見出し画像

平成生まれにおすすめしたい漫画「ブラックジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から〜」

2月9日は漫画の神様、手塚治虫先生の命日であり、漫画の日だった。

私は編集長によく漫画を借りる。漫画の編集者になりたかったその人は、漫画のすべてを知り尽くしているかのようで、借りた本は全部おもしろい。

そのうちの一つに「ブラックジャック創作秘話〜手塚治虫の仕事場から〜」という漫画がある。

これは、ブラックジャックの制作や手塚先生に関わる人たちの証言で綴ったノンフィクション。仰天エピソードが満載で、手塚先生が"漫画の神様"と称される理由がわかった気がする。恥ずかしながら平成生まれの私には、なぜ"漫画の神様"と呼ばれているのか、いまいちピンときていなかったからだ。

しかし、これを読んだとき、手塚先生に神様という言葉は似合わないんじゃないか、とも思った。

なぜなら手塚先生は、泥臭く、人間臭かったからだ。貧乏ゆすりをしながら椅子に座り、机にある原稿を睨むかのように線を描いていく。1週間机に向かったまま寝ない時も当たり前にある。自分の作品にこだわりを持ち、決して手を抜かない。違和感があれば、時間がなくとも必ず描き直す。アニメ制作が放送開始まで間に合わず、残りの絵を放送中に描いたこともあったという。

その姿に神様というよりも、漫画に情熱を注ぎ、いのちをかけた人間がいたのだ、と思った。

2019年2月9日は、手塚先生の平成最後の命日だった。平成はあと少しでおわる。自分が生まれた時代ももう終わるのだ。

昭和には手塚先生をはじめ、大スターと呼ばれる人がたくさんいた。平成生まれの中には、次世代に名を残す人はいるのだろうか。昨年は、西城秀樹さんやさくらももこさん、大杉漣さん、これまで時代をつくってきた人がたくさん亡くなった。まるで、次の世代にバトンを託したかのように。

私には、手塚先生と同じ共通点がある。極度の負けず嫌いということだ。"ゆとり"ともいわれる世代に生まれた私にとって、この漫画に出合ったのは何か意味があるはずなんだ。泥臭く、人間臭く、目の前のことにしがみついていきたい。この漫画はどんな自己啓発本よりも、そんなことを思わせてくれる漫画だと思う。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?