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電撃プレイステーションと今後のゲームメディアについてを考える

 電撃プレイステーションの定期刊行が終了となった。
 正直な意見を述べさせてもらうと、やっぱ大変だったんだろうな。の一言に尽きる。インターネットの発展で少し検索すればゲームの情報など山ほど出てくるし、Youtubeでいくらでもゲームプレイ動画などが見れるため、ゲーム情報誌の重要性と言うのは年々薄れてきてしまっていたような気もしないでもない。

 特に日本ではスイッチが押されまくっている現在に、洋ゲープレイヤーが大半になってしまったプレイステーションをテーマに雑誌を作るのは非常に困難だっただろう。 電プレ自体、国内ゲームの記事を多く作っていた為、洋ゲーメインになるとどうしても書きづらいというのはあるだろう。そして、国内(特に恋愛)ゲームのシェアが高いPSVitaの生産も終了したため、題材が少なくなってしまった。というのも事実だ。

 PS5の発売でさらにプレイステーション自体は盛り上がるが、技術的にPS3の最大スペックすら出しきれてない国内ゲーム会社が多い今、PS5が出たところで、国内メインのプレイステーション雑誌が売れるかと言われると頷けない。

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コンシューマーで長年出してきた「日本一ソフトウェア」ですら、3Dゲームの技術は未だPS3レベルを抜けられていない

 いくら25年やったからって売れ行きの見えない雑誌を刊行するほど雑誌業界に余裕がないというのもある。
 だがこの「電撃プレイステーション」の紙媒体が終わってしまった。というだけの話にしてしまうのはどこか違うような気もする。

 「電プレ」だけでなく今一度ゲームメディアというものについて改めて考え直す必要があると自分は考える。
 紙媒体だけでなく、インターネットでの情報ですら少しずつ見られなくなっていく今日この頃のゲームメディアはどうすればいいのだろうか。

 ゲームニュースと一般のニュースは全く違う

 なにを当たり前のことを…と思っているだろうが、自分が言っているのは出すトピックの事でなく、求められていることについて、ゲームというメディアについて非常に大切な事である。

 自分が思うに最近、ゲームニュースがファスト的なものになっている気がする。
 新作ゲームの発売を知らせるだけの記事、2時間ほどプレイした簡単なレビュー、人気ゲームのちょっとしたアップデート情報。多くのサイトはこれだけで運営されていて、正直これだけで閲覧者の多い大手サイトはプレビューを稼げてしまう。

 これはもはや現代のテレビやネットのニュースとなんら変わりないと思う。簡単に手に入る情報をスピード重視で、ポンポンと置いてプレビューを稼ぐ、これは「趣味」というカテゴリのメディアをやる上でいいのだろうか。

 そしてその3つのジャンルの記事にも少しずつ終わりが近づいてきている。
 Youtubeで動画を見ればゲームの情報がわかるし、最近はそれを狙いにした情報を提供するゲームチャンネルも増えてきた。アップデート情報は、プロゲーマーの動画やTwitterなどを見ればどのようになったのか理解しやすいし、Steamでそのゲームのページを見れば、レビューなんて一目瞭然だ。

  掲示板がSNSにとって代わったように、紙媒体での雑誌はサイトに取られ、最終的に動画サービスに取られてしまっているという現実だ。
 多分電プレはその現実を真っ向から受け、このような事になったのだろう。

 そしてそのように動画サービスに取られたメディアサイトはどのようになるのかというと、露骨なゲームたたきを始める。Fallout76や、Anthemなどの発売前評価と発売後の評価が大きく違うゲームの記事を多く上げてプレビューを稼ぐ(特にゲーム系まとめサイトとかは多い)、実際にそれでプレビューが稼げるのだ。果たしてこれが"正しい"ゲームメディアと言えるのだろうか。

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 No Man's Skyなんて特にそうだ。初期は未完成だとさんざんたたかれ、メディアもこぞってそのように言っていたが、 アップデートによって著しくゲームがボリューミーになった所、アップデート情報やTrailerの情報を多く出すようになった。

 本来そのような場合に行うべきことは、実際にアップデートされたゲームをプレイして、どのような感触を得たか、以前とどう変わったのかをしっかりとレビューすることではないのだろうか。
 昨今のゲームはアップデートによって大きく変わる為、そのたびに評価を更新していくことがかなり重要になっている。それを怠り、プレビューを稼ぐための記事だけを投稿するのは、自らのメディアを腐らせるのではないだろうか。

攻略情報を金とする人たち

 では、紙媒体の雑誌が単純に動画やサイトのプレビュー稼ぎに負けて、廃刊になったのか?と言われるとそうでもない、雑誌には雑誌の強みがあるのだ。

 それは、各大手ゲーム会社企業とつながっていること。特に電プレは「Playstation」という看板を背負っている為、PS関連のコンシューマーに出している企業とのつながりは強く、発売日前にゲームの攻略情報を置いている事が多い。

 なので、大型の新作ゲームが来た場合は、電プレやファミ通を見て、攻略情報を見ながら遊んでいくというのが、今までのゲーマーのベタなスタイルのひとつだった。

 それが少しずつインターネットの発展によって変わったのは言うまでもない、攻略Wikiの登場によって、ユーザーは紙媒体の雑誌やを見ることなく、攻略情報を手に入れることができる。これによって攻略本も今やほぼ見ないものとなっていった。

 そんな攻略Wikiですら現在終わりを迎えつつあるのだ。なぜなら、企業型の攻略サイトや、ゲームまとめサイトなどが多く出始め、広告などを付けてプレビューを稼ぐようになったからだ。

 そのような攻略サイトはクラウドワークスなどで安価なライターを雇い、記事を大量生産することで、採算をとっている。
 ボランティアでやっていた攻略サイトやWikiはその登場によって少しずつ日の目を浴びなくなってきた。

 これらを最も問題視するべきだと自分は考える。ゲームたたきや、署名記事ではない人らの安易な記事によって、ゲーマーのためのものが、ただのお金稼ぎのためのものになってしまっているのだ。

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 クラウドワークスの紹介ページから、このようなサービスはいいことも多いが、ライターや記事を見るユーザーにとってはいいことではないだろう。

 日々拡大する「ゲーム」というジャンル

 ゲームというコンテンツは未だに拡大し続けている珍しいジャンルだ。
 毎月のように大型ゲームが出て、数年に一回は大きな技術革新が起きる。
 昨今ではインディーゲームも注目された為、ゲーマーにとってはうれしくもありなやましくもあるのだ。

 そんな増えすぎたゲームたちに、ページ数が決まっている紙媒体の雑誌がすべて対応できるのかというと難しい、雑誌を買うよりサイトやSNSをみて情報を手に入れる方がはるかに簡単でそしてお金もかからないからだ。

 だが、そんな紙媒体の雑誌にも魅力はある。開発者のインタビューや、専門のライターたちのゲームの紹介、そして雑誌を購読しているユーザーたちのゲーム愛をぶつけるコーナー。

 それが少しずつなくなってしまうのはゲーマーとしてさみしい。
 自分もここ数年ゲーム雑誌を買う事はなくなってしまったが、やはり思い返すとゲーム雑誌にはゲーム雑誌にしかない魅力が沢山あった。

 だが、悲しんでるだけでは安価な記事や、ニセ攻略サイトたちに埋もれてしまう。そのような魅力をインターネットで出すことだってできるのだ。
 例えばこの記事のようにnoteに投稿することや、ブログで好きなゲームを発信、wikiなどの更新、端的レビューをどこにでもいいから投稿することだって、ユーザー主体の発信だ。

 今、ゲームメディアを変えるのは企業ではなく、私たちなのだ。大好きなゲームに対して語るだけで、好きなゲームの事を書くだけで、ゲームメディアという果てしない大地に水を撒ける。その水から種が根をはって成長していくのだ。

 そうすれば「電プレ」を見ていたあの頃みたいな気持ちがまた戻ってくるのではないだろうか。

 

 

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