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股関節形成不全 (HD)

大型犬の飼い主にとって悩ましい問題の一つに股関節形成不全 (Hip Dysplasia [ヒップ・ディスプレイシア]、略してHD)があります。

股関節は、ボール状になっている大腿骨頭と、骨盤の外側にある寛骨の中央部のソケット状になっている寛骨臼で構成されています。通常、このボール(大腿骨頭)とソケット(寛骨臼)はしっかり噛み合って滑らかに動くのですが、成長期に骨が正常に形成されない、あるいは関節が緩むなどにより、骨同士が長期にわたり擦れたり削れたりして変形すると炎症を伴う痛みが発生します。これが股関節形成不全(症)です。

犬の骨盤のレントゲン写真


具体的な症状としては、起き上がって歩き始める時にぎこちない歩様になる(少し歩くと馴染むように軽快しても、これは典型的な関節炎の症状)、散歩の途中でへたり込む、長い距離を歩けなくなる、高い場所や車に飛び乗らなくなる、階段を上るのを嫌がる等の行動や動作の減退が見られます。さらに悪化すると、歩くときに足を引きずったりフラついたりする跛行が認められるようになり、犬の生活の質が急激に低下します。この段階に至ると、楽しいはずの愛犬との日々が、制限だらけの気疲れするものになると言っても過言ではありません。

股関節形成不全は1930年代に米国で報告されてから関心を集め、数多くの研究・報告がなされています。その発症の原因は70%が遺伝的なもので、残り30%が栄養摂取・運動量などの生育環境に由来するという見解は、ほぼ確立されたものになっています。

股関節形成不全発症の7割が遺伝的な要因によると言われても、その遺伝子は未だに特定できていません。(そもそも股関節形成不全の原因遺伝子なるものが存在するのかも分かっていません) 大型犬のブリーダーたちは、彼らの伝統的な手法、すなわち、優れた形質を選抜し好ましからぬ形質を排除するという手法に従って、この股関節形成不全の発症リスクを下げるべく交配を行ってきました。つまり正常な股関節を持つオスとメスのみを選択的に繁殖させて股関節形成不全の発生を減らすというものです。よって、この目的を達成するために股関節の状態を正確に診断・評価する方法を生み出す必要性が高まってきました。


このようなニーズの高まりを受けて、現在、確立され実施されている股関節の診断・評価法のうち国内で利用可能なものを紹介します。いずれの診断・評価法も、犬という集団全体における遺伝的要因による股関節形成不全の発生を減らすために、繁殖に資するスクリーニング(選考)の情報を提供することを標榜しています。

OFA (Orthopedic Foundation for Animals)

OFAとは1966年に創設された米国のミズーリ州に本拠を置く「動物整形外科財団」のことで、犬の股関節のレントゲン検査結果を評価し、その情報をデータベース化して、遺伝由来の疾患の発生率を下げるためのプログラムの普及や助言を行っています。

具体的には、2歳齢以上(骨格が成長途上にある2歳齢未満の場合は予備評価となる)の犬のレントゲン写真を、撮影した獣医師を通じてOFAに送付して評価を依頼します。結果はExcellent (優秀)、Good (良好)、Fair (普通)、Borderline (境界線)、Mild (軽度)、Moderate (中程度)、Severe (重度)の7段階で判定されます。Fair (普通) 以上であれば正常範囲内で、Mild (軽度) 以下であれば股関節形成不全と考えられます。

ただし、この判定についてはレントゲン撮影の際の犬の姿勢や角度によっては評価を上げることも可能であったり、評価者によって結果がバラつくこともあったりするという問題が指摘されています。

Penn HIP (University of Pennsylvania Hip Improvement Program)

Penn HIP (ペンヒップ)とは、1993年に米国ペンシルバニア大学獣医学部で開発された犬の股関節の検査方法です。犬を深い鎮静下に置き、異なる角度から3枚レントゲン写真を撮影し、Penn HIPに提出して評価を依頼します。この時、犬を決められた位置に置き特殊な用具を使って撮影するため、研修を受けたPenn HIP認定医が撮影を行う必要があります。

Penn HIPは、実際の股関節の弛み度合いを測定する客観的な方法で、股関節形成不全のリスクを正確に予測すると言われています。事実、OFAによって「正常範囲内」と評価された犬の80%が、Penn HIPにより股関節の緩みが指摘されており、将来、変形性股関節症(股関節形成不全)を発症しやすいことが判明しています。また、Penn HIPはOFAと異なり、2歳齢まで待たなくても16週齢から適用でき、股関節形成不全の早期診断・治療を可能にしています。

Penn HIPの評価は、DI (Distraction Index – 伸延指数とでも訳すのでしょうか) 呼ばれる指数で示されます。このDIは股関節の緩み度合いを、大腿骨頭の中心点と寛骨臼の中心点の距離を大腿骨頭の半径で割ることによって算出される数値で、0~1の間の値を取ります。DIは小さい方が股関節の緩みが少なく健全であり、0.3を超えると変形性関節症を発症するリスクが高いことを意味します。

因みに、大型犬であるラブラドール・リトリーバーの平均DIは0.49、ゴールデン・リトリーバーは0.55、フラットコーテッド・リトリーバーは0.48です。さらに、超大型犬に分類されるグレート・デーンの平均DIは0.40、バーニーズ・マウンテンドッグは0.54、ニューファンドランドは0.58、セントバーナードは0.64で大きい犬種ほどDIが悪化(増大)する傾向があります。

日本動物遺伝病ネットワーク (JAHD Network)

日本動物遺伝病ネットワーク (JAHD Network、以下JAHD) は、2003年7月に設立された、レントゲン検査に基づき、犬の関節に関する遺伝性疾患の診断、評価、登録、データベース管理を行う日本の特定非営利活動法人です。

具体的な股関節の診断法や評価結果のスコアポイントの見方の詳細はJAHDのホームページを参照してほしいのですが、かいつまんで言うと、かかりつけの動物病院でJAHDの指定した方法で犬のレントゲン写真を撮影(費用は各動物病院の規定による)してもらって、JAHDに送付し評価を依頼すると同時に必要な料金を振り込みます。なお、評価の対象年齢は12ヶ月齢以上です。

その後、三週間程度で診断結果が送られてきます。評価は左右の股関節のスコアポイントが、それぞれ0~45までの数字で表記されています。点数が低いほど優れた股関節で、点数が高いとそれだけ股関節形成不全の特徴的な所見が多く存在していることを意味します。診断結果には、レントゲン写真で明確なものについてのみ「股関節形成不全症の所見は認められます/認められません」とのコメントが付け加えられます。よって、このようなコメントが付け加えられていない場合はスコアポイントで判断を行なっていくことになります。

片側の股関節のスコアポイントの見方の例
(日本動物遺伝病ネットワークのホームページより)


JAHDはOFAのように股関節のグレード分類を行わずポイント制を採用しています。JAHDによれば、これは、股関節の評価に関しては「完全に正常」と「完全に異常」の間にグレーゾーンがあり、そこの股関節形成不全による関節炎の程度は、遺伝的要因に加え様々な環境的要因(肥満、加齢、運動量など)の影響を受けるため、ブリーダーを含む飼い主(かかりつけ獣医師)の総合的な判断に委ねる、ということになろうかと思います。

因みに、我が家の初代リトリーバーは4歳齢で診断を受け、評価結果のポイントスコアは右:5、左:4で、「股関節形成不全症の所見は認められません」のコメントをもらいました。


さて、股関節形成不全発生の3割が環境的な要因によるとお話ししましたが、その要因とは具体的にはどのようなものが考えられるのでしょうか。最も大きな原因と考えられているのが、成長期における過剰な発育、肥満です。リトリーバーで言えば、体重500g程度で生まれてきて成犬と言われる2歳ころには30kg程度にまで成長します。つまり2年間で約60倍大きくなるわけです。大型犬の子犬の急速な成長は、股関節を構成する骨(骨盤・大腿骨に加えて腓骨・脛骨)の成長過程で不均衡をもたらします。したがって、この時期に過度のカロリー摂取によって子犬の生育を早めると、筋肉と骨の成長速度のバランスが崩れ、股関節形成不全などの骨格疾患を発症しやすくなります。また、肥満は、まだ成長途上である未熟な股関節に対して過大な負荷を加え続けることになり、骨の成長に悪影響を及ぼすことになります。同時に、成長期の激しい運動は前述の過剰な成長と同様、子犬の未熟な股関節に過度のストレスを与える恐れがあり、最悪のケースでは怪我などによって股関節が変形し股関節形成不全を発症する可能性もあります。

ここで振り返って、自分の飼い犬(特に大型犬)のことを考えてみましょう。まずは股関節の状態を知ることが先決です。確実な方法は股関節の診断・評価を受けることですが、本稿の冒頭に列記した具体的な症状を当てはめてみて、該当するものがあれば直ぐに獣医師の診断を仰いでください。また、そこまで顕著な症状が見られない場合でも、モンロー・ウォークと呼ばれる腰を左右に振りながら歩く、前足に比べ後ろ足の歩幅が狭く踏み込みが少ない(したがって体型的には上半身が下半身に比べ発達しているように見える)などがあれば、直ぐに獣医師(整形外科専門医)の診断を仰いだ方が良いと思います。いずれの場合でも、必ず整形外科専門の獣医師に診察を依頼してください。(整形外科の経験や技量のない獣医師だと「軽い捻挫」とか「すこし痛めただけ」などと言って、鎮痛剤を処方されて終わるのがオチです)


では、不幸にも股関節形成不全を発症してしまったら、どのような治療の選択肢があるのでしょうか。初めに断っておきますが、股関節形成不全は現在のところ、手術を含めて根治することはなく、いかなる治療を選択しても決して正常な股関節に回復することはないと言われていますので、飼い犬の生活の質を維持しながら生涯に渡って疾患と付き合う覚悟が必要です。

治療の第一の選択肢は痛みと炎症の緩和です。犬が痛みを感じている、あるいは跛行等の症状が出ているときは、それを緩和するため痛み止めを投与することが、まずは一義的な治療となります。痛み止めとして使用されるものは、通常、非ステロイド系の鎮痛・消炎剤(NSAID)で、プレビコックス、オンシオール、リマダイル、メタカムといったものがあります。ただし、痛み止めにより症状が軽快しても、それは根本的な解決ではなく一時的な対処療法であることに過ぎません。よって、次に述べる体重管理を含む運動療法を組み合わせることが、股関節形成不全による関節炎の再発を防止し進行を遅らせるうえで重要となります。

繰り返しますが、股関節形成不全は完治することはなく、犬の生涯に渡り付き合わなければならない疾患です。痛み止めで一時的に症状が消失しても、いつ再発するか予想がつきません。犬の生活の質を維持するためにも、体重管理と運動療法が必須となります。

まず、日常的に股関節に掛かる体重の負荷を軽減するため体重管理を実行します。肥満は言わずもがなですが、標準と思われる体重でも減量を行います。(その際、過度や急激な減量は、別の健康問題を引き起こすことがあるので獣医師とよく相談してください) これには、フードやオヤツの与え方について抜本的な見直しが必要となるので、飼い主のみならず飼い犬にとっても辛いでしょうが、心を鬼にして体重の減量・維持に努めます。

股関節形成不全による活動の制限・低下や減量により、筋肉が萎縮して筋力が衰えると周囲の関節は拘縮し可動域が狭くなり、骨密度が低下して骨が脆くなります。使わないと様々な部位で身体機能の低下が生じる、いわゆる「廃用症候群」になります。したがって、それを避けるため適切な運動療法が必要となります。療法と言っても難しいことはありません、飼い犬と遊んだり普通に散歩・運動させたりするだけなのですが、関節痛が出るほど行っては逆効果となりますので、関節痛が出ないギリギリのところを狙って筋肉を鍛えることを心がけてください。(飼い主であれば経験的に分かると思います) また、関節に負荷を掛けずに筋肉を鍛える水泳は、特に推奨されます。安全が確保できる湖等で犬を泳がせるたりするほか、経済的に余裕があれば、犬用のプール、水中トレッドミル等の施設を利用するのも良いと思います。

ここで少し関節サプリメントについて言及しておきます。痛み止めとは別に、関節炎の症状を緩和するとして、グルコサミン、コンドロイチン、緑イ貝(モエギイガイ)抽出物等のサプリの投与を勧められることがあります。軟骨の構成成分であるこれらのサプリを補うことにより、関節内でクッションのような役割を果たす軟骨を保護・再生して炎症を抑え、その機能を維持・回復させるというのがサプリの効果として挙げられています。(ウェブで検索すると夥しい数の関節サプリの効能を謳った記事や広告が出てきます) 個人的には、アミノ酸や糖質でできているこれらのサプリの成分が、経口摂取後、胃や腸という消化器官を経て血流に乗り関節包の中に入り込み、傷んだ軟骨に取り付いて期待通り軟骨を保護・再生するという考えには懐疑的ですが、頭から使用を否定するつもりはありません。使用の是非は個々の飼い主の考え方を尊重したいと思います。


内科的治療のほかに、犬の成長の段階に応じて幾つかの外科的治療(手術)の選択肢もあります。

14週齢~5か月齢

「若齢期恥骨結合癒合術」(JPS)が適応します。この術式は、恥骨の成長板を電気焼灼で破壊し横方向の成長を止めることにより、寛骨臼の最終的な形状が大腿骨頭をより深く緩みのない形状に成長するよう誘導するものです。

5か月齢~1歳齢

1歳齢未満であれば、三点(TPO)もしくは二点骨盤骨切り術(DPO)が採用できます。三点骨盤骨切り術とは、盤骨を3ヶ所に切断し、その部分の角度を変えて、より深く大腿骨頭が寛骨臼へ入り込むように金属製のプレートとボルトで再連結・固定する術式です。近年のインプラント(固定プレートとボルト)技術の進歩により、骨を2ヶ所切断するだけの二点骨盤骨切り術(DPO)でも同様の結果が得られるようになり、侵襲性が低くなりました。

1歳齢以上

まず大腿骨頭切除術(FHO)が挙げられます。この術式は、関節炎の原因となる股関節の骨と骨の接触を排除するために、大腿骨頭を除去し寛骨臼を空にするものです。脚の筋肉は、当初、大腿骨を所定の位置に保持しますが、時間の経過とともに寛骨臼と残った大腿骨の間に結合組織が生じて「偽関節」と呼ばれるクッションが形成されます。この「偽関節」は解剖学的には通常の股関節とは大きく異なるものの、ほとんど痛みのない可動性が確保されます。とは言え「偽関節」とわずかに短縮された脚で動作するため、股関節の挙動が変化するのは避けられません。したがって一定の回復は見られる中、歩く場合など、やや跛行が残ってしまう可能性がありますので、術後は、できるだけ早い段階から積極的なリハビリを行うことが必要です。

最後は、人工関節による「股関節全置換術」(THR)です。これはその名が示すとおり股関節を完全に人工のものに置き換える手術です。予後は良いようですが、脱臼、血栓症、感染症などの合併症のリスクが指摘されています。加えて費用は非常に高額です。


以上、外科的治療を概観してきましたが、外科的治療は、いずれも費用が掛かるうえ、犬の肉体的な負担も大きく、個人的には、予後も芳しくないと思われるので、あまり推奨したくありません。保存療法を推したいと思います。


股関節形成不全の予防 (新しく子犬を迎えるにあたって)

新しく子犬(大型犬)を入手する場合、遺伝由来の股関節形成不全のリスクを低減するためには、両親犬が必ず前述のいずれかの診断を受けて股関節が正常であるという評価を受けていることが強く推奨されます。真摯で良心的なブリーダーであれば、程度の差はあるものの、必ず繁殖犬の股関節の診断・評価を行っており、良好な種オス・台メスしか繁殖に供してはいないはずです。その意味で、個人的には、経営的な理由により犬質を犠牲にしがちな繁殖を生業にしているブリーダーよりも、その犬種が好きで犬質の維持・向上にこだわり、儲けを度外視して趣味で繁殖を行っているブリーダーの方が好ましいと思います。

リトリーバーなどの大型犬は、通常、500g程度で生まれてきて2歳ころにはその60倍の30kgにまで成長します。したがって、小さい頃に過剰にフードを与えて無理に成長を加速してはいけません。具体的には、生後3~4ヶ月齢までのコロコロした赤ちゃん体型の時期を過ぎ、骨の成長が止まり骨格が完成する1歳半くらいまでは、体重を軽めに維持して「少し痩せ気味」に育てることが肝要です。縦に長く体高を上げることを意識して「ヤギのような体形」を目指してください。人から「少し痩せすぎ」と言われるくらいが丁度良いと思います。とにかく、子犬の頃は「太らせず、ヤギのように見えるように育てる」が合言葉です。

大型犬の飼い主は、飼い犬が大きいことを自慢する傾向があります。子犬の頃は特に「ウチの犬は生後6か月で何十キロある」とか体重を自慢することがありますが、小さい頃にフードを過剰に与えて体重を乗せても、所詮、体の基本となる骨格は親犬と同じくらいにしかなりません。骨格が変わらず体重が増えているというのは肥満に他ならず、繰り返しになりますが、成長期の肥満は股関節の正常な形成を著しく阻害するので、絶対に阻止しなければなりません。

次に生活環境ですが、まず、フローリングなどのツルツルの滑りやすい床は股関節に負担となるので避けるべきです。滑り防止としてマットやカーペット等を、できれば子犬の行動範囲すべてに敷き詰めるのが理想です。掃除・美観・保全を考慮して滑り止めのコーティングやワックスも多数市販されているようですが、個人的にはほとんど効果がない弥縫策に過ぎないように感じます。

子犬時代の運動ですが、自由運動つまり放牧を基本とし、自転車引きやフリスビーなどによって無理に走らせたり、固いアスファルトなどの上を長距離・長時間、歩かせたりすることは、骨の健全な成長には良くないので避けるべきです。近くに手軽に放牧できる場所がない場合でも、子犬のうちはリードを付けて(できれば柔らかい土の上を)短時間、散歩させれば十分です。それでも「運動不足である」「もっと運動させたい」と思うのであれば、近くの公園まで連れて行って放牧(大体はノーリード禁止です。公園の規則に従ってください)、あるいは車で出かけて、十分な柔らかい地面を持つ公園・広場等で放牧、海・湖等で水泳が基本です。(ドッグランは避けたほうが無難です。あまり社会性のない成犬に絡まれたり、しつこく追い掛け回されたりして、弾みで足を痛めることもありますので…)

大型犬の成長期は気を配ることが多く少し辛抱がいると思いますが、後々のことを考えて耐えましょう。(つまらぬ焦りで先々、何年も後悔してはバカらしいです) こうやって生活環境を整え体重管理を意識して大事に過ごして、体が完成する成犬といわれる2歳を過ぎれば、運動を制限する必要はありません。長距離の散歩や激しい運動もOKです。ドッグランも解禁して良いでしょう。運動量に応じてフードを増やし筋肉をつけ体重を乗せても構いません。


あとがき

個人的な見解ですが、OFA、Penn HIP、JAHDなどによる股関節形成不全低減のための努力が続けられている一方で、私が犬を飼い始めた2000年代初頭より大型犬の股関節形成不全は顕著に減少してはいないような感じがします。特に、日本で最もポピュラーな(飼養頭数が多い)ゴールデン・リトリーバーは酷く、私が目にするゴールデンの大半が歩様から股関節形成不全を発症している印象を受けています。これは、意識の高いブリーダーが増加している一方で、未だに金儲け優先の乱繁殖が行われていることと、飼い主の股関節形成不全に対する知識・理解不足が原因と思われます。いずれにせよ、愛犬を守れるのは飼い主自身であることを肝に銘じて、正しい知識を身に付け飼養に当たることが重要です。


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