完全アウェイ

前半戦終了間際

俺の放ったシュートが

敵のゴールネットを揺らした

そして

その時まで和やかだった

敵サポーターの

凄まじいブーイングが始まった

ここは惑星ゴルデス

そして俺は

地球代表チームのキャプテン

地球国最高会議は

長い議論の末に

宇宙連合に属さない

未知の惑星ゴルデスからの

親善試合の申し込みを受ける事にした

勝つわけにはいかない

その考えはふいに俺の心を充たした

前半戦を戦った印象は

実力通りの試合運びが出来れば

負ける相手ではない

だが勝てば

スタジアムを埋め尽くす

おびただしい数の敵サポーターが

ピッチへとなだれ込んで来るのは

目に見えている

しかし

わざと負けた事が知れれば

相手を怒らせる事にもなりかねない

ハーフタイムに

チームのみんなと話し合って

出した答えは

引き分け

俺たちはシュートをわざと外し

敵チームの攻撃を待った

そして後半40分

やっと敵チームのシュートが決まり

スタジアムが歓声に包まれた

すれ違う敵チームのキャプテンが

山椒魚に似た顔を歪めて笑った

ここは惑星ゴルデス

早く地球へ帰りたい

心の底から俺は思った

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