見知らぬ家族

うちは確か

夫と

二人の娘

そして私の四人家族・・・

だったはず

それなのに

夫や娘たちと

家族のように打ち解けている

あの女はいったい・・・

注意深く観察していると

ある事に気づいた

あの女・・・

どこかで見た気がする

でもどうしても

それ以上思い出せない

あなたは誰?

思い切って

聞いてみようか

でも、何だか怖い

夫と子供たちを取られそうで

この家から出て行くのは私だと

みんなに言われたら

私はどうすればいい?

私はあの人の妻だし

子供たちの母親

出て行くのはあの女の方

そう思うけれど・・・

気の弱い私は

結局何も言えない

そして

私は孤立してゆく

悲しみが私の心を満たし

涙がとめどなく頬を濡らす

そしてついに私は気付いた

あの女は私と同じ顔

着ている服も同じ

違うのは

髪型と利き手そしてホクロの位置

私は右分け、女は左分け

私は右利き、女は左利き

私のホクロは顔の右側

そして

女は顔の左側にホクロ

まるで鏡に映したよう

鏡?

そうだ

私の世界は鏡の中

幸せな家族を映す鏡の中

幸せだった私たち

そして私の家族を

どうしても自分の物にしたくて

あの女は鏡から出てきた

そして私をここに閉じ込めた

誰かあの女を叱って

そして私をここから出して

あの女がしたように

女を鏡の中に閉じ込め

家族を取り戻す

そして鏡ごと

あの女が二度と出て来れないように

粉々にしてやるから

それまで私は耐えてみせる

そんなある日

女が鏡の前にやって来た

私を見て笑っている

鏡を壁から外した

そして高く持ち上げた

ああ、やめて!

ガッチャン

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