子どもたちの進路に思う

スティーブ・ジョブズの名言に以下の様なものがあります。

A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them.

これは私の好きな名言で、稀代のイノベーター、クリエイターとしての彼の原動力の源泉を示していると私は感じますが、同時に、子供たちの進路、将来を考える際にも良く頭の中に浮かんで来た言葉です。

この名言を知る遥か昔、私は某予備校で浪人生活を送っていました。その予備校の英語のテキストに、choice exerciseという名の短文の英文を集めた教材がありました。内容は人生論が多かったと思いますが、その中の文章で、「若者はどうして、自分の人生の進路をあたかも既製服を買うが如く簡単に選んでしまうのだろう?どうして、裸でサボテンに抱きつく様なことをするのだろう?気がついた時には一生抜けない棘が刺さってしまうのに」といった内容の英文がありました。まあ、思えば浪人生相手の講義ですから、人生慌てることはない、と言うメッセージも含まれていたのかも知れませんが…。実際私は受験勉強の傍ら、将来のことに思いを馳せていました。

私はその後幸運にも希望する大学の法学部に進学することができたのですが、浪人時代に法学部ってどんな勉強をするのだろう?という不安があったのは事実でそんな状況で前述の英文を読んだので当時は改めていろいろ考えさせられました。

実際入学してみると幸いにも私は法律の勉強を興味を持ってすることができましたが、同級生たちには、法律つまんない、とか法律自分には向いていないとか言う人達が沢山おり、そんな人たちは大学の授業は出ず試験前は人のノートを借りてお茶を濁したり、他学部の単位を上限一杯かき集めたりして卒業して行きました。

なんでおまえらは法学部を志望したんだ?(知らなかったんだな?わからなかったんだな?)

何が言いたいかと言うと、やってみて、接してみないと分からないことがたくさんあるにも拘わらず、分からない状態で進路を決めなければならないターニングポイントが先にやって来るのだ、ということです。

その後ジョブズの名言を知り「なるほど」と強く心に残りましたので、子供たちには、ジャンルを問わず様々なものに触れる機会を可能な限り設け、得意な科目で進路を決めないで、何が学びたいかで進路を決めなさいと言って育てました。触れてみて初めて自分のやりたいことに気が付くことを期待したからです。

昨今の大学受験事情見ますに、旧帝、早慶、MARCHなどの大学群分け、所謂学歴廚達が勝手に決めた大学群の上下関係に基づく他人の見下し、数学得意なら理系、そうじゃなきゃ文系という発想、人生100年時代と謳われているにも拘らず浪人は恥ずかしいとの意識などなど、私は好ましいとは思わない価値観が蔓延っています。

何だ、持ち偏差値って?

就活はインターンがあります。大学も転学、転科をもっとやり易くするとか、高校の授業に大学インターンの授業をつくるとか、或いは例えば北大の様な総合型入試が増えれば良いと思う。入学してから分かること、分かった上で自分の進路を決める機会をもっとこれからの日本を担う若者に与えて欲しい。

親の価値観やエゴで未来ある子供たちの将来の選択肢を狭めてはならない。何故なら子供達は裸なのだから…。何故なら子供たちは無限の可能性を秘めているのだから。
子供たちが自ら気がついた興味を最大限に伸ばす教育制度の構築を国には期待する。

いい年して青臭くて申し訳ありませんでした。でも私はサミュエルウルマンの青春も好きです。

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