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メロンパン事件

これは私が5歳のときに実際に体験した話です。

その日も、父がいつものように保育所に迎えに来てくれました。友だちと先生に挨拶をし、車に乗り、いつもの道を通って家に帰っていました。

私は

「コンビニのパンが食べたい」

と父にねだりました。すると

「いいよ。でもその代わり、お母さんに内緒ね。言ったらだめよ!」

と言い、買ってくれることになり、指切りげんまんをしました。

この時既に事件は始まっていました…

コンビニに着き、パンコーナーに直行。
私はどのパンにしようか迷った末、一番美味しそうだったメロンパンにしました。
お会計を済ませたあと父が
「絶対にお母さんに言わないでね、」
と念押ししましたが頭の中がメロンパン食べたいで埋まっている私には全く聞こえていませんでした。
車の中で食べたメロンパンは、この上なく美味しかったです。
ちなみにですがそれから私の好きなパンは「セブンイレブンのメロンパン」になりました。今でも好きです。

私は家に着くまでになんとかメロンパンを食べ終わることができました。
家に帰ると母はまだ帰っていませんでした。しばらくして「ただいま〜」と玄関から声がしました。
私は父よりも母が大好きだったので、急いで玄関に走って、母に抱きつきました。

そして私が放った第一声が。

おかえり、お母さん!

今日ね、お父さんがメロンパン買ってくれたの!!!!

父にあれだけ言うなと言われたのにもかかわらず、まあ見事に約束を破ったのです。

狭い家の中でかなり大きい声で言ったので、すぐに父にバレました。
それからしばらくのあいだ、お説教タイムでした。

その時に何度も何度も言われたことがあります。それは、

嘘つきは泥棒の始まり

もうこれをほんとうに耳にタコができるんじゃないかというくらい何回も言われました。「嘘つき!泥棒!泥棒!泥棒!あんたなんか捕まってしまえばいい!泥棒!みんなから嫌われてしまえ!!!」みたいな感じでずっと言われました。母が言い過ぎなんじゃないと心配する程度には罵られた記憶があります。

これがメロンパン事件です。

それから私は常に正直であるように、嘘つきにならないように徹底しました。塾で宿題をしてこなかったときも「先生!今日宿題してない!!!!」と堂々と言い、「お、おおおそうなん…」と正直すぎて逆に先生を困らせたり、ピアノでも「先生、今日はあまり練習してません…」と先生に言うと「正直に言えてえらい!」と褒められたりしました。
ただ人間関係、正直者が馬鹿を見る世の中らしく、「あんた素直すぎても痛い目合うで」と言われたこともあります。
でも今のところ、正直でいて得したことの方が多い気がします。

そんな私ですが、ニュージーランドに来て、わかってないのに返事をしてしまう癖がついてしまいました。
さっきも「Wi-Fi繋がらなくなったことある?」とホストマザーに聞かれて「知らない」と言ってしまった。聞かれた直後はパニックになってしまう。めちゃくちゃ繋がらんくなるのに…。
だから私は初心に帰るべく、メロンパン事件について書こうと思ったのです。

事件から10年経ったある日、私は父に

なぜ、嘘をつくと泥棒になるの?

と聞いたことがあります。
そしたらこのように返ってきました。

嘘はつけばつくほどだんだん慣れてくるものなんよ。そして小さい嘘から大きい嘘をつけるようになってくる。嘘をついたことに対する罪悪感が消えていく。そして大きく大きくなってそれが万引きだったり犯罪だったりになってしまうんよ。

らしいです。はじめは「え、大袈裟じゃね…?」と思っていましたが、イエスマンになりつつある今、それを実感しています。
分からないなら分からないと言う勇気を持とうと思います。

あなたはどうですか?
心に泥棒、いませんか?

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