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夕暮れが迫っていた。 急がねば。 村はずれに首切り地蔵が祭ってある。 罪もなく打ち首にされ…
猫は一度こちらを振り返ると そのまま雑木林へ逃げ込んでいった。 まるで僕を誘惑するみた…
「ねえ、お母さん。見て、あの人」 幼い娘が声を震わせ、指さした。 それは性別さえ区別でき…
目の前で扉が左右に開いた。 ひとり、灰色のエレベーターに乗る。 狭くて殺風景な直方体の箱…
私は病院から出ると、まず空を見上げた。 ああ、青いな、と思った。 まったくなんにも考えて…
いにしえの廃墟から出てきたものは 金属の板が大きさの順番に並べられていた。 棒切れで叩…
彼女は磔にされた。 十字架の上に釘で手足をとめられ 裸のまま商店街を運ばれてゆくのだった。 (せめて腰布くらい巻いてほしいな) 年頃の彼女はそんなことを思うのだが それを口にするのはためらわれた。 なにしろ、彼女は罪人なのだから。 途中、アーケードの通路の幅が狭いために 十字架の端が店先の看板に当たってしまう。 「おい、気をつけてくれよ!」 八百屋の親父に怒鳴られたりする。 そのたびに彼女は謝らなければならなかった。 「すみません。どうもすみません」 「ふ
人、酒を飲む。 酒、酒を飲む。 酒、人を飲む。 しかし、彼女に限っては まず酒に飲まれる…
私の家の裏庭には色々な「楽木」が茂っています。 「楽木」は楽器の音のする木のこと。 たと…
「もしもし。あなた」 呼びかけられて振り向いたら 宇宙人だった。 本物の宇宙人ですよ と言…
ねえ、あんた。ねえったら。 あんた、どうしたの? あたしを置いてきぼりにしてさ。 もう、い…
ようこそ。 いらっしゃいませ。 おひさしぶりです。 おかわりありませんか。 お元気そうでな…
帰宅途中、道に迷ってみたくなり わき道にそれてみた。 見飽きた風景をさけたくなって そ…
さて、そろそろ起きなければ。 もう起きる時間だから起きるのだ。 だが、どうやって起きるか。 それが問題だ。 まずは毛布を払いのけるべきだろう。 毛布を払いのけるには手を使えばいい。 右手か左手か、あるいは両手でもいい。 いや、足を使ってもできそうだ。 もし手も足も出なかったらどうするか。 どうしよう。わからない。 考えるのだ。 そうだ。頭だ。 頭を使うのだ。 しかし、丸い頭では毛布をめくれない。 いや、頭をつぶせばなんとかなる。 ヘラみたいに平らにつぶせばい