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やってよかった自筆証書遺言保管制度

先日、「自筆証書遺言保管制度」を利用して母の遺言書を地元の法務局に預けてきました。息子の立場とすれば、「やっと終わった!」って感じですね。ここまで来るのにかなりの時間を費やしましたよ。ほんと疲れました。

母親は81歳ですので「団塊の世代」前の「焼のはら世代」になるようです。3年程前、畑仕事の最中にバランスを崩して腰骨を骨折する重傷を負ってしまい、現在は「介護等級2級」の認定を受けてます。2か月程の入院で腰骨は完治したのですが、主治医から「絶対に転んではいけないよ」の一言が効いたらしく、今まで行ってきた家事や畑仕事、長時間の散歩は一切やらなくなりました。


私が20歳の時に父親を癌で亡くしてからは女手一つで私と妹を育ててくれた気丈な性格の母親で、何をやるにも自分でやらないと気が済まない人でしたが、現在では家事や畑仕事、病院の送り迎えなど全て私たち夫婦がやる事になってからは急激に身体が弱くなりました。頭の回転も遅くなり物忘れも頻繁に発生し、このままではまずいと感じた私は相続を意識するようになりました。

母の入院中は介護を理由に会社を1か月ほど休んでいまして、隙間時間を利用しては資格試験の勉強をしていました。その時に資格本のテキストで「自筆証書遺言保管制度」を知り、内容を調べて驚愕しました。決められたフォーマットに従い、自筆で遺言書を書いて法務局に手数料の3900円を納め保管すればよいだけ。簡単すぎます。それ以前の知識は友達や同僚たちから聞いていた公証役場に保管する「公正証書遺言」制度を利用するつもりでいたので金銭面と公証人を雇う手間を考えると正直面倒くさいなと思っていたからです。


早速、近所の支局でパンフレットを入手した私は職員さんから「本局で講習会がありますから人数制限はございますが宜しかったら参加してください」と案内してくれたので、ネットから予約を入れて講習会に参加してきました。


参加した感想は、職員さんの説明がやっつけ仕事的な物言いで早口、正直言って頭にはスッと入ってこなかったですね。終了後に個別質問受付がありましたから、その時に事前にパフレットをじっくり読んで疑問点を紙に書きだしておいた事柄を全て聞いてきました。個別質問の方がなぜがゆっくりしゃべってくれました。(笑)

大まかな流れを理解したのでパンフレットを開き、母親に説明をはじめました。説明を始めて5分もしないうちに「面倒くさいから聞きたくない。なんで遺言なんか書かなくちゃならないの?もうすぐ死んじゃうみたいな言い方じゃない。馬鹿にしてんの?」と言ってきます。私からすれば母を思い一生懸命に説明しようとしてるのにそんな事を言われると、私も母も気が短い性格なのですぐに口論になります。この繰り返しを経て、数か月説得し続けてやっと理解してもらえたんです。同時並行で「断捨離」の説得もしておりまして、こちらも理解してもらえました。

こちらをクリックして ↓ ↓ ↓ ページの一番下の「2 遺言書の用紙例について」の「遺言書の用紙例」をクリックして印刷すればよいかもしれません。私はこれを利用させてもらいました。

母の希望で遺言書を書く前に断捨離がしたいと言うので身の回りの物を片付ける事にしました。母は物を捨てられないタイプの人なので、特に衣類に関しては20歳の頃からの洋服も捨てずに大量に押し入れに収納されてました。一つ一つ私が確認しながら「必要?」か「不要?」と聞いては「不要」の場合は速攻でごみ袋に入れます。目につくところに置いておくと気変わりして「必要」に変わるのを防ぐためです。母は「必要」と「不要」の判断だけ。片付けるのは私。この作業は2日続き、心も身体もへとへと状態。しかしこの断捨離を先に行った事が吉とでました。

母が存在を忘れていた証券、通帳、印鑑などが次々と出てきたのです。通帳は当人が忘れているくらいですから「休眠通帳」状態になっているのがほとんどでした。それぞれの銀行の休眠通帳の手続きをしたり、証券の確認をしたり印鑑の照合(本人が実印と言っていたので)をして更に数日かかってしまいました。

断捨離も一段落し、いよいよ「自筆証書遺言」を書こうという段階になり、
事前に書きたいことをヒアリングして、ある程度の文章は考えてあげました。
さあ!いよいよ本番です。母には「用紙は沢山印刷したから間違えても気にせずゆっくり書こうね!」と機嫌を損ねないようにアドバイスして書き始めると…… 
 
「あれ?」……と母親。

「どした?」……と私。

「何だか手が震えて書きづらいんだよ!」と母親。

字を見るとミミズが這った様な字体。うわっ!こりゃまずいな!?一難去ってまた一難ってこの事かよ!みたいな。
文句言っても震えが止まるわけじゃないから逸る気持ちをグッと抑えて「震えが止まる方法を考えながら書こうか」と母に言いました。最終的に左手で右の手首を抑えながら書くと震えが止まる事がわかり、その状態でゆっくりと書いてもらいました。数行の文章ですが休み休み書いたので2時間はかかったと記憶してます。書き終わった後はなぜか私が号泣して母を抱きしめていました。抱きしめられた母は「離せ!なんで泣くんだ?お前は!」だって。(-_-;)

自筆証書遺言を封筒に入れて母と法務局へ。
法務局では職員さんと母の一対一で遺言書の内容確認をしているようです。変更や間違いが無いのを確認後、手数料を支払い保管受付完了です。


最後に、「自筆証書遺言保管制度」は当人が心も身体も元気なうちじゃないとできないって事ですね。この制度をお考えの高齢の親を持つ皆さん、お早めにご決断をなさってお互い楽になりましょうね。(^_-)-☆


最後まで読んでいただきありがとうございました!!


#自筆証書遺言書保管制度

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