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谷山浩子 ソロライブツアー2018 京都、花園が灰になる不協和音

イベント名:
谷山浩子 ソロライブツアー2018 京都

日時:2018年10月26日(金曜)18:30〜21時頃
会場:京都文化博物館 別館ホール

この会場は自由席のため、チケットの整理番号順に入場します。FC先行でとったチケットがかなり早い番号だったので、2列目の中央付近に座ることができました。

セットリスト

まっくら森の歌

今日は雨降り
鳥籠姫

別の人
カントリーガール

見えない小鳥
SORAMIMI
ガラスの巨人
花園の子守歌 つづき

(休憩)

猫のみた夢

ブルーブルーブルー
青い鳥

夢のスープ
王国
アトカタモナイノ国

きみの時計がここにあるよ

アンコール:約束

ダブルアンコール:おもちゃ

「今日は雨降り」「鳥籠姫」は、「京都」にちなんだ選曲。「きょう」で始まる歌は1曲だけだったそうです。

「今日は雨降り」は「雨の国・雨の舟」のイメージのもとになった歌だとおっしゃってた気がする。17歳の時につくった歌。当時の浩子さんは年上好きだったため、10歳以上は年上でなきゃ!みたいなところがあって、年上のイメージで歌詞にタバコが出てくるようです。

浩子さんいわく「私が子どもの頃は今よりタバコが市民権を得ていたというか。昔は電車の中で平気でタバコ吸ってる人とかいましたよね。私はのどが弱いので(公共の空間が禁煙になってきて)最近はすごく生きやすくなりましたが、駅とかでものすごく狭い喫煙スペースを見たりすると『檻? 家畜小屋……?』って思ったりします」

続く「別の人」「カントリーガール」は「別館」にちなんだ選曲。「文化博物館」を曲名でつなげるのは難しかったようです。

「別の人」は映画「ゲド戦記」への提供曲。割とうまくできた歌とのこと。今回のライブは平日なので当日券も出ていたし、もしかしたら普段ライブに来ない人が飛びこみで来るかも、と考えて昔からの定番である「カントリーガール」を入れたそうです。4番までのバージョン。

前半最後の4曲は恒例のリクエストコーナー。チケットの半券でくじ引き。リクエストしたくない人はパスしてください、友達にゆずっていいよとか言うと友達を大勢つれてくる人がいるかもしれないので……という仕組みに変わりました。3番目に当たった人が後半で出てくる予定の「ブルーブルーブルー」をリクエストしたためにドボンとなり、リクエストに当たる人がもうひとり増えた。

最後のリクエストに当たった人は常連だったため、曲名を聞く前から浩子さんが「また歌いにくいやつとか言われそう……」みたいなことをおっしゃって客席の笑いを誘ってたんですけど、案の定「花園の子守歌 つづき」。

「本当にそれでいいんですか? せっかく当たったのに短い歌なのでコスパ悪いですけど……」と念を押す浩子さん。歌う前にも歌詞カードをじっと見て「大丈夫かな……」といぶかしむ。

※浩子さんは譜面ではなく歌詞カードを見て歌う人。歌詞は覚えられないけど曲は覚えているから、とのことですが、マジでどっちも覚えていないことがあります。そういう時は即興の作曲あるいはアレンジになるため、客席にはウケがいい。

薄々そんな予感はしてたけど、「花園の子守歌 つづき」は即興アレンジになりました。ほとんど新しい曲になってた。あの不安をあおる不協和音、なんだったんだろう。見事なまでに歌のリズムとずらしたところで鳴らされる不穏な音……。

音響さんと照明さんに曲の説明をする時、浩子さんは「魔女の花園にいて、きれいな花園だと思っていたものが本当はちがってたという歌」みたいな説明をされてたんですけど、あのアレンジだと花園の魔法が解けてすべて灰になりましたって感じ。

浩子さんが舞台を降りて休憩に入ったあと、客席からは「いやーすごかったね。あれが聞けただけでもう最高。めちゃくちゃコスパよかった。もっぺんやれって言われても弾けないよあんなの」と笑いが起きていました。

後半はかわいい歌でスタート。わぁい。と思ってたらその次の選曲の理由がなかなかにアレ。今日は何の日か調べたら「青汁の日」だった。という理由で「ブルーブルーブルー」「青い鳥」です。青汁かよ!

浩子さん、「私も青汁2箱くらい家に余ってて……だってあれあんまりおいしく……ってディスったら駄目ですね! 青汁はいいものだ」と最後はとってつけたようなフォローを入れ、青汁を飲んで健康になりましょうと客席に呼びかけながら歌います。

「ブルーブルーブルー」って、アルバム『空飛ぶ日曜日』では「BLUE BLUE BLUE」になってたから私もそっちで覚えてるんだけど、『シングルコレクション』では「ブルーブルーブルー」になってます。さわやかで割と好きな歌。

30代後半からあまり漫画を読まなくなったんだけど、電子書籍(恐らくKindle)の影響で再び漫画をたくさん読むようになった浩子さん。電子書籍は場所をとらないため、巻数の多い作品を好んで読んでいるそうです。『名探偵コナン』『王家の紋章』を最新巻まで読み進め、現在は『キングダム』を攻略中。

『キングダム』のあらすじを説明しながら、浩子さんはこんなことを言い出します。「少年漫画の主人公って、皆そんな感じなんですよね。向こう見ずで突っこんでいっちゃう。馬鹿。少女漫画の主人公って、女の子がこんなふうになりたいって思うタイプだと思うんですけど、少年漫画もそうなんですか?(客席に問いかける)」

というのも、浩子さんは子どもの頃から軍師タイプが好きで、賢くて眼鏡かけてるタイプが好きなんだけど、そういう子は少年漫画ではいつも脇役だし、少女漫画でも主人公がくっつく相手じゃない。「世間のそういう風潮に不満です」とのことでした。

眼鏡をかけてて、頭を使うタイプの男の子の主人公……『ワールドトリガー』『3月のライオン』あたりならいけるんじゃないでしょうか?

特に『ワールドトリガー』はジャンプ漫画なのに主人公が馬鹿じゃないし、秘められたパワーもないし、バトルの戦略を立てたり人と交渉したりすることに能力を発揮してるし、眼鏡をかけてます。2巻の表紙の人です。
(Amazonのリンクがうまく貼れないnoteのエラー、いまだに直らないのでURLそのまま貼っときます。書影はリンク先で見てくれ)

https://www.amazon.co.jp/dp/B00GN57EVO/

眼鏡の男性が好きだと力説したのち、「『キングダム』がとても面白いので、今年のソロツアーは「王国」を歌いまくろうと思います!」と宣言して客席を笑わせる浩子さん。

ただし、京都ライブでの「王国」が出てくるコーナーは「小さい人にリクエストされて意外だった曲シリーズ」です。ライブで小学校低学年くらいの子にリクエストされて、個人的に意外だった曲が「夢のスープ」「王国」「アトカタモナイノ国」。

小学校低学年の頃の私は「アトカタモナイノ国」とかけっこう好きだった気がします。私も当時「愛をもういちど」が好きだったし。でも「王国」は怖かったかもしれないな……。「まっくら森の歌」が怖すぎてアルバム聞く時に飛ばしたりしてたし……。

このコーナーを歌い終わった浩子さんの感想が「…………重い」でした。

お別れの曲は「きみの時計がここにあるよ」。実際に机の上にあった時計を見ていたら生まれた歌。励ましソングのひとつです。

アンコールの「約束」は、浩子さんの曲の中では数少ない「披露宴で歌える歌」。実際に将棋の棋士の披露宴で歌ったらしい(お名前忘れちゃった)。披露宴では「約束」と、新婦さんのリクエストで「MAY」を歌ったそうですよ。

「約束」については浩子さんいわく「ラブラブな人はその人のことを思い浮かべながら、ラブラブな相手がいなかったり、いても最近微妙だなっていう人は『こうなったらいいな』と思いながら聞いてください」

歌を聞きながら、自分の恋愛や結婚に運命とか前世からの約束とか言われるのはどっちかっていうと不快だし嫌だな、私の中では運命という言葉は2次元で使うものだなーと思ってました。

ダブルアンコールは浩子さん、割とすぐに、ものすごい勢いで登場。「小さい人にリクエストされて意外だったシリーズで他にもあったなと思ったので、それを歌おうかと……(客席からの拍手)……本当にいいですか? 怒らない?」

そして歌われたのが「おもちゃ」。そのお子さんは曲名だけ見てリクエストしたわけではなく、実際にその歌が好きでリクエストされたみたいだった、とのことです。

終演後、スタッフさんが「本日は平日なので、施設側に無理をいってギリギリまで開けてもらっています。閉館するので早めに出てください」と呼びかけていて、なるほどそれで浩子さんは急いで出てきたのかなぁと思いました。

以前は「ダブルアンコールがいただけると思ってなかった、時間がないので歌えないけどあいさつだけ……」みたいなこともあったけど、最近は想定に入れて対応していただいてる印象を受けます。ありがたき。

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