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いざ、出陣 振り袖着せちゃおうプロジェクトその4

と言うわけで、ついに振り袖を着せる日、Aちゃんの結婚式の当日となった。

今年は本当にいつまでも暑く9月になっても全くその暑さが衰えを見せないので、振り袖なんか着せて大丈夫かな、と言う心配がずっとあった。
それでも乗りかかった船、会場の空調を信じて決行する。

着付けの時間について会場から連絡があったのは2週間ほど前。
わりとギリギリな感じ。
こちらとしてはヤキモキしていたが仕方ない。
式が始まる3時間前、受付開始の2時間前のメイクスタートということだった。
式開始は夕方なので、もし朝イチに着付けられてずっと待機なんてことになったら大変だと危惧していたが、そんなことにはならなくてまずホッとする。

娘本人はさほど着物に興味はないが、着せられることは好きなようだ。
成人式にはこの振り袖、大学の卒業式の袴には母の若い頃の中振り袖を合わせたし、母がいた最後のお正月にも着物を着て写真を撮っている。この2年ほどのお正月は私の練習台となって着物を着せられている。
その程度というのはというのは、例えば日舞だとか邦楽、茶道などで着物を着る機会のある人に比べたら非常に少ない。着物を着こなすにはやはり回数を重ねて慣れて行くことが必要なので、ただ着せられているだけでも娘にとってはそのまま何時間も過ごすのはかなりの試練になると思われるけれど、まあそれはそれ、経験のうちと割り切ってもらおうか。

普段都外にいる娘は朝こちらへ来ることになった。仕事が連日忙しくて当日も前から申請していた休暇だからなんとか休めた感じ。職場の同僚に、友達の結婚式で振り袖着るから朝から行く、と言うとそれ新婦の入り時間より早いんじゃないのと言われたとか(笑)。
私は髪飾りを持って、東京駅で落ち合う。一緒に会場へ行き着付けに立ち会って、肝煎りの振り袖姿を撮影するところまでがミッション。まずは昼食ということで『恋とスパイス』へ。東京駅をよく使う人はよくご存知。丸の内口と八重洲口をつなぐ通路の途中にある美味しくてちょっとオシャレなカレー屋さん。先に食券を買うシステムだから回転は速いけれど立ち食いではなくちょっと高さのあるテーブルで素早く食べられるので旅の前後にふさわしい。新宿中村屋のやっているお店なので味もお墨付き。チキンカリーとキーマカリー、ジンジャーエールでさっと済ませる。

会場に着くと、母の付き添いなんて嫌がられるかと思ったが案外大丈夫だった。よくあることなのかしら(笑)。
最初に私も立ち会って着物と小物の確認。言われたとおりの物を同梱して、トラブルの元になるかもとそれ以外の物を一切入れないで置いたのに「お母さん、コーリンベルトって言う物があってね、それがあると襟が綺麗に決まるんですよ。着せられる方もラクだし」と言われてちょっとだけカチンと来た(笑)。「あら~持っていたのに。持ち物で言われなかったから置いてきたんですよ~」って言いました。
それならそう言っておいてくれたらいいのにね。
式場のスタッフとは別にヘアメイク着付けのスタッフを外注しているみたいでした。その辺はよくお互いに情報共有しておいて欲しいなあ。「あればコーリンベルト2本」とか言ってくれたら着物着る人なら大抵持っているものじゃない?娘の振り袖を着付けてもらった時も使っていたしね。

最初にかぶりものじゃない下着だけになってガウンのような物を着てヘアメイク。それを済ませてから着付けという段取り。下着は念のため今年のお正月に使った「和装ブラ」を持って行ったのが良かった。
通常使っているようなワイヤーが入ったブラだと着物で締めた時、ワイヤーが当たって痛くなるから、スポーツブラがわりと推奨される。ナイトブラもありかな。でもスポブラやナイトブラはデザインによっては衣紋を抜いたときに見えちゃうかもしれない。ノーブラで着せるのもありだけれど、普段と違うとちょっと落ち着かないよね。まあとにかく、和装ブラは胸を押さえやすいし補正をするのもしやすいし、持ってて良かった。
鏡の前に着席。髪飾りも出して、どういう雰囲気で行くかを相談しながらホットカーラーで次々に娘の髪を巻いていくメイクさん。手早い。
かなり長さもあってボリュームも比較的ある娘の髪は振り袖の迫力に全く負けていない。何なら日本髪だって結えそうなくらい(笑)。華やかに大人っぽく上品に…これはメイクさんの腕の見せ所。髪飾りはゴールドと黄色でおめでたさ満載。
職業の関係で普段化粧をほとんどしない娘、実際には化粧大好きなのでメイクさんにあれこれと質問したり、いろいろなコツやお肌の手入れの仕方なども教えてもらっている。こう言う機会を逃さない貪欲さはさすが。小一時間でヘアメイクが完成。いよいよ着付け!

肌襦袢と裾よけ…裾よけが大きかったらしい(笑)。(そうか、Mサイズで良かったんだった)長襦袢。そして振り袖。伊達襟を二枚重ねてゴージャスにした襟元、衣紋をぐっと抜いて着付けされていく。帯は今ドキ風にヒラヒラを重ねて花びらのように開いた飾り結び。華やか~。
「今頃は振り袖に普通にお太鼓をするのは皇室の方々くらいですね~」とか言っていた。なるほど。そういうもんか。
かなりギューギュー締められて結ばれていたけれど、体幹がしっかりしているのか、昔のようにぐらぐらしたりしないところに感心しながら帯結びの完成~。

仕上がったら写真を撮りたかったけれど、着付け室からは速やかに退場となった。仕方なく、控え室の前で撮影…と思ったらそこはオシャレな空間なので照明が暗くて着物が全然映えない!焦って照明の下に立たせたり、違う壁のところに移動させたりしていたら、徐々に出席者の人達も集まり出していたこともあって娘がむくれてしまった(笑)。
あとから考えればとりあえず暗くても撮って、加工でもなんでもすれば良かったよね(笑)。なので、結局写真はちょっとむくれた表情で足も揃えず仁王立ち、着物撮影の一番のキモである左側を見せると言う鉄則もおろそかに、借りたバッグの柄も斜めと言うなんとも面白い写真になってしまった。
まあ思い出ということで、それもありかな。
せっかくなのにきちんと写真に収められなかったのは私の不徳のいたす限りなので仕方ない。
あとは無事に式でAちゃんにお祝いを言ってお食事したりおしゃべりしたり楽しんでおいで!

式が終わったら振り袖は脱いで畳んで箱に入れて家まで着払いで配送してもらうことになった。それは良いけどきっと着物、畳めないよね?私、近くで待っててまた来ようか?と言うとそこはスタッフがお手伝いしますから大丈夫ですよ、と言ってもらえたので助かった。

それでも娘はあまりにギューギュー締められた状態で「これをキープしないと着物が着崩れてしまう」と思ったらしく、
「最初は浅い呼吸してたら、だんだん酸欠みたいになっちゃって…慌てて胸郭を広げて深呼吸したよ」と言っていた。
ギューギュー締めるのは、ちょっとやそっとじゃ着崩れしないためだから、完成した後は大抵の動きは大丈夫よ、と言っておいてあげれば良かった。
食事もあまりちゃんと食べられなかった…って。もったいない(涙)。素晴らしいお料理だっただろうに…

といろいろと反省はあるけれど、とりあえずミッションコンプリート。
振り袖は無事に役目を果たし、新婦のAちゃんにもAちゃんのお母さんにも喜んでもらえて、みんなに素敵~~と言ってもらえて、良かった良かった。

翌日送られて来た振り袖を開梱して着物ハンガーに吊した後、また畳んで着物屋さんへ。しみ抜きとクリーニングを依頼した。
綺麗になって戻って来たら、また着る機会があるかもしれないね。
振り袖をこうして着せたことで、
振り袖を買ってくれた私の母や一緒に選んでくれた私の祖母、みんなの思いが報われた気持ち。娘には大変な思いをさせたけれど(ありがとう)、頑張ってくれて良かった。
着物って楽しいけど本当に大変。大変だけど楽しくて辞められないね…(笑)。


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