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代名詞theyの新たな意味(今日のつぶやきの続き)

大学時代の友人の一人は、言葉をとても大切にする人でした。
「電話を切る時に、バイバイって言わないでほしい。またねって言って切ってほしい。」と言ったので、繊細な感覚をもった人だなぁと驚きました。
同時に、言葉を大切にできる人になりたいなぁと強く思いました。

本日のつぶやき

 このつぶやきの、私の友人は男性でしょうか?女性でしょうか?それとも、そのどちらでもないでしょうか?(そもそもこの質問自体が野暮だとも思います。)私の想像にすぎないのですが、何となくのイメージや、私の性別が女性であることから、「女友達なのかな?」と思っている方が多かったかもしれないのですが、実はこの友人は男性です。

 ここで考えてみたいのですが、日本語では一度話にでてきた人のことを、「その人がさ・・・・」「その子が・・・」などと続けることが多い気がします。例えばちょっと意地悪な例を挙げると、お付き合いをしている人に内緒で異性の友人とでかけた話をしても、日本語では質問(もしくは指摘)されない限りは、異性のお友達の性別を隠し通すことができます。

 対して、英語で同じ話をするとしたら、"my friend" を使って名前も隠して話し始めたとしても、二回目に同じ人のことを言おうとしたら、"He" "She"で言い換えないといけなくなります。よって、英語では話し始めて2文目くらいで、異性だとばれてしまいまい、話し手も聞き手も性別を意識することになります。

  性別に関する代名詞として、"he" "she"の2つから選択せざるをえない状況から、それ以外の選択肢として"they"を用いるという動きが英語圏では広く受け入れられています。実際に、ビジネスの場面や教育の場面でも、メールやプロフィールに「自分がどの代名詞を使って呼ばれたいか?」を明示することもあります。必要があれば、口頭で伝えることもあります。
 英語圏でこのような動きが始まったことに関しては、様々な理由があると思います。ただ、もしかすると先ほどの例のように、代名詞が頻繁に使われて性別が2つに分けられてしまうことで、言葉に違和感を感じたり、傷ついたりする機会が英語圏の方が多かったのかもしれない、そしてそれが理由の一つなのかもしれないと推測します。

 以下、2019年の記事になりますが、「今年の『Word of the Year』に性別を問わない代名詞『they』が選ばれました」という記事より、引用します。

「they」と言えば、「彼(女)ら」という複数の代名詞であると英語の授業で教えられてきましたが、近年、男女別の単数の代名詞「he(彼)」「she(彼女)」に換えて、「they」を単数形で使う動きが広がっています。これは、「ノンバイナリー(Xジェンダー)」の方たちに対して、『ワシントン・ポスト』紙が2015年に使い始め、AP通信も2017年に表記の仕方を取り決める「スタイルブック」に採用するなどして、認知が広がっています。

 例えば、これまで友人を紹介する場面で「This is my friend, Jun. I met him/her at work」と言っていたのを、ノンバイナリーの友人を紹介する際は「This is my friend, Jun. I met them at work」と言うようにする、ということです。

PRIDE JAPAN
https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2019/12/12.html

 言葉は時代と共に変化していくものだと思います。今回の例のように、アイデンティティーや人の気持ちに寄り添う方向に言葉が変化していくことは、多様性を認める世界に繋がる第一歩ではないかと思います。言葉が世界や社会を定義すること、思想や思考をコントロールすることもあれば、「各自がより生きやすい世界」になるために、人々が動き、言葉が歩み寄ってくれることもあるのだなぁと考えました。



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