スイスの年金 備忘録
年金についてちゃんと理解しておかないと損しそうなので自分が調べた内容を整理してみました。
注意点
2023年10月時点の内容です。スイス企業に籍を置いて働いているので、日本企業に在籍していて駐在される場合やフリーランスの場合は事情が異なる場合があると思います。
3種類の年金
スイスの年金システムは日本と同様、3つの柱で構成されています。
1st, 2nd Pillar は従業員の場合自動的に給与天引きとなりで、企業側が半額納付するものです。
3rd Pillar は日本でいうiDeCoのようなもので、任意加入となります。
1st Pillar (基礎年金)
以下3種類が1st Pillarの社会保険に含まれます。ちなみに略称は言語によって変わるのでややこしいです。
老後年金: Old age and survivors’ insurance / Assurance-vieillesse et survivants (OASI またはAVS)
傷害保険: Assurance-invalidité (AI)
配偶者や両親の死に対する保障: Régime des allocations pour perte de gain (APG)
雇用保険: Assurance-chômage (AC)
1-3はそれぞれ納付額は給料の8.7 + 1.4 + 0.5 %で計10.6%を
4は年収(最大148,200 CHFまで)の 2.2%を
企業と折半して納付します。(フリーランスの場合は全額)
2nd Pillar (企業年金)
企業が運用するOccupational Pensions Act / la prévoyance professionnelle (OPA/LPP)です。
納付額は給与に応じた7~18%で、年収21,150CHF(執筆時点の日本円で350万円)以上の収入がある場合に納付が必須となります。
私の給与明細を見たところ固定額になっていたので詳細を確認中です。
3rd Pillar (個人年金)
日本で言うIDeCoです。銀行などを通して申し込むことができます。
最大年間7056CHF(月588CHF)を投下することができ、そのうちの何割かを所得税から節税できます。
1st Pillar 受給条件
スイスで働き、その後日本に帰国する場合に、納付期間や通常完全年金に対してどの程度納付したかによって受給方法が変わってきます。
納付期間が1年未満の場合
受給できない (?)
納付額の合計が通常完全年金の10%以下の場合
一時金として受給可能
納付額の合計が満額の10-20%の場合
一時金または年金として受け取ることができる
参考: 協定相手国別の注意事項(スイス)
通常完全年金がいくらか調べきれてないですが、本来の納付期間(17 -65歳の48年間)分の納付と考えれば4-5年分程度が10%に値しそうです。
一時金受給方法
Reimbursement request formを記入してジュネーブのCDC Conpensation Officeに提出する必要があるようです。
2nd/3rd Pillar 受給条件
現金が必要となる以下のような場合に、年金以外の方法で受給できます。
家を購入する場合
自営業/フリーランスになる場合
EU/EFTA以外の海外に出国する場合(日本に帰国する場合)
参考
受給時の注意
帰国タイミング
日本に帰国するある方から伺ったのですが、帰国してから一時金の払い出しを受けると日本で課税されてしまい、そしてスイスでの退職所得にかかる課税が10%以下でありそうなことから日本の方が税金が高い可能性が高いので、払出を受けてから帰国するのが正解のようです。
以下の式でスイスと日本の税金の差を比較できそうです。
(勤務期間が2年以上20年以下の場合)
X(退職所得 - A(400,000 * 勤務年数)) / 2 * B(20.42 + 2.1 + 10)/100
Y(退職所得 * C スイスで退職所得にかかる税率)
X: 日本で支払う場合の税額
Y: スイスで支払う場合の税額
A: 日本の退職所得控除額
B: 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
C: スイスの州に寄るが10%以下の模様
参考: 退職手当制度の概要 - 人事院
手数料
毎月の送金なので、毎回の送金手数料が大きいとロスも大きくなりそうです。将来Revoluteなどが使えれるようになっているといいですね。
納付期間と受給額
1st Pillarの受給額は納付額に応じて1,225 - 2,450 CHFとなり、
1st, 2nd Pillarをフルで収めると退職時年収の約60%(!)が受け取れます。
なお、1年の未納期間ごとに約2.3%受給額が下がるとのことです。
年金受給開始年齢
スイスの年金を受け取る場合、男性は65, 女性は64歳から受け取れますが、年金システムが崩壊し始めているのはスイスも同様のようで、定年引き上げの議論がなされているようです。
日本に帰ってから困ったら
本当に困ったらスイス大使館に連絡してみることが一番正確な情報を得られる気がします。
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