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この夏、マリナーズは「買い手」にもなるべきか?

あと3週間も経てば【トレード成立】のツイートが飛び交う時期に本格的に突入する。しかし、すでに「解体」(売り手)の道を進んでいるチームもいる。フィリーズにジェイ・ブルース(OF)、ヤンキースにエドウィン・エンカーナシオン(1B)を放出したシアトル・マリナーズだ。(同球団は先発のマイク・リークをダイヤモンドバックスにトレードすることを画策していたとの情報もある。)

今季のマリナーズは開幕直後こそは調子が良かったが、すぐに地区最下位に沈んでしまった。トレード好きのジェリー・ディポートGMの決断は早く、前述の通り主力打者2人をトレードで放出し完全に白旗を上げてしまった。
「ロースターにいる全てのベテラン選手がトレードの対象」とジェフ・パッサン記者が伝えているように今後も主力選手を逐次放出していく方針だ。

◯トレード候補
カイル・シーガー
ライオン・ヒーリー
ディー・ゴードン
ティム・ベッカム
マイク・リーク
菊池雄星
ウェイド・ルブラン
コリー・ギアリン
トミー・ミローン

マリナーズの選手契約状況一覧

故障から復帰したばかりのカイル・シーガーは残り契約の一部を負担して放出することを模索すると見られる。しかし、トレードの対価に見合うだけの交換要員を得られない可能性があり、そのうえマイナーに目立った有望株三塁手がいないためトレード合意には至らないのではないかと予想される。

ライオン・ヒーリーはダニエル・ボーゲルバックの覚醒、17年ドラフト1巡目(全体17位)でSEAに入団したエバン・ホワイト(1B/23歳)がマイナーに控えているため放出されることが濃厚だ。しかし、トレード価値は高くない。
ディー・ゴードン、マイク・リークは契約に見合うだけの活躍をしているとは言い難く、残り契約をほぼ全額負担しなければトレード相手を見つけることが困難な状況だ。そのため、トレード交渉も難航する可能性が高い。当然、見返りもほとんど得られないだろう。
ベッカム、ルブラン、ギアリン、ミローン辺りは小規模なトレードになると予想され、見返りは「後日指名選手または金銭」程度だろう。

オフに3年4300万ドルで加入した菊池雄星はすでに一部から「Kei Igawa」と揶揄されるほどメジャーで苦しんでいる。今季ここまで16試合に先発し、防御率5.15。現状改善の策はなく、当初の期待からは程遠い成績となっている。
放出の際、引き取り手を見つけのは困難か。

◯放出を拒むと予想される選手(メジャーレベル)
投手
マルコ・ゴンザレス
野手
ミッチ・ハニガー
オマー・ナルバエズ
ダニエル・ボーゲルバック
ドミンゴ・サンタナ
マレックス・スミス

上記の6選手についてはディアズのような頭を使ったトレードではない限り放出されることはないだろう。

◯この夏、マリナーズは「買い手」にもなるべきか?
同球団はオフに数年先を見据えて、3〜4年保有可能なドミンゴ・サンタナ、オマー・ナルバエズをトレードで獲得した。両打者ともOPS.800以上マークしていて成功と言える。
球団にとって今季のマイナーでの育成における最大の誤算はジェームズ・パクストンの交換要員のメインとして獲得した有望株左腕のジャスタス・シェフィールドの不調だ。今季3Aでスタートを切り、13試合(55回)で防御率6.87。与四球率・被本塁打率の指標も悪く、とうとう2Aに降格してしまった。
そのため、将来のローテーションと期待できる状況ではなくなり少しプランにズレが出ている。そこで、オフに行った「複数年(3年以上)保有できる選手をトレードで獲得する」という手法をこの夏のトレード戦線でも行うことを検討しても良いのではないかということである。野手に関しても同じことである。

⚪︎トレード市場でそれらの条件に該当する選手
ブランドン・デュルーリー(22年)
マット・ボイト(22年)
ウィット・メリフィールド(23年)
ケレイブ・スミス(23年)
ニック・ウィリアムズ(23年)
イアン・ハップ(23年)
タイ・フランス(24年)
ハンター・レンフロー(23年)
マニュエル・マーゴ(22年)
※カッコ内は保有可能な年度までの数字です。

メリフィールドに関してはロイヤルズのデイトン・ムーアGMが放出に否定的なコメントをしている。
理想はタイガースのマット・ボイトやマーリンズのケレイブ・スミス獲得だが、争奪戦になることが確実で再建気味のマリナーズにとって有望株の放出は慎重にならざるを得ない。しかし、トレード交渉でシェフィールドやカイル・ルイス、サム・カールソンらを交換要員の軸として交渉して見ても悪くはないと思われる。

ウィリアムズやハップは評価が下がっているということもあり狙い目だ。しかし、両選手ともプレーオフ進出を目指しているチームに所属しているため、選手層という観点から放出には否定的と見られる。

現実的には内野手のデュルーリーやフランス、外野手のマーゴ辺りだろう。

◯将来のマリナーズの予想布陣
C オマー・ナルバエズ
1B エバン・ホワイト
2B シェド・ロング
3B カイル・シーガー
SS JP・クロフォード
LF ドミンゴ・サンタナ
CF ジャレッド・ケレニック
RF ミッチ・ハニガー
DH ダニエル・ボーゲルバック

先発
1 ローガン・ギルバート
2 マルコ・ゴンザレス
3 ジャスティン・ダン
4 ジョージ・カービー
5 菊池雄星

野手に関しては内野手の若手有望株がマイナーにもあまり見当たらず、補充が必要と見られる。来年のドラフトでは上位指名権を得られる可能性が高いため即戦力となる有力な大学生内野手もしくは投手を指名したいところだ。

2020年前半にコンテンダーになるプランが失敗に終わればディポートGMは解任となり、プレーオフ進出は2025年以降に...

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