王国

僕はこの国の王の息子として生まれた

そして父が死に

この国の王となった

この国は様々な問題を抱えている

それを一つずつ解決してゆくのが

僕の仕事だ

「奴らがまた反乱を起こしました」

父の代から仕えている大臣が告げた

「ジョン将軍の部隊を出して鎮圧させて下さい」

僕は年老いた大臣に言った

奴らとの戦いはすでに

二千年以上にも及んでいる

いつになったらこの国に

平和は訪れるのだろうか?

僕が幼い頃

祖父から聞いた話によると

その昔、この国は

奴らが支配していた

だが奴らが支配するこの国は

荒廃の一途を辿っていた

そして

僕の先祖である

伝説の狼犬タロウが

一族を率いて立ち上がり

この国の覇権を手にした

だがそれ以後も各地で

小競り合いは続いている

僕たち犬族と宿敵猫族の戦いは

いつまで続くのだろうか?

気付くと僕の背後に

先ほどの大臣が立っていた

「王様、人間どもの処遇はいかが致しましょうか?」

人間

そういえば

そんな種族もこの国に棲息していた

「奴らの事はもう少しこのままにしておきましょう」

「あいつらをまだ野放しにしておくのですか?」

「人間の事は猫族と決着がついてからで良いでしょう。それまではせいぜいこの国の覇者が自分たちだと思わせておきましょう」

そう言って僕は微笑んだ

僕はこの国の王

この国は様々な問題を抱えている

それを一つずつ解決してゆくのが

僕の仕事だ

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