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レトリーバー (回収犬)

私は犬好きで大型犬を飼っています。大型犬で最も人気がある犬種がレトリーバーです。このレトリーバーという呼び名は、JKC(ジャパン ケネル クラブ)の登録名で正式な日本名ですが、巷では「レト」の後の長音「リー」を短音にしたレトリバーも広く使われているようです。

このレトリーバーですが、「回収する」という意味を持つ英語の動詞”Retrieve”(リトリーブ)に、”er”という接尾辞を付けたもので「回収を行う人やモノ」、すなわち「回収犬」と言うことになります。これを素直に発音すれば「リトリーバー」となるのですが、なぜか日本ではレトリーバーやレリトリバーとなっています。(本稿では以下、より原音に近い「リトリーバー」を使うことにします)

カモ類などの水鳥猟において、仕留めた獲物は、通常、遠方の水面や藪の中に落ちるので、人間がその回収に当たることは非常な困難が伴います。そこで、それらの獲物の回収を行うために作出された犬種がリトリーバーです。(因みに、獲物の探索・追出しを行うのはポインターやセター) よって、リトリーバーは水を好み泳ぎが得意で、特に教えなくても投げたボールを取ってくるなど本能的に回収行為を行います。リトリーバーは、スパニエルやウォータードッグとともにFCI(国際畜犬連盟)の犬種分類の第8グループに属する鳥猟犬です。

リトリーバーは、アメリカでは特に人気が高く、2022年のAKC(アメリカン ケネル クラブ)の登録数ではラブラドール・リトリーバーが第2位、ゴールデン・リトリーバーが堂々の第3位です。(第1位は何とフレンチ・ブルドッグ、2021年まで31年間トップにあったラブラドールが初めてその座を他の犬種に譲りました) これに対してJKCでは、ゴールデン・リトリーバーが第11位(6,701頭)、ラブラドール・リトリーバーが第13位(4,901頭)と冴えませんが、それでも大型犬の中ではそれぞれ一位、二位です。

リトリーバーは基本的に、性格が良く聡明で適応性がある献身的な伴侶です。大型犬に分類されていますが、生まれつき優しく、理解力が高く、柔順で攻撃的でもなければ臆病でもありません。現在、JKCで犬種登録されているリトリーバーは下記の6種類です。

  • ラブラドール・リトリーバー ”Labrador Retriever”

  • ゴールデン・リトリーバー ”Golden Retriever”

  • フラットコーテッド・リトリーバー “Flat-coated Retriever”

  • ノバスコシア・ダックトーリング・リトリーバー “Nova Scotia Duck Tolling Retriever”

  • カーリーコーテッド・リトリーバー “Curly-coated Retriever”

  • チェサピークベイ・リトリーバー “Chesapeake Bay Retriever”


ラブラドール・リトリーバー (通称: ラブ)

イギリスのケネルクラブに公式に犬種登録されたのは1903年。訓練性が非常に高く、盲導犬等に用いられ、リトリーバーの中で最も人気がある。原産国はイギリスで、毛色は黒、白、レバー(茶)。

ラブラドール・リトリーバー


ゴールデン・リトリーバー (通称: ゴルもしくはゴールデン)

イギリスのケネルクラブに公式に犬種登録されたのは1920年でリトリーバーの中では一番新しい。性格が温厚で人懐こく、人間に同調する能力が高いとされ、子どもから老人まで誰にでも扱いやすいことから、リトリーバーの中では最も飼いやすいと言われている。原産国はイギリス。

ゴールデン・リトリーバー (アメリカ系)
被毛は黄色から茶色がっており、目が丸みを帯びて愛嬌のある顔立ち
ゴールデン・リトリーバー (イギリス系)
被毛は白色からクリーム色、目がアーモンド状のため、ややきつい印象を受ける


フラットコーテッド・リトリーバー (通称: フラット)

イギリスのケネルクラブ設立以前の1860年の展覧会には既に出陳されていた古い歴史を持つ。性格は非常に陽気で活発。成犬になっても子犬のように無邪気で天真爛漫なことから「永遠のピーターパン」と呼ぶ人もいる。被毛は黒もしくは茶で、艶があり美しい。原産国はイギリス。2022年のJKC登録数は第41位(289頭)。

フラットコーテッド・リトリーバー
ストップ(鼻骨と頭蓋骨の境目のくぼみ)が浅く可愛い印象


ノバスコシア・ダックトーリング・リトリーバー (通称: トーラー)

水鳥をおびき寄せ回収するためにカナダのノバスコシア州で改良された鳥猟犬。リトリーバーの中では最も小型であるが、理解力が高く訓練を入れやすい。性格は温和で明るく、人懐こい。原産国はカナダ。JKCでは毎年10頭前後の登録がある。

ノバスコシア・ダックトーリング・リトリーバー
体重はオスで20-30kg、メスで17-20kgで、むしろ中型犬と言っても良いかも!?


カーリーコーテッド・リトリーバー (通称: カーリー)

イギリスのケネルクラブ設立以前の19世紀中ごろには犬種として確立されており、最古のリトリーバーと言われる。理解力が高く、落ち着いており、自立している。運動能力は高いが、訓練性はあまり高くない。リトリーバーの中では最も大きい。原産国はイギリスで、毛色は黒、レバー(茶)。日本ではブリーダーがおらず入手困難。

カーリーコーテッド・リトリーバー


チェサピークベイ・リトリーバー

アメリカ東海岸のチェサピーク湾で19世紀に作出された犬種と言われている(AKCには1878年に初登録)。明るく陽気な性格であるが、穏やかで理解力が高い。勇敢で作業を好む。原産国はアメリカ。日本ではブリーダーがおらず入手困難。

チェサピークベイ・リトリーバー

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