アマゾンは危険だ。アマゾンズとは大違いである。

ローランドCUBE80GXというエレキギター用アンプが気になっていて、ついアマゾンで「ポチっと」してしまった。アマゾンは危険だ、アマゾンズとは大違いである。


それほど大きな買い物でもなく、せいぜい4万円程度というギターアンプの世界で言うと「練習用アンプ」にチン毛の生えた程度の価格帯のものである。今時4万円なんて中古車でも買えてしまう価格破壊のご時世、そういえばワタクシは故障した車の代替として軽自動車「ダイハツミラ」を中古車屋で500円で購入したことがある。昔懐かしい色「マルーン」のジャスト・ワンコインカー、これはさすがに「たまにパワステが利かなくなったり雨の日の国道246号線の多摩川の上でエンジンが止まる」という現象を体験しながら半年程乗って、4,5回蹴って捨てた究極の余談である。話題はギターアンプ。

 そもそもエレキギターの品質について、やれ「オールドが良い」とか、「ハカランダ材を使ったものが良い!」とか、いろいろギター側のウンチクはそれなりに定着している模様なのだが、こんな迷信も出るほどギターファンはギターが好きなのだ。しかしそれに引きかえアンプについては意外に無頓着な方が多い。「ハイワットのオリジナルムラード管入ってるのをオリジナル電圧で使用して云々・・・」みたいなこと言ってる人は居るには居るが、大体まばたきを5分に1回くらいしかしない稀なタイプである。大半はローランドジャズコーラスとかフェンダーツインリバーブ再生産、とかマーシャルJCM2000とか止まりではありませんか?

エレキギターの音が出るのはアンプのスピーカーから出るので、ここは非常に大事である。ビシビシにスーツでキメて靴が便所のサンダル状態のスタイルが好きな人はタイリクバラタナゴばりに貴重なのではないのでしょうか。また、それなりにバランスがあるどころか、電気楽器である以上、ギターはコントローラー、アンプが楽器!ってくらいにワタクシは思っている。なので2014年現在で使っているギター、ギブソンES335カスタムは、カスタムとは名ばかりのメンフィス工場製でマット塗装の、要するに「懺悔の値打ちもない程の楽器」で、北原ミレイもびっくり、しかも新品である。更に買いたたいて非常に安い。コントローラーとしてはこれで充分、勿論コントローラーとして「ネックの握りが好み」とか「故障が少ない」とか「カッコイイ」とか「国際線の乗り継ぎのコンベアで2メートルくらい投げられても絶対に壊れない」、「盗まれても惜しくない」というレギュレーションは満たしているが。

 ワタクシはギターアンプに一定の条件を課していた。それは「真空管アンプで40ワット以上でリヴァーブが付いていて、かつ、あまり高級すぎない」というもの。

 理由は、トランジスタやデジタル技術が進歩しても真空管の音密度が欲しい、あまり小さな出力では真空管の場合音が勝手に歪んでしまう、響きの少ない場所で演奏する時に廻りの楽器の音との繋がりを考えてリヴァーブが必要、高級すぎたらツアーに持って行く気がしない、など。

 フェンダーの真空管アンプ「ツインリヴァーブ」などの結構ボロボロのものを安価に仕入れて数年使ってから買い替えるような繋ぎ方でシノいできた。しかし、コンディションも悪い上に「クソ」がつくほど重く、よく壊れる。この信頼度の低さにワタクシのテンションまで下がり気味。もう少しまともなアンプをと思っていたところ、ニューオリンズでギタリストJune Yamagishi氏がMESAのElectra Dyneというコンボアンプを使っていて、お薦めを受けた。聴くとMESAというより60年代後半のフェンダーアンプにちかいキャラクターで、高音の倍音も豊かだがキンキンせず、昨今の再生産アンプに多い「低音過多」も無く、ワタクシ的にはほぼ理想的な音質音量である。値段も実勢価格15万円くらいで買えるので(定価は相当高いが)、帰国後即購入、Electra Dyneが現在のメインアンプである。

 MESAは非常に気に入っていて、気に入りすぎて2台購入して、1台は実家に置いていて、父知久に「寛之、このNASAいうアンプはサンタナみたいな音するんか?」と複雑な質問をされたりして、母由起子には「あんたはスピーカーばっかり買うて右翼みたいやなぁ」と褒めてもらったり、こんなコメントだけで買った意味があると言うものだ。それにウクレレとかでも補足的に使えば素晴らしい音の伸びを得られるので何の文句も無い。MESAは故障が多いという定説があるが、車高調サスペンションとバネレート8kg超のスプリングで武装した街宣車、いや一番星、いや機材車「デッドストックの初期型ステップワゴン期せずしてスペーサーでツライチ仕様」に年中積みっぱなしだが今のところ何ともないし、まぁ強い部類に入るのではないかと思う。

 しかし、強烈に重量が重たい。これは経験上「軽いアンプは音が悪い」説を唱えているワタクシにとっては我慢するべきことなのだろうが、こんなタイミングで腰を痛めてしまった、そして零細バンドマンにはボーヤは居ない。まぁ腰はそのうち治るが、重いMESAよりもう少し使いやすいアンプがあってもいいなぁという「さぶ」「サムソン」「アドン」「SMスナイパー」いや失礼、サブ的な位置づけでCUBEを選んだ。ちなみにノンケです。

 ここ2年くらいJune Yamagishiさんは中規模以下のギグではCUBE80を使っていて、意見を聞いてみると、「これで充分やで~、持ち運び便利やしなかなかええ音しよるわ~」と屈託の無い表情をされる。このアンプを気に入っているJuneさんが使っているのがいい音出してるのは分かるが、ワタクシが弾くとどうなるかは弾かないと分からない。実際使わせてもらうと随分持ってたイメージと違うではないか。真空管アンプみたいだ!とは言わないが、素直なトーンで、音量もかなり余裕があるし、リヴァーブのスプリング感がリアルで、「おお、これは使える!」と感じる。おわかりの通り、近年のワタクシは完全に彼の影響を受けている、ノックアウトだ。体の全てが音楽で出来ているのではないかと思うくらいの表現力、感性が開いているように思う。街に馴染んでて、人気者である。それは黒人とか白人とかアジア人とかそういうカテゴリではなくJune Yamagishi自身だからである。カッコイイ大先輩ですね。

 トランジスタアンプは高音がどうしても「安い」音になりがちなので、誤魔化すべくデフォルトでペリー・コモり気味になるものが多いのだが、なかなか高音も許せる範囲のサウンド、そして思ったほどピッキングの強弱が消されていない模様。12インチというスピーカーのサイズが丁度いいのだろう。

 そして何より軽いのだ。正直MESAを階段で4階に上げてからギターを弾く気分になれないワタクシ、軽いアンプを得てこれで活動の場が広がればいいなぁ~とか、これなら自宅の部屋でも弾けるので練習とかする人間になったとしたら、この年齢にしてギターが上手くなるんとちゃうかいな?とか、よくわからない期待をしてしまうのだ。しかし天はニ物を与えず。このルックスは勝新太郎先生なら「何だ~何だ~何だよ~男のく~~せに」とブランデー転がしながら唸ったに違いない色気の無さである。


 頼みもしないのにCUBELINKなるオタクインプットや、モデリングアンプ的なリードチャンネルなど、おおよそワタクシには無縁そうな装備が搭載されていたりするものの、メカのツマミとか、小学生の頃流行した変速機をチンコの前でシコシコ動かすスポーツ自転車みたいで恥ずかしいくらい懐かしくなる。せっかく買ったのだから今後はリードチャンネルもオタクインプットも駆使して遊んでみたいと思います。ああ、あとね、何とチューナーが付いている。チューナーをとにかく無くすことが多いので安心である。

 最後に、このアンプのワタクシならこうするセッティング。 ディレイのウォームモードを9時前くらい、リヴァーブをスプリングの8時くらい、クリーンチャンネルでブライトオフ、ハムバッカーならベース12時、ミドル11時、トレブル2時、プレゼンス1時、これで気分でコーラスを7時半くらい、歪ませる時は外部コンパクトで威勢良く。ブライトスイッチはOFF。AORぽいちょいダサな感じがたまりません。問題は、このサウンドを使うセッションをどう探すかということくらいではないでしょうか。

総評

 このアンプ、外部歪みが綺麗にかかります。JC-120よりも綺麗にかかる。クリーンチャンネルにJCとか書いてるけどJCとは女子中学生か?それはまずいだろJKじゃないと・・・失礼、ジャズコーラスだが、JC苦手が続行中のワタクシにはまったくJCの弾きにくさは感じません。レスポンスが若干鈍い、ほんの、ほんの若干な感じはトランジスタアンプ特有の感じではあるのだけれど、だからイタくならない程度にハイを上げてタイトさを出すのが良い使い方なのではないかと感じました。

 しかし、日本製はいいですね、次あたりES335もナビゲーターとかそういうのにしてみようかしら。(終)

※これで終わりです。最後まで読んでくれてありがとう。賽銭は入れたい人だけ入れてくれればいいですよ~♪


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