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箱夢の話集 第三集

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2019年3月の記事一覧

【話】剣の舞

よく斬れる剣であった。 竹や木など、風のように斬る。 岩や骨なら、水のように斬る。 そん…

Tome館長
5年前
13

【昔話】使者の踊り

隣国との間に戦争が続いていた。 永遠のように長い戦争であった。 その隣国から、使者がやっ…

Tome館長
5年前
14

【話】貯水池の鴨

輪 信濃川のすぐ近く  水力発電所の貯水池に鴨の群があった。 適当な間隔を置いて水面に浮か…

Tome館長
5年前
20

【話】完全犯罪

ある男がある女を殺した。 死んだ女は人類最後の女性。 人工出産の技術は、まだ確立してない…

Tome館長
5年前
17

【話】トンネルと自転車

まだ少年だった頃、 自転車で砂利の坂道を下るのが好きだった。 車軸潰しの激しい振動がたま…

Tome館長
5年前
15

【セリフ】いやな女

ねえ、あんた。そう、あんたよ。 あら、逃げなくたっていいじゃない。 ホント、臆病なんだか…

Tome館長
5年前
22

【話】山頂の城跡

少年時代の終わりの夏だった。 ひとり、城跡へと続く山道を歩いていた。 城跡と言っても、山頂には形跡すらない。 立て札がなければ誰も気づかないだろう。 山頂に着いたら裸になるつもりだった。 きっと素晴らしい解放感だろう。 山菜採りの季節でもなければ人はいないのだ。 身軽でいたいので、荷物は縦笛一本だけ。 城跡で吹いてやろう、と思っていた。 つまらないことが楽しみな年頃だったのだ。 そろそろ山頂が見えてくる場所だった。 林を抜けると、日差しがまぶしかった。 そう。

【話】真夜中の電話

真夜中に電話の音で起こされた。 暗かった。 寝ぼけていた。 ありもしない目覚まし時計を探…

Tome館長
5年前
21

【話】洗礼の雨

大事な試合に負け、その帰り道。 体がだるく、とにかく疲れていた。 頭痛もひどかった。 そ…

Tome館長
5年前
14

【話】百人の軍隊

どこにも敵はいないのだった。 のどかな小さな村があるばかり。 そよ風とうららかな日差しが…

Tome館長
5年前
15

【話】竹やぶ

近所の神社を囲むように竹やぶがある。 市の保護指定を受けているだけあって  さすがに並の…

Tome館長
5年前
14

【怪談】くすぐり魔

靴音が信じられないくらい大きく響く。 街灯もまばらな暗く寂しい新月の夜道。 若い娘がひと…

Tome館長
5年前
24

【語り】事件の真相

あの事件の真相を申しあげます。 当時、あの事件は世間を大いに騒がせました。 そもそも事件…

Tome館長
5年前
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