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2019/09/15 マルチネイベント「CUBE」

2016年「大都会と砂丘」から3年ぶりとなるマルチネレコーズの規模デカめイベントが9月15日に代官山UNITで開催されます…。(随筆中でしたが深夜のガストに到着してようやく文字を書き進めております。)


思い返せば、100人規模以上のイベントを行ったのは3年前の2016年10月にWWWX+WWWにて開催された「大都会と砂丘」でした。
このイベントは体をひねってようやく着地するような荒業で、上下のフロアのグループ分けによる対比と、サブもメインもない並列のタイムテーブル=マルチエンディングシステム、さらに現実的な話1000人お客さんが来ないと採算が取れないというリアリティもあり今思ってもシビアなイベントでした…。

そこから、2017年、2018年と規模の大きいイベントを開催する機会は探ってきたのですが、100人集客ぐらいの「SEEDシリーズ」がメインで、大きい規模のイベントは控えていました。


理由としてマルチネ周辺のアーティストをブッキングしているイベントが多数あったので差別化が難しい状況がまずあり、ちょっと静観しておこうというタームだった気がします。
さらに今回の「CUBE」で多数出演する20代前半のマルチネ第3世代(勝手な定義ですが)の成長を待った方がいいなという肌感覚がありました。

さらにここで、インターネットに対する距離感についても書いておく必要がありますね。
「ネットレーベル」と名乗った責任と僕の興味からインターネットカルチャーへのアプローチを多数行ってきたわけですが、「東京」「天」(マルチネ10周年本)「大都会と砂丘」辺りで、もうその責務は十分果たしたやンという思いがありました。
さらに地球の裏側からも叱られてしまうリアルよりもリアリティの増しているこの空間に対して、お気持ちフラットになりまして、自分がマジで興味あること以外はマルチネにおいてやる必要ないワ!という思いが日々強まっています。
(この辺りの感覚についてレトリカ04「プラットフォーム・カルチャーと“顔”の生態系」で詳しくは話していますので興味のある方はどぞ…)

その結果トレンドともかけ離れて、やっぱりこのレーベルって奇人変人しかいないんジャン…というのも思いも高まっていますが、もうそれぐらいじゃないとキマれなくなってるんですよね…。やっていくしかないですね…。

さて、そんな中で2018年後半ぐらいから、そろそろ状況も整ってきた気もするし、イベントやるかー!という思いになり、構想を練り始めるわけなんですが、名前とテーマを生み出さないとイベントはできないということで色々と試案する日々が続きます。

ぼんやりと、上記の話を踏まえて近年のイベントの象徴的なキーワード(「山」「東京」「大都会と砂丘」…)から遠く離れて、ビジュアルイメージと結びつかない数学っぽい無機質なタイトルにしたいとはじめに考えていました。「フェルマーの最終定理」とかも脳内の候補に上がってたのですが、相対性理論(バンド)じゃないのでこれは無しで。
そんなこんなを脳内会議していると一声「CUBE」はどうかな?という閃きが。ひねってないワードで、立方体という誰がどう考えても思いつきそうなコンセプトのありがちさの普遍性と、誰しもが脳内でイメージできるのがいいかなと。

「CUBE」というタイトルは決まったので、ロゴのビジュアルコンセプトを詰めいきます。そこでは、任天堂のゲーム機「GAME CUBE」を1つの指標として構築していきました。

まず「CUBE」からの連想もありますが、デジタルガジェット的な親しみやすさと、この数年リバイバルが進んでいた90年代のレイヴィーな雰囲気から少し進んだ00年代初頭のダサいのかカッコイイのか何なのかわからない絶妙なニュアンスを加えたかったというのがありました。

「GAME CUBE」発売当時のほぼ日に掲載されていたゲームキューブをデザインした任天堂担当者のインタビューには学ぶところが多かったです。「フレンドリー」と「ニュートラル」という目線には共感しました。マルチネがバッドになりすぎても嘘なので。


フライヤーデザインについてはさらに別の角度からの視点も加えて、ビジュアル制作時にちょうど聴き返していた00年代初頭のエレクトロニカ(特にWARP、Plaid、Boards of Canada)をベースにさらに「ニュートラル」で平面的な雰囲気で試案していきました。チャラさと渋さの中間を狙いました。

両方のデザイン共に、皆さんがお世話になりっぱなしな天才デザイナー杉山峻輔さんと果敢に取り組みまして出来上がったものです。

同時期に編集していたPARKGOLFのMVも見てあげて下さいねッ。

最後にレーベルがイベントをやる意義について言語化してみたいなと…!

唐突な話ですが、マルチネを運営する中で僕が一番重要に考えているのは、アーティストがパーソナルで固有な態度を示せるような自由な場であるという事なんですよね。これは運営10年目ぐらいでジワジワ分かってきました。

さらにそのレーベルという枠の中で、イベントを通して複数のアーティストが同じリアルな空間と時間に立ち会い、それが一つの立体のように現れて何らかの態度を示せれば、それはレーベルのイベントとして十分に成功したと言えるのではないではないかと…!

ということで、これを読んでいるあなたも、チケットを買い(後日発売!)イベントに参加したら、偶然にもその場に居合わせることが出来るかもしれないですという告知でした…!

まあ、「CUBE」がどうなるかは出演者と僕の頑張り次第なんですが…。2019年、東京というアジアの片隅の都市において、マルチネという集合体としては最適な人選になってると自負はしていますので、是非ご来場下さい!

さて、次回からは出演予定のアーティストを1組ごとに濃密に解説していきます。乞うご期待。

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