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【みんなで研究レポ】バイリンガルの頭の中は結局どうなってるの?二重人格なの?

updated on 2024.3.1  
 バイリンガルについての考察が興味深くて、毎日考えています。研究論文と自分の経験をお伝えしましたが、知見や実体験からの考察をおもちのnoterさんからも様々なコメントをいただきました。私の記事のリンクを貼って書いてくださった記事も含めて、こちらにまとめて、改めて考察していきたいと考えました。みんなで研究レポート作成を目指す試みが面白そうなので、差し当たって「みんなで研究レポ」(仮題)と名前をつけました。
 
 考察の過程をブレスト段階からnoteで文章化してみたいと思います。ご意見、ご経験等ございましたら、是非コメントください。(このnote記事に掲載不可の場合は、その旨ご記載いただきますよう、お願いします。)

Between 2001 and 2003, linguists Jean-Marc Dewaele and Aneta Pavlenko asked over a thousand bilinguals whether they “feel like a different person" when they speak different langauges. Nearly two-thirds said they did.
千人以上のバイリンガルを調査したところ、2/3の人達が、異なった言語を話す時に、「自分が変わったように感じる」と回答した。

https://newrepublic.com/article/117485/multilinguals-have-multiple-personalities

①言語によって、思考が変化しているパターン。

 同一人物で同じ質問なのに、英語と日本語で回答が大きく変わる例。


②言語によって、着目ポイントが違うのかもしれない。

(のちほど要点だけ日本語に直します。)

In 1964, Susan Ervin, a sociolinguist at the University of California, Berkeley, set out to explore the differences in how bilinguals represent the same stories in different languages. She recruited 64 French adults who lived in the U.S. and were fluent in both French and English. On average, they had spent 12 years living in the U.S.; 40 were married to an American. On two separate occasions, six weeks apart, Ervin gave them the “Thematic Apperception Test”: She showed her subjects a series of illustrations and asked them to make up a three-minute story to accompany each scene. In one session, the volunteer and experimenter spoke only French, while the other session was conducted entirely in English.

Ervin then analyzed the stories, looking at the different themes incorporated into the narratives. When she compared the two sets of stories, she identified some significant topical differences. The English stories more often featured female achievement, physical aggression, verbal aggression toward parents, and attempts to escape blame, while the French stories were more likely to include domination by elders, guilt, and verbal aggression toward peers.

③言語がそもそももっている性質

ヘブライ語と英語(後ほど、追記します)


④社会的役割やステータスで、性格が変わる可能性


ポルトガル語と英語における、自分の経験を語る内容の違いに関するデータでは、移民という社会での立ち位置が話に影響する可能性も示唆されていました。また、どのような文脈、状況でそれぞれの言語を身につけたのか、言語がもつそもそもの性質によるのか、複数の要因が関係しているのか、まだ研究を続けるべきだと結論づけられていました。よって、単純に言語だけの影響で話が変わるとは言い切れないと補足されていました。

⑤話す言語が母語ではなく、外国語であることで、性格が変わる可能性


【個別の事例】

その1.他者との関係性を強く意識する言語(日本語の尊敬語、謙譲語など)か否かの違いが原因となる可能性。

 日本語の場合は、相手との関係により一人称「私、僕、あたし、俺、自分」や二人称「貴殿、あなた様、あなた、お前、貴様」が変わります。尊敬語や謙譲語を使用するため、会話を文字におこしたものを読むと、二人の関係性がある程度分かります。よって、年齢差、会社や地域での役割において差がある場合に、関係性に配慮するかによって、一見すると性格が変わったかのように見えるケース。

その2.英語と日本語で、事実を説明する時もアプローチが異なるという感覚

 夫の友人に、日英の完全なバイリンガルの方がいらっしゃいます。以前、感情を挟まない事実を説明する際にも、言語によって内容に差が出る可能性を示唆していたそうです。具体的には、「相対性理論を英語と日本語で説明する時に、文章の順番などではなく、説明内容に差がでる」ということを指摘したことがあったらしく、今問い合わせ中です。お忙しい方なので、お返事がきたら、アップデートします。

その3.言語と態度がセットになっている場合

その4.英語より中国語の方が性格がきつくなる可能性

とくじんさんからのコメント
私も常々、使用言語によって思考まではわかりませんが、人格は変わると考えていました。
英語だと一人称、二人称が日本語のように上下関係を表さないので、相手と対等に話すことができるような気がします。

特に中国語は人格が変わります(笑)。押しの強い人格になります。
知り合いの欧米人の方が、中国人のお友達のことを「彼女は英語だと猫のような人だが、中国語を話すときは虎のようになる。」と評しておられて、言い得て妙だと感じました。(その欧米人の方は、中国在住歴が長いので、内容まで理解されていたと思います。)

たぶん中国語の押しの強さは、人口が多くて自己主張が強くないと生き残れないという社会背景から来ているような気がします。


 アメリカ留学時代に出会った中国人の方達も、最初からアメリカ人と張り合うくらい自己主張をしている方がいて、「おー!」と驚いたことを思い出しました。

その5.少数派の言語は発展しにくいが、限られた語彙だからこそ、強固な関係性が築ける

海外在住の伊藤翼(いとうつばさ)@サイトマップの人さんのコメント

まだ、外国語生活が浅いのでなんともいえないのですが、話者が少ない言語は、最新技術系の言葉が少なくて、困ります。時代が止まっている感じがします。その、なんか言い方がよくないですが、アホっぽくなります。しかし、いい面もあります。「同士だ!」となって。語彙がすくなくても、ハートで結ばれ、強固な絆が生まれやすい気がします。

「白黒TV時代のアトムみたことあるの!?」「うん!◯話のあのシーンいいよね!」キャッキャ的な感覚です。古参同士の推しの愛を布教しあう会話みたいになります。

使う言語で、思考もかわるという富田さんがかき集めた情報がおもしろすぎます。深く共感します。

言葉は流行とともに、成長するものだと感じています。よくわからない最新技術に名前をつけて。だれかがキャッチコピーをつけ、それで、思考が加速する。そんな感覚を抱いています。話者がすくないと、あたらしい流行語も生まれなくなり、進化がとまった感覚があります。

肌感で感じたことです。専門家ではなくて、申し訳ございません。

コメント1つ目

>話者が少ない言語は、最新技術系の言葉が少なくて、困ります。
追い付いていないのでしょうね。
日本でも最初に外来語が入ってきた時に、概念が追い付いていないことがあり、概念ごと取り入れた経緯もあったと思います。
あとは必要に迫られていない場合は、特定の分野の言語が発達しない傾向にありますね。

>しかし、いい面もあります。「同士だ!」となって。語彙がすくなくても、ハートで結>ばれ、強固な絆が生まれやすい気がします。
確かに、シンプルに分かり合えることもありそうですね。

>言葉は流行とともに、成長するものだと感じています。よくわからない最新技術に名前をつけて。だれかがキャチコピーをつけ、それで、思考が加速する。そんな感覚を抱いています。話者がすくないと、あたらしい流行語も生まれなくなり、進化がとまった感覚があります。

言語は常に変化していきます。言語が思考をうみだして、更に思考が言語をうみだすこともある。考えれば考えるほど、面白いですよね。

>肌感で感じたことです。専門家ではなくて、申し訳ございません。

とんでもない。私も言語学や社会心理学系はかじっているくらいで、専門ではないです。
意外とブレイクスルーは非専門家という場合もあるらしいので、肌感を大切に、わいわい楽しく話せたらいいなぁと思っています。

「話者が少ない言語は、最新技術系の言葉が少なくて、困る」と以前コメントさせていただきました。あれから、ちょっと考えたことがあります。

話者が少ない言語は、テレビ局をもっていません。

日本でむりやり、具体例をあげます。テレビ東京でちらっと、沖縄語はでてくることがあります。しかし、バラエティ要素が強い。NHKで「中学生向け 数学講座」は毎日放送されるあるが、「沖縄語講座」の頻度は少ない。沖縄語で、AI分野の「機械学習」に当てはまる言葉がない。沖縄語だけで喋ると困る。

わたしの「話者が少ない言語は最新技術系の言葉が少なくて困る」の真意は、こんなかんじです。

たまたま、沖縄語を挙げましたが、わたしの国では、4か国語を扱います。それぞれ、テレビ局があったり、テレビはないけど、ラジオ局ならあったり。ラジオ局すらないから、だれかがYoutubeチャンネルをつくったり。しかし、Youtuberも、ビジネスです。バズりずらいので、なまりを軽くして、標準語よりになったり、英語を使うようになったり。

語学は、メディアと深く繋がっているのですね。

とっても文化です。言語で性格が変わるってふしぎです。

コメント2つ目

若者が標準語しか話さなくなり、言語が継承されなくなり衰退する→益々若者は話さなくなる
という悪循環が想像できます。
イギリスにいる時も、「ウェールズ語話者が減っているけれど、自分は子どもにも継承させる!」という強い意志をもったお母さんがいて、言語を守るってそういうことだよな、次の世代に繋がなければ衰退するよなって思いました。

メディアで言うと、最近沖縄の方言を使ったらペナルティという企画を扱ったTV番組が、「方言札を彷彿とさせる」と大バッシングを受けていました。
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-2725914.html
これは、メディアが言語を軽んじた例だと思います。

その6.タイ語だと面倒くさい性格に、英語は真面目、合理的。

バンコク三太郎さんからのコメント
タイ語で思考しているときは面倒くさい、英語だとやっぱりちょっと真面目になりますからやっぱり言語によって行動は支配されるのでしょうか。一番難しくストレスを感じるのは日本語です、母国語なのに。

1つ目

タイ語は性格がめんどうくさくなり、英語思考だと合理的になるという意味です。2言語の能力はどうか分かりませんが昔話せたブラジリアンポルトゲースもポルトガル語なのにタイ語のような気質があったので風土も関係するかもしれません。

日本語はちょっと語弊がありました、読み書きが好きなあまりに細かいところが気になりすぎる点。あと日本社会自体にはあまり適合できない点でストレスです。

2つ目

このページにおける参考文献 The New Republic


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