏彦『絡新婦の理』の織作茜を思い出します)

昭乃さん:「私、今回のゲストのお話が来た時、家の中で土下座しました」
浩子さん:「………今までの猫森のゲストの中で1番、腰が低いです」

昭乃さん:「だってそんな、恐れ多い…」


腰が低いと見せかけて

自分が歌う時ですら「僭越ながら…」と前置きせずにはいられない昭乃さんですが、こんな一面も。

昭乃さん:「ポプコンのあと、世界歌謡祭に出させていただいて…」
浩子さん:「その時、お会いしましたよね」
昭乃さん:「?!」

…浩子さんに昔会ったことを覚えていない。
(他にももう1回会ったはずだけど、やっぱり覚えてない昭乃さん)

浩子さん:「私は世界歌謡祭を見に行ってて、昭乃さんを誰かに紹介してもらってお会いしたんですけど」
昭乃さん:「(あわわわ)」

浩子さん:「その時、昭乃さんは『さっきフランス人にフランス語で話しかけられて、でも私はフランス語ができなくて、フランス語の歌を歌ってるのになんであなたはフランス語ができないの?って怒られた』って話をしてたんですよ」

昭乃さん:「?!!!」

恐らく初対面であろう先輩アーティストを紹介された時、そんな愚痴っぽいことを言ってしまった若き日の昭乃さん。

浩子さん:「すごい子だなと思いました」
昭乃さん:「な、なんて甘えたやつなんだ……!!」

過去の自分にビンタを食らわしたいという勢いで恐縮しまくる現在の昭乃さん。

浩子さんに会ったことを覚えていないのがショックだったのか、「明日(D2)までに必ず思い出します!」と連呼してました。
そ、そんな気合いで思い出せるものなのだろうか…。

浩子さんは、
「なんか私、いじめっ子みたい…」
「(昭乃さんに忘れられてるし)私のほうが立場強いと見せかけて、実は、弱い…?」
とコメント。


腰が低いと見せかけて、その2

今回の選曲について、
「ゲストが昭乃さんなので、やっぱりかわいい感じの歌が多くなりましたね」
と語る浩子さん。

すると、少ししてから昭乃さんが言いだした。
「……あ、このあとの曲がかわいいって意味だったんですね。私、自分のことを言われているのかと…すみません…」

浩子さん、笑顔でつっこむ。
腰が低い人って、自分のことを好きな人が多いよね。私もそうなんだけど」

あるあるあるあるー!


腰が低いゆえの発想

昭乃さんの歌を3人で歌うコーナーでは、「私なんぞが歌わせて申し訳ない…」的な態度を崩さない昭乃さん。
昭乃さんがピアノとメインボーカルだったんですよ。

浩子さん:「でもその割に、昭乃さんから『こことここ、コーラスで歌って下さい』ってたくさん指示がありました」

昭乃さん:「それは、お客さんは谷山さんのライブにいらしてるから、谷山さんの声を聞きたいだろうと思って…」

浩子さん:「いやいや、皆もう私の声は聞き飽きるくらい聞いてると思うので」

昭乃さん:「聞き飽きてないから、ここにいらしてるんじゃないですか!」

おお、昭乃さんがツッコミ入れたぞ。


「時の歌」について

「時の歌」はスタジオジブリの映画『ゲド戦記』のために、昭乃さんが依頼を受けてつくった曲だとか。
しかし、世に出ているバージョン(作詞:宮崎吾朗と新居昭乃の合作)とは異なり、ライブで歌われたのは昭乃さんひとりによる作詞のものでした。これが原型だったらしい。

昭乃さん:「私は手嶌葵ちゃんが歌うと聞いていたので、かわいい女の子のイメージで作詞してしまったんです。けど吾朗さんは、強い、鷹のイメージでつくってほしかったみたいで」

それ以上の詳しい内容は、オフレコなので書きません。

この昭乃さんバージョンの歌詞は、どこの音源にも収録されていないらしい。えー!もったいないよ!


「仔猫の心臓」について

歌い終わったあと、「いい歌ですよね」と言う浩子さんに、昭乃さんはこう答えた。
「実話です」

浩子さん:「えっ?」
昭乃さん:「前に住んでた団地での話なんです」

浩子さん:「でも子どもたちが出てきますよね、歌詞に」
昭乃さん:「あぁ、なんか私、その団地の子どもたちと異様に仲がよかったんです」

浩子さん:「じゃあ花輪も…」
昭乃さん:「一緒につくりました」


「秘密の花園」について

せっかくふたりでライブをやるから、この日のために、ふたりで新曲をつくっちゃいました!と告げる浩子さん。
どよめきの起こりかけていた客席が、おおー!とざわめいて、拍手に包まれる。

作曲は新居昭乃、作詞は谷山浩子。
昭乃さんのピアノ演奏でお届けします。

今回のDプロのテーマが「昭乃と浩子の秘密すぎる花園」だったので、曲のタイトルも「秘密の花園」にしたそうです。
(ライブのテーマは毎回かなり適当に決めてるから、特に意味はないらしい…)

浩子さん:「曲は薄明るい…明るい曲だったんですけど、私が歌詞をつけたら暗い歌になってしまいました」

ありがち。

昭乃さん:「浩子さんに曲を送ったら数時間後に歌詞が返ってきたので、びっくりしました」

AQさん:「仕事が早い!」
浩子さん:「曲がよかったんです。すぐにイメージが湧いてきて」

浩子さん:「でも暗い歌詞になって…人を殺す歌にしちゃってごめんなさい」
昭乃さん:「いえ………………そうじゃないと(低い声)」
浩子さん:「?!」

※昭乃さんの答えは「全然問題ないぜ。むしろ人を殺すくらいの歌詞でないと駄目だぜ」という意味合いを感じさせたので、浩子さんが仰天してしばらく固まっていたのです。

この歌がね、本当にすばらしかったんですよ。
最初の数小節で、私もぶわーっとイメージが湧いてきて、なんかそれっぽい絵が頭の中で展開してました。夜明けのバラの花が見えた…。

歌詞は忘れちゃったけど、時の止まった花園に男の子を閉じこめる感じの歌だと思って下さい。
確か出だしは「明けない夜明け」とか「明けない明け方」だった気がする。

曲のパワーでイメージがドバドバあふれてしまったので、歌の真ん中あたりは全然記憶にないです…脳内ジャックされてました…。

終演後のアンケートで、
「浩子さんver.と昭乃さんver.とおふたりのver.と、3パターンつくって、早いとこ収録してリリースして下さい」
としつこく書いたよ。だって全部聞いてみたくない…?


親戚のおばちゃん風味

アンコールで出てきた時、いつものようにグッズの宣伝をする浩子さん。
その後、AQさんと昭乃さんも宣伝のコーナー。

昭乃さんは、宣伝していいんでしょうか…という遠慮しまくりモードながらも、新居昭乃グッズの長い長いリストを読み上げる。
浩子さんに「多くない?ライバルだ!」と言わしめる始末。

今回は谷山浩子のグッズで「のこちゃんビーズクッション」が4種類あったんですよ。

AQさんがそのクッションを頭の上に載せて、手を離して落とさずにいられるかという遊びをやり始める。
浩子さんに2回くらい注意されてました。

で、AQさんがやめたと思ったら、今度は昭乃さんがビーズクッションを頭の上に載せ始める。
「今度はお前か!」みたいな感じで、浩子さんにたしなめられてました。

友達いわく、「浩子さん、子どもをたしなめる親戚のおばちゃんみたいだったね!」


美しい世界だった

今回のライブ、いやーすばらしかったです。広がる音と声の世界。すてき。

でもさ、そういうのってブログでは表現できひんのよね。言葉じゃないんだもん。
トークは覚えていれば、いくらでもブログに書き残せるんだけど…。

私が新居昭乃を知ったのは、20代の頃に行ったファンタジーロックフェスでした。
谷山浩子とからくり人形楽団が目当てで行ったら、フェスなので谷山浩子の前に何組もステージがあったんですね。

その中に新居昭乃もいて、「Voices」などを歌っていた。多分、最後は「WANNA BE AN ANGEL」だった。
「これはすごい」と思って、家に帰ってからすぐiTunesでアルバム買ったんですよ。

だから今年の猫森のゲストが発表された時、Dプロは絶対に行かねばと思ってました。
本当に行ってよかったです。

ただ、自分で歌ってみるとわかるんですけど、新居昭乃って意外とキーが低いんですよ。
歌のイメージに反して、意外と低い。
今回のライブでも、「やっぱり低いんだな」って思いました。浩子さんのほうがずっとキー高いんです。

のびやかに広がっていく浩子さんの高いキーの歌声と、かすかな炎がゆらめくように(浩子さんに比べると絞り出すような声で)生まれたり消えたりする昭乃さんの歌声。

もっぺん行きたい。