留木コウキ

エッセイスト。村上春樹、森見登美彦のエッセイが好き。美術館によく行きます。

留木コウキ

エッセイスト。村上春樹、森見登美彦のエッセイが好き。美術館によく行きます。

最近の記事

交差点前の電柱に 蜘蛛が巣を張っていた 逆さま向いて 何かを待っていた

    • 息子は犬を「にゃー」と呼び、大人は仕事を「いい感じに」と言う

      息子は犬を「にゃー」と呼び、大人は仕事を頼むときに「いい感じに」という。どちらも似ているなあとふと思った。 息子は絵本ではじめて猫と出会った。耳がちょこんと頭にのっていて、ヒゲが生えており、四つの足で歩く。 それが息子にとっての猫だった。だから、外で猫をみても「にゃー」と指を指しながら叫ぶし、犬をみても「にゃー」といって追い回した。 たしかにどちらも耳とヒゲがあり、四足でとことこ歩く。 「あれはワンワンだよ」と言っても、ちっとも「ワンワン」と言わない。 息子はまだどちらの

      • あえて何も調べずに美術館に行く

        美術館に行くときはあえて何も調べずに行くのが良いと思う。ズボラに行ったほうが、心の琴線に触れる作品を見つけやすくなると思うからだ。   初めて美術館に行ったのは大学生のときだった。「アートを語れるとカッコイイ」と思ったのがきっかけだった。 事前に画家や作品の背景、なぜ評価されているかは調べてある。今日は全ての作品を舐めるようにみて、作品の説明文もすべて読んで味わい尽くそう。そう意気込んで美術館に向かった。 展示の出口につく頃には疲れ果ててヘトヘトになっていた。色んな作品を

        • 小さな引っかかりを掘りさげること@松柏美術館

          白鷺のすらりとした姿や赤い牡丹ではなく、眼だった。 上村松篁の「花」を何度もみるうちに白鷺の眼にどんどん惹き込まれていった。 奈良市の閑静な住宅街に建つ、松伯美術館を訪れた。近代美人画で有名な日本画家の上村松園(しょうえん)を中心に、その息子で花鳥画で有名な松篁(しょうこう)、孫の淳之(あつし)の三代にわたる作品を展示している美術館である。 これまで日本画については全然知らなかった。 だが、上村松篁の「金魚」を紹介してもらい、その美しさと余白から感じる静寂さに心を動かされ

        交差点前の電柱に 蜘蛛が巣を張っていた 逆さま向いて 何かを待っていた