決算書をどう見ますか?その3

若手の融資業務担当者の皆さん頑張って下さいね。

1.融資業務はオワコンか?
低金利下で貸出金利は低いままで、現在の融資業務は儲からない分野かもしれません。
金額の大きいシンジケーションローンの取組で多額のアレンジメントフィーをゲットするのは華々しいし、キャッシュフローファイナンスやノンリコースローン、あるいは運用提案、事業承継提案などもカッコ良いし…。

その意味では例えば普通の中小企業向け融資業務は地味かもしれませんね。

まして決算書数値を入力すると、自動的に格付や融資限度額、レート、貸出期間などが出てきて、その結果をお客様に伝えるだけの様な決算内容のスコアリングベースの融資は与信判断を自分ではしないのでつまらないかもしれませんね。

でもね、物は考えようですよ。
融資をするには決算書が必要です。その決算書を単に財務内容入力指示書として捉えるか、それとも情報の宝庫と捉え自分なりに調べイメージを膨らませて考えるか?日々の積み重ねで将来大きな差となって現れます。

決算書は情報が沢山入ってます。その情報をどう活かすか?レートが低くても、融資がある限り必ず最低年1回は情報が得られるのが融資業務のメリットです。

銀行は情報の商社たれ。

過去の一時点の財政状況を示したのに過ぎない決算書という書類をベースに将来に亘って信用を供与する。これが難しいし面白いんです。

お客様のビジネスモデルを理解してましか?強みがわかっていますか?商流図を書けますか?このまま事業を継続して行くとどの様なリスクがあるか、自分なりのシミュレーションができますか?

お客様にとってみれば、何か経済レポートみたいな紙切れを持ってきて、為替相場のそれっぽい話をして、借入金利の話をして…。そんな担当者はone of themですよ。このままだと御社はこうなると思いますが如何ですか?くらいの話ができますか?

融資業務はオワコンではありません。もしそうなりそうなら、情報を腐らせているのがいけないんです。

あっ、それから人事考課面接の時は自分の将来やりたい業務希望を言い続けてくださいね。それがどんなに現状の業務とかけ離れていても。今任されている業務をしっかりできないとダメですが、将来的にやりたいことを始め言い続けないと、現状の業務で良いんだ、と考えるのが銀行です。

2.鮫型企業
居酒屋チェーンの様な企業宛融資は要注意。

居酒屋チェーンから新規出店したいので融資をしてほしいと言われたらどうしますか?

新規出店の計画を聴取するでしょう。どこに出す?客単価は?どれくらいの来店客を見込んでいる?等々。

これらはそれで良いのですが、私がここで言いたいのは、融資した資金はBS上どこに行く?と言うことです。

厨房の備品、差し入れ入居保証金、数日分の食材、前払家賃とかですね。

開店したらBSはどうなりますか?

細かいことを抜きにすれば、現預金が残るんです。何故なら、居酒屋の売上は現金回収が主体、他方食材の仕入は例えば月末締めで翌月払い。(もっとも、食材によっても、企業の信用状態によっても違いますけどね)見かけ上現金は残りますよね。でも売上が減るとたちどころに現預金が減ります。減運体質業種ですね。
動きが止まると途端に息が詰まるんです。この様な企業を、鮫型企業と呼んでました。鮫は泳ぎ続けていないと窒息してしまいますから。そして、何より現預金が厳しくなってくると新規出店をするところがあります。新規出店を借入で行うと手許に現預金が残るのですから。

したがって鮫型企業からの借入申し込みは与信判断がむずかしいのです。少なくても利益で返済して行く筋合いの資金なので、営業している店舗に応じた相応の現預金がないとヤバいんです。鮫型企業は運転資金はいらないのですから。
現預金水準が低い鮫型企業からの新規出店資金の支援依頼は、実態赤字補填資金の場合があります。


また、長くなって来たので一旦終わります。
次は、長期運転資金とは?返済原資は?を書こうと思います。

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