酒場

男が俺にグラスを差し出した

だが俺は気が進まない

別にその男が嫌いな訳じゃない

気の良い奴なのだが

価値観や習慣が違い過ぎるのだ

それに隣に座っている

女も気にくわない

この店のナンバーワンらしいが

俺の好みとはかけ離れている

奴はまた

トカゲの入った酒を俺にすすめた

それを俺はチビリとすする

今度は隣の女が

えたいの知れない塊を

俺の口元に差し出した

仕方なく俺はそれを頬張る

強烈なえぐ味と匂いに

涙がこぼれた

その様子を見て男と女が笑った

二十年の旅の果て

たどり着いた場末の酒場

男が何か言っているが

何を言っているのかは判らない

俺は曖昧な笑いでごまかす

女がまた40センチもある

大きな口を広げて笑った

旅を続けたい

俺は痛烈に思った

早く直らないかな

俺の宇宙船

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