手紙

今、私は

遠く離れた宇宙で

この手紙を書いています

今、そちらは春でしょうか

宇宙には季節が無く

昼も夜も無いので

時間と言うものを忘れてしまいそうです

そして私はついに

宇宙の果てを見つけました

宇宙の果てのその様子を

一言あなたに伝えたくて

手紙をしたためています

ここから先は光さえ存在出来ない

漆黒の闇が横たわっています

もし許されるなら

もう一度あなたの笑顔を見たかった

あなたの白いその手に触れたかった

あなたを愛しています

私は宇宙の果てで

一番大切な事に気付きました

故郷の星の代表として

宇宙の果てを共に目指した

クルー達は皆

宇宙空間に漂う

未知のウイルスに命を落としました

あの時引き返していれば

あるいは戻れたのかも知れません

でも私は戻らなかった

あなたの住む星に

おぞましき病原体を

持ち帰る事を恐れたからです

そして誰もいない宇宙の果てで

この手紙を書いています

ベースとの交信が途絶えて

2年が過ぎました

郵便ポストもないこんな場所で

書き上げた手紙は

瓶に入れて宇宙空間に流します

いつかこの手紙が

誰かに読まれる事を

そして

あなたの幸せを願って

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tomado

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