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うみべのストーブ

Title:うみべのストーブ 大白小蟹短編集
著者:大白小蟹
出版社:リイド社
感想を書いた日: 2023-02-19

# うみべのストーブ
体温が低めの男と高めの女。二人合わせるとちょうど良いねと同棲を始める。しかし言葉が足りない男が突然彼女に振られてしまう。1+1を2以上にしたかった彼女が、あなたとの生活はマイナスでゼロ以下になってしまうと。
一緒に生活して来たストーブが彼と一緒に海を見に行き、彼女がしたかったこと、見せたかった景色を理解する。

# 雪子の夏
寒い所でしか生きられない雪女が、夏を経験する物語。切ない。涙ちょちょぎれます。

# きみが透明になる前に
このお話も、空気のような存在から透明人間になってしまった旦那の話。
本当に透明人間になってしまった際、家族に気付いて貰えるか?恐怖を感じるお話しでした。

# 雪を抱く
子供を産むことが出来る身体、性別では無いので共感は薄いです。

# 海の底から
サラリーマンクリエイターの胸に刺さるお話しです。食うためにサラリーマンをしてウィークデイを過ごし、休日は次週も働くためにとにかく休む。あまりにくたびれてアウトプットしたいものがない、何かを創作する情熱が無い。
サラリーマンではなく、創作活動を生業とする友人が眩しく見える。しかし創作活動を生業とする彼女たちだって立ち止まれない回遊魚の如くアウトプットし続けなければいけない生活に疲れている。

どっちの生活にも幸不幸があるのかな?本当マジで時間をかけて描きたいと思うものが無くなって何十年になるだろう?絵を描くことが、好きだった筈なのですが、会社のメモや資料作りで創作意欲が満足してしまい、新しいアイデア、情熱が湧かない日々が続いている。いつか仕事への興味が失せた時、創作意欲が戻ってくるのだろうか?漠然とした不安に駆られる若干52才です。笑

# 雪の街
友人の死。一緒に過ごしたデニーズで友人を知る人に偶然出会い、雪景色の中、彼女を弔う。

# たいせつなしごと
都会のクソみたいな景色に囲まれて仕事することに疲れて転職。そのお仕事とは?
ブラインドおろされて職場から外の景色を楽しむことは殆ど無いねぇ。雪が降った時、火事の煙が上がった時、ブラインドの隙間から覗き込む程度かな?
夕陽でフロアがオレンジ色に染まる時、メチャクチャ綺麗ですよね。夕陽が届く高層ビルで働いた経験がある人にはわかると思います。日中は暑くて嫌になりますけど。笑

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