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イベント業界を知る #1

その就職ちょっと待った!イベント業界ってどんなところ?

はじめまして。tomatoheadです。
色々と大変なご時世で、今回題材とするイベント業界が厳しい状況にありながら、これまで違法労働を平然と行ってきた業界であることもまた事実です。
「ブラック企業の淘汰」
これが私の目標であり、本当に社会のためになる企業だけ生き延びてほしいと日々願っております。私の実体験を交えながら、少しでも参考になる情報をシェア出来ればという所存です。

前置きはこれくらいにしておき、著者の簡単な自己紹介をさせてください。私は2015年頃に新卒で都内の某イベントプロダクション(いわゆる制作会社)に入社し、2020年頃まで営業として勤務していました。今は転身し大手の広告代理店に勤務しています。

これから書いていくことは、イベント業界のリアルです。
出来ることなら、イベント業界へ就職を考えている方にご一読いただければ幸いです。

結論から言いますと「イベント業への就職はオススメしません!」
出鼻を挫いてしまった方、ごめんなさい。簡単に入社できてしまうからこその注意喚起です。「相当の覚悟」と「目標」がない限りおすすめしません。

華やかな企業実績に釣られて、イベントプロダクションに入社してしまう方が思いの他多く、「大切な人生を棒に振って欲しくない」その一心で書き連ねていきます。

あなたがイベント業界へ就職しようとしている理由は何ですか?

 ● イベントってなんだが楽しそう
 ● 専門職ではないので入社ハードルが低そう
 ● フェスとかライブが好き
 ● アニメやゲーム業界と色んな仕事が出来そう

このような理由を思い浮かべた方は要注意です。
何故なら私の同期は上記の理由で入社しており、その全員が1年立たずに会社を去っていたからです。

実際、イベントは楽しい側面もありますし、専門知識が必要ないためやる気さえあれば誰でも出来ます。
フェス系のイベント運営やアニメ・ゲーム業界の展示会などに携わることも少なくはないでしょう。

ただ、どんな案件も99%の過程が過酷で、ふとした一瞬に楽しいかもと思える程度です。(実際の全業務工程を後述します。)
案件の内容が何であれ、肉体労働がほとんどであること。
それでも成し遂げたい何かがある。そんな理由をお持ちの方には、以降は蛇足となります。

肉体労働と揶揄しましたが、イベントプロダクションは労働時間があまりにも長すぎるということです。ホワイトカラーとは違うと断言出来ます。
ご自身の生活を犠牲にしてでも、案件を完遂させる「強い意思」と「忍耐力」がないと、生きていけない業界であることを知っていただければ不幸中の幸いです。

どうして「強い意思」と「忍耐力」が必要か?
イベントプロダクションはどこまで行っても「下請け企業」でしかないからです。イベントを開催するのはあくまでメーカーや広告代理店であり、こうした企業から予算をもらってイベントを制作していくわけですが、
 ● 予算が低い
 ● 短納期
 ● オーダーが多い(あれもしたい、これもしたい)
ということがほとんどです。
<※こうなる理由は反響があれば、代理店側の実態として記事化します。>


予算が低いということは「儲からない」ということで、儲けるためには制作費を削減するしかありません。ではどうやって制作費を削減するか?

 ■原価となる人材派遣会社、施工会社、デザイン会社などに交渉する
 ■自身の労働力(残業)を対価にする

これしかありません。
ちなみに私が勤務していた会社の代表は「クライアントから予算を引っ張ってこいと」と耳タコでしたが、そんなのは無理です。
20代そこそこの若造が、歴戦の代理店マンを相手に太刀打ちできるはずがないのですから(笑)

長くなってしまいましたが、イベントプロダクションは「クライアント、下請け企業との交渉」この工程が業務の多くを占めるため、心身ともに疲弊しやすく、それでもなんとか予算を抑えて(あるいは予算を増やしてもらい)イベントを実現していくという「強い意思」が必要とされます。
 「職人のおっちゃんに怒鳴られても折れない心」
 「そんなこと出来ませんと言われても相談し続ける根気強さ」
 「客から○ねと言われても、笑っていられる心の強さ」などなど

この業務だけであれば、弁が立つ方にとっては大して苦ではないでしょうし、実際問題、関わる人々と仲良くなれば済む話なので、勤続年数を重ねれば自然に慣れます。

一番ヤバい業務は、いわゆる運営マニュアル、台本といった資料の制作業務で、あまりにも膨大な資料作成と修正作業に耐えられるか、これが「忍耐力」が必要とされる理由です。

例えば、運営マニュアルだけでも、ページ数は平均して50枚前後ですが、誤字脱字が許されないため、体力と時間をトコトン消耗します。(私の場合、イベント前の徹夜作業は常習化していました。)

運営マニュアルの制作過程で泣き崩れる新入社員を何人も見てきましたので、一般的に辛い業務であることは間違いないでしょう。

ようやく運営マニュアルなどの資料が完成したとしても、イベントプロダクションはまだまだ休む訳にはいきません。

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といった感じで、24時間365日、休む間もなく馬車馬のように働き詰めます。
私が所属していたイベントプロダクションは40人くらいの中小企業でしたので、これまでの一連の流れは1人で行っていました。


いかがでしたでしょうか?
当然、入社してすぐに上記のような重労働を強いられることは稀と信じたいですが、2,3年も勤務すれば当たり前のようにこうした業務を遂行していかなくてはいけません。利益が出しにくい業態だからこそ、雇用数も少なく、1人当たりの負担は膨大かつ過酷。これがイベントプロダクションの実態です。

すべてのイベントプロダクションがこうでないことを祈るばかりですが、知人の会社も同じ状況でしたので、この規模感の会社はほとんど同じ状況なのかもしれません。

軽い気持ちで入社してはいけません。下手をすると死に至ります。

ポジティブな意見があるとすれば、イベント業界の最前線で5年働けば大体の企業において即戦力にはなれるでしょう。

これからのイベント業界へ足を踏み込もうとしている人の参考になれれば幸いです。

by tomatohead
2021.04.29 

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