2019/10/13 台風19号による東京都内の浸水地域から考える「古代からの『よい土地』の記憶」

 台風19号の襲来から一夜が明けて思うことひとつ。

 事前に「ひどいことになるぞ」と騒がれていた東京東部や南部の区以上に、二子玉川や武蔵小杉といった再開発オシャレタウンが大きな被害を受けたことに、いま少し驚いている。

 これらの街はそもそも多摩川沿岸部に位置するので、そうなる素地はもともとあった……といえばその通りなのだが、大被害確実と騒がれていた都内東部・南部の「下町」とは逆の、オシャレなお店やらタワマンやらがわんさかある「人気の街」「今どきの憧れの街」でもあるために「まさかそうなるとは」という思いを抱かされた。

 しかし、ネットでこんな面白い意見も見つけた。

 「再開発の新興都市ということは、長い間まともに開発されてこなかった場所ということである。そして、これまでまともに開発されてこなかったということは、それなりの理由があったということである。昔ながらの災害の記憶とか」

 一理ある。

 「天災は忘れた頃にやって来る」と言うが、みんなが忘れた頃に開発して、何も知らない人たちに売った……と、考えれば「なるほどな」と思えてくる。

 この「災害の記憶」とか「土地の記憶」とかは、縄文時代からの人々の暮らしの痕跡(古墳とか貝塚もか遺跡とか)を辿っていくと、わりとよくわかる。

 縄文時代とか古墳時代から人が暮らしていた土地というのは、実際に行ってみるとわかるが、やはり、居心地・住み心地がいいと感じる場所が多いのだ。

 今以上に災害への備えが命がけだった時代なのだから、なおさらだ。

 それゆえ、そういう古代からの「よい土地の記憶・記録」が残っている場所は、高級住宅地や名所になっているところも多い。田園調布とか三田・芝とか上野とか。

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