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ブラに縛られずブラをたのしむこと

休職中かつ妊娠8ヶ月のとめこです。
今回は私の大好きなもの、下着の話を。

辞めて4年近く経つため、”元”を名乗ることも厚かましいかもしれないけれど、大手下着メーカーで4年ほど働いていた元下着販売員だ。
2018年には、セミオーダーメイドブラ通販ショップであるAll for meのフィッティングサロンで数日間、フィッティングを担当させてもらった。

サロンでの経験などを通して「合う下着」の捉え方は変わった部分もあるし、途絶えず続いている下着への愛もある。
ブラジャーをたのしむとは私にとってどういうことか、
抱き続けてきた、あるいは捨てたり拾ったりしてできあがった、今の私の下着へのスタンスを書く。

私の胸は、すっきりヘルシーな愛しい胸

「すべての胸はそこにあるだけで美しい」とまず思う。
顔かたちがみんな違うように、胸も一人ひとり千差万別で、それぞれに悩みも尽きないけど、
どんな大きさも高さも形も色も向きも、美しい。
キュートなおっぱいもグラマーなおっぱいも、ヘルシーもハンサムも、
ヤングな胸もキャリアな胸もエイジングを重ねた胸も、
左右で大きさが違う胸も、左右の胸の間が離れていても、
授乳という大きな役割を終えたおっぱいも、
全部全部、崇高なおっぱいだ。

そう思えなかった時もあった。
中学時代、好きな人に影で「あいつは胸が小さい」と言われていた。
悲しくてしばらく鏡で自分の体が見られなかった。
それから22歳で社会人になるくらいまで、自分のことを「貧乳キャラ」と設定して自虐的に振る舞っていたし、谷間に憧れては寄せるブラを試着し、うなだれたりもしていた。
胸は、コンプレックスのひとつだった。
一方で胸のサイズで友人をからかったことも、1回2回ではないと思う。

社会人1年目、かわいくて自分の体に合うと感じられるブラジャーに出会い衝撃を受けた。
途端に、私の胸、悪くないんじゃん!と思えた。
その前から見せないファッションアイテムとして下着が好きだったが、これをきっかけにどんどん下着に夢中になっていった。
そのうちに下着だけでなく似合う服も見つけられるようになって、
理想の自分を作り出してくれる大事な一部として、すっきりヘルシーな胸を愛せるようになった。

ブラジャーってなんのためにするんだろう

ブラジャーの主な機能は、乳房を保護し、乳房の揺れを防いで体を動きやすくすることにある。

ブラジャー(brassiere)
乳房を保護し、胸の形を整えるための女性用下着。ブラ。(デジタル大辞泉)

メリハリを強調した女性らしい体の線をつくる役割も担う。
ほかに下垂への対策や胸を大きくするなどの機能を謳っているものもある。
胸の下垂は、胸を組織している靭帯が切れて起こるとされている。この靭帯は一度切れると再生しないそうだ。
靭帯を守るためにブラジャーをしましょう、というのが下着メーカーの説明だ。

走って胸が大きく揺れることで影響を受けることはあるかもしれないが、日常生活で切れるような靭帯では一体何が支えられるのかという疑問が出る。

※Wikipediaには、妊娠や加齢、喫煙などの影響で下垂すると書いてある。引用元は英語圏の美容整形外科情報サイトで、参考論文が記してあるわけではないので、どこまで科学的な根拠があるかはわからない。

ちょっと話がそれるけど、
情報を得ようとするとき、ドラマチックな話・恐怖や不安をあおる話は、控え目に聞くくらいでいいそうだ。
そういう話にはつい興味を惹かれたり信じたくなってしまうが、
事実なら、そんな表現をしなくても冷静なデータや分析で納得させてくれるはずだからだ。
(これは最近読んだファクトフルネスという本の受け売り。)
だから、どの程度下垂が防げるのか、サイズが変わるのか、大きくすることはできるのか、それはなぜか、
ブラジャーを扱っている人に質問して、不思議がしっかり解消できたら、その機能を信じてブラを使えばいいと思う。

ブラを着ける理由として、
美しいブラをまとうことで気持ちが高揚したり、ブラの繊細な造形に惹かれるからというのも、とても素晴らしいと思う。
私もそういった下着の楽しみ方をしている一人だ。
一方で、ノーブラの楽さや快適さも知っている。
ノーブラには胸の輪郭がぼやけるなどのデメリットもあるけど、
気持ちよさや自由さでいきいきと過ごせるなら、ノーブラという選択もありだと思っている。
ブラは、絶対につけないといけないものではない。
納得できる根拠と自分の心地よさのバランスをとって、ブラを楽しみたい。

「私に合うブラ」は誰が決めるのか

ブラジャーを売る人や紹介する人の多くは、採寸・試着・フィッティングをして「正しいサイズのブラ」を身に着けるように言うだろう。
私も販売員のころは、メーカーが唱える「正しいサイズ」を目指してフィッティングすることに燃えていた。

※フィッティング:下着を着ける位置、寄せ集めや肩紐調整などの着け方、サイズが合っているか確認すること。

私がいたメーカーと店舗での「正しいサイズ」は、
ブラのワイヤーが形作るU字と胸の輪郭がだいたい一致していて、カップの縁と胸にあまり隙間ができない状態を指していた。
こうすると、大体の場合着け心地も悪くなく、胸が揺れにくくなったり、きつさ/不安定さを解消できたり、メリットも多い。
そんな「正しいサイズ」を見つけることが楽しく、
一時はゲーム感覚でフィッティングをさばきたいとも思っていた。
下着について困っていると言われてもいないのに、困っているに違いない、「正しいサイズ」の感動を教えたい!なんて思ったりもしていた。
「正しいサイズ」を知っているのは販売員である私で、
正解を導けるのは、着ける人ではなく私だと妄信していた。

でも、『ブラが合っている』と判断するのは、着ける本人だろう。
着け心地や体とフィットしているかの納得感があってようやく『ブラが合っている』と言えるからだ。
とはいっても、何がどうなら『ブラが合っている』状態に近づく「正しいサイズ」かは詳しい人からレクチャーを受けないとわかりにくいのがブラの現状だと思う。
あとは、胸を大きく/小さく見せたい、肩紐がいつも落ちる、ブラがずれる、ワイヤーが当たって痛いなどの悩みを解消するためにも、
販売員や詳しい人から、見立てや解決方法のアイデアをもらうことは意味がある。
私も今後、誰かの下着選びに関われる機会には、補佐役として着ける本人が『合っているブラ』を選んで決められるようにサポートしたいと考えてる。

ブラトップもノンワイヤーもだめじゃない

胸やブラジャーについての「あるべき形」「こうでなければいけない」といった自分の中の思い込みに気付いて、外れていたものをフラットにとらえられる頭を持ちたいと、最近は特に思う。
以前はユニクロのブラトップに対して批判的な構えでいたが、
これまでのワイヤーブラへの不満として挙げられる「窮屈」「痛い」「サイズがよくわからない」「試着が面倒」「接客されたくない」「レースいらない」「高い」などを見事に解消させているから、革新的だし、それは売れるよねと今は納得もできる。

もちろん、ボディラインを下着の力で美しく整えたい、下着によって洋服のシルエットをきれいに見せたい、といった熱い希望を持っている人も素晴らしいと思っているし、
そこで私が力になれることがあれば、尽力したいとも思う。
ブラによって洋服のシルエットが変化する面白さは、ぜひ実感してもらいたいくらいだ、興味があれば。

心も体も気持ち良く過ごせるなら、ブラトップもノンワイヤーブラもノーブラも、ワイヤー入りブラジャーもありだ。
大雑把に聞こえるかもしれないけど、
自分の中にある守りたいこと・優先したいことが選んだ下着で叶えられているなら、どの下着でも拍手を送りたいという意図だ。
でももし、気がかりや引っかかっている問題があるのだとしたら、納得できる解消の方法を店舗や詳しい人に聞いてほしい。
今のブラでも問題ないかもしれないし、別の解決の手立てが見つかるかもしれない。
「ブラ」に縛られないで、それぞれのブラをたのしめたら、
もっとブラが好きになれると思う。

すべての胸に幸せあれ!

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