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グレゴリーベイトソン「精神と自然」

落合陽一氏のデジタルネイチャーで引用されていた本書。敷居が高そうなので要約上手なchat GPTとの会話で予備知識をつけて行きます。


グレゴリー・ベイトソンの『精神と自然』は、自然界の生態系をシステムとして捉えることを提唱する本です。ベイトソンは、生命の構造において自然界は非常に複雑なネットワークになっていることを指摘しています。彼によれば、生物の行動や環境との相互作用、生命体と物質の循環は、すべて相互に関連し合って一つの生態系を形成していると考えられます。

また、ベイトソンは、このような自然界のネットワークは、人間の社会におけるコンピューターや通信技術のネットワークと類似していると指摘しています。彼は、「マインド」を自然界のネットワークに応用することで、自然界をより深く理解し、その保護に繋がると主張しています。

さらに、ベイトソンは、自然界のネットワークが破壊されると、生態系全体が崩壊してしまうことを指摘しています。彼は、人間は自然界とのつながりを取り戻し、自然との共生を目指すことが必要であると主張しています。このような思想は、環境保護の重要性を訴える上で、現在でも広く引用されています。

総じて、『精神と自然』は、自然界をシステムとして捉え、そのネットワークの重要性を訴える内容であるといえます。ベイトソンは、自然界のネットワークが生態系全体を形成していること、人間社会のネットワークと類似していること、そしてこのネットワークが破壊されると生態系全体が崩壊することを指摘し、自然との共生を目指すことの重要性を訴えています。


箇条書きで要点を整理して

ベイトソンは、「生命のプロセスはコミュニケーションである」と考えていた。
ネットワークは、ベイトソンにとって、自然界を特徴付ける中心的な構造である。
ネットワークは、相互作用、連結性、相補性、対称性、調和性などの特性を持つ。
ネットワークは、その構造の中で自己修復的な能力を持つ。
自然界のネットワークにおいては、個体や種の存在は、単一の実体ではなく、ネットワーク内での相互作用によって定義される。
生態系や地球システムにおいては、全体としての安定性が、ネットワーク内での相互作用によって維持される。
これらの要点から、ベイトソンが自然界に見出したネットワークの概念が、生命の本質を理解する上で重要な視点を提供していることがわかります。


生命のプロセスがコミュニケーションと密接に関係している面白そうな5つの事例を紹介して

ハチの踊り言語 ハチは、巣に帰る際に蜜源の位置を巣の中の他のハチに伝えるため、踊りを踊ることが知られています。踊り方によって、距離や方向、蜜源の豊富さなどを伝えることができます。これによって、巣の中のハチたちは、最適な蜜源を効率的に見つけることができます。
植物の化学的コミュニケーション 植物は、化学物質を放出して周囲の環境に合わせた成長や防御を行っています。例えば、同じ種類の植物は、葉を食べられた場合に防御物質を放出し、周囲の植物にもその情報を伝えて被害を防ぐことができます。
バクテリアのクオラムセンシング バクテリアは、分泌物によって周囲の状況を感知し、自身の増殖を調節することができます。これをクオラムセンシングと呼ばれ、バクテリア同士が密接にコミュニケーションを行っています。また、細菌が形成するバイオフィルムという集合体は、バクテリア同士のコミュニケーションによって形成されます。
動物の身振りや表情 動物たちは、身振りや表情を通じて、相手に様々なメッセージを送ります。例えば、犬のしっぽの振り方や耳の角度から、その気持ちを読み取ることができます。また、猿の表情から、その社会的地位や感情を察知することもできます。
人間の言語 人間は、言葉を使ってコミュニケーションを行います。言葉には意味があり、文脈によって異なる意味を持つことがあります。また、人間の言葉は文字や音声によって記録・伝達することができ、遠く離れた人々ともコミュニケーションをとることができます。


なかなか面白そうなテーマの本で、ここから本を読んだ感想です。いつも通り気になった箇所をピックアップして行きます。

第一章
生物の対称性の話、確かに大小や若干の位置の乱れはあるものの基本的には左右対称に各部構造が構成されている。手と足の相似性も、生物の核分裂、成長過程から考えると気持ち悪いほど、同等の構造、クラスと考えて良いだろう。
生物には、この様に頭から尻にかけて時間的に進化を遡る構造体である。

螺旋、私は螺旋構造に深く興味を持っていた時期がある。DNA🧬の二重螺旋構造に始まり、自然界に存在する渦巻構造や植物が芽をつけて成長する様子、ボッティチェリの絵画の円環、螺旋の表現にも魅力されていた。本書では螺旋構造の神秘性がしっかりと言語化されている。
螺旋とは全体の形、プロポーションを保持しながら一端が一次元的に成長する図形である。
生物の特徴として
a.対称も分割も成長の帰結であり、結実である
b.成長は固有の形を要求する
c.螺旋によって、上記のうち一方が数学的に満たされる

フィボナッチ数列、黄金分割、フラクタルなどは自然界を観察することで発見された数学的概念とも言えよう。

第二章
芸術、戦争、宗教、商売、睡眠、科学全て前提の上に成立している。具体的な前提を説明しているようだが、正直ピンと来ない。何度も精読が必要ですなぁ。1度目の読みでアンテナにかかった部位のみピックアップしておく。

幸か不幸か次に来る未来は予測し難い。我々は単純であってくれという願望を持つのみであり、未来、次に来る事実は我々を一段と複雑なレベルに押し上げる要素を含んでいる。

単純化とはパターンの中にリズム、音楽的なテーマとなり、美的価値、芸術性を見い出して理解し、親しくなること。

すべての思考、知覚、情報伝達において報告には一種の変換、コード化が起こる。報告、地図作りはものごとをクラスに振り分ける、分類することに他ならない。何でもかんでもカテゴライズする奴って嫌いって思っていたけど、情報伝達の本質がクラス分けと聞くと、やむなしとも思えるようになる。

人間は右脳と左脳の機能の違いを併せ持つために、非合理的な行動に、必然的につきまとわられる。
なるほど右脳と左脳の機能の違いについては色々な所で言及されているが、併せ持つことで人間は非合理な行動をとることになるとは目から鱗の表現であった。右脳は、直感的な思考、空間認知、イメージ力、音楽などに優れ、左脳は、言語処理、論理的思考、数学的思考、分析力などに優れている。どちらの信号をどのように受け取るかで私の行動は決定されているらしい。もちろん高い次元でバランスの良さも求められるが、どちらかに触れてるピーキーさも魅力ですよね。

すべての経験は主観である。我々が知覚したと思うものは脳が作りあげたイメージである。イメージは無意識に形成される。

視覚情報→イメージに奥行きをつける
1.網膜に映った物理的な像の大きさ=物体の両端と眼球の中心とが作る角度。正確にはサイズの対照。
2.明るさの対照
3.重なり方
4.両眼による視差
5.頭の移動による視差

発散する連続は予測できない、収束する連続は予測できる。
分子レベルの個の動きは予測できない、クラス、集団の行動は予測できる。

無から生じるは無。情報無くして無から有は生じない。
文化の伝達、複写つまり先代から受け継いだ技術や価値を次世代に複写を試みるが必然的に失敗する。これは文化の伝達はDNAでは無く学習だから。

熱力学第二法則のパラダイム
1.確率的なランダムな出来事により、秩序、パターン、負のエントロピーは常に崩される
2.新しい秩序の生成にはランダムな動き、未だコミットしていないエントロピーの卓越が必要
基本的な話が曖昧になっており、完全に腹落ちしていない。エントロピーって増えてくだけで最小値はゼロ?負のエントロピーとは情報理論の概念?

数と量は別物で、数はデジタル、量はアナログ。数に類するものもにパターン。
量はパターンを決定しない。二つの山を持つ島が海面高さにより、島が二つに分かれるとき、その変化は瞬間的、非連続的である。このパターン変化は予測不可能で発散的。

生物界に単調な価値は存在しない。何事にも適量がある。過ぎたるは及ばざるが如し。
小さいこともいいことだ。結合力と重力とのバランスが取れている。

これ以降論理と因果に関する前提についても論じられているが、私の脳味噌が理解することを拒否している笑ようなので、再読する際にじっくりと味わいたい。

第三章
差異 二つの違いが情報 ゼロイチ
両眼視覚 感度アップ、奥行情報
時間的差異の認識
AxB=C 情報はゼロイチ
(a+b)^2 2項定理 面積で考えると理解出来る
数列も箱の並べ方でパターンが見えることがある
二つの性 固着性と移動性
うなりとモアレ 規則性あるソナーをうち、対象物からの反応を受け取ることで対象を理解する。物理的な話にとどまらず精神的、性格的な判断も同様のことをしている。なるほど。
数秒の記憶を有する生物であれば時間軸上の変化を調律や音楽として処理している ふぅー深いね
記述、トートロジー、説明
認証論とは個人的なものだ、探り針の先端は探究者の心の中にあり、知るとは私がどう答えるかとなる

何とも情報処理、認証論に関する深い考察でスピード上げて読み進めるのが勿体ない。作者は詩人じゃないの?驚きでしか無い。

四章
感覚 変化イベントに反応しする 変化には閾値が存在する
視覚は常に微小振動して輪郭の変化を捉える
徐々に温度を上げていくと変化に気付かず鍋の中の蛙が茹で上がる 徐々に深刻化する環境問題に対峙する我々人類

エネルギー 物質と抽象の概念の次元を同じくするもの、E=mv2の次元をもつ

エネルギーを伝えるか伝えないかの栓を開閉する権限を持つものと、流れるエネルギーを与えるものは別ものである

異種間コミュニケーションは自分の側で作り上げるコンテクストを互いに修正しあって行く、学習のコンテクストの連続

精神マインド 自律と死の特性あり
目的の指向性と選択能力をもち、自己修正的
自律とは再帰的構造、循環機構の上に情報-効果のループがいくつかついたもの、システム全体の動きについてのメッセージ
死 循環の崩壊、自律の破綻
マインドシステム 学者、記憶、負のエントロピー、エネルギーを蓄積する
メッセージは論理階型のどこかのレベルにはめ込まれる

五章
両眼視覚 奥行の情報が足されることで異なった次元、異なった論理階型を持つことになる

境界 内と外、個人とそれ以外
個性 二個の生き物の外的な関係で記述される

生き物も環境も自身の一貫性を崩さないアダプティブシステム
生き物に変化が発生するには有機体内部から来る一貫性の要請と外部環境の要請、二重要件、二重規定を満たす必要がある

永遠と異種間コミュニケーションなどを例に、話が続くが今ひとつピンと来ない。1度目の読書で深く理解することは諦めた。笑

六章
DNAの環境がDNAの変化に影響を与えることは無い、ストレスは遺伝されないと言う主旨だろうが一緒に生活することで後天的に親から影響を受けることも多いだろうな。この内容について深掘りしている模様

個体の学習過程も自然選択による個体群の変化もサイバネティクな回路である。

学習は個体の一生と共に終わり、遺伝はおびただしい数の個体が幾幾世代にも渡って繰り広げられて行く

進化の歩みと個体の獲得する適応的変化はどの様にして一つのシステムとして作用しているか?

獲得形質の遺伝的継承の切り替えが生活習慣や環境の要請に応じて個体の体を作り変える自由の喪失を招く

高山に生活する男、身体的な変化は高山での一大事(熊に遭遇するなど)に備えて蓄えが出来るようになる一方で、平地に住む友人を訪ねた際に違和感を感じるようになる。普段から忙しく働くことが常態化してしまっている我がチームが仕事量が少ない部門に配属されると違和感を感じるような話か?笑

生物の特徴が遺伝子により決定されたのか?体細胞的変化や学習により獲得されたのか?遺伝的制御のもとにない表現型の特徴などあり得ない。

冒頭軽く遺伝的なものと環境、学習で身につく能力を簡単に感想を書いてしまったが、筆者は深く深く相互の関係、生物進化のシステムについて深く推察している。初読ではついていけない…汗。興味を持ってから読み返すと深い話が書かれていることを実感できるのでしょうね。今の私レベルでは眠くなるばかりです、残念ながら。

七章
説明するとは、プロセスなり現象の集合なりを記述したものに対して、その記述をマップするためにトートロジー同語反復をあてがうこと。

脳 神経経路とスイッチシステム、代謝

人間の分類 循環型と分裂型
男女の各々のどんな行動が促し、律っするのか?
分裂型はストレスで煽る。
対称型(ライバル)と相補型(主従)が相互作用し、男女関係、家族、民族、文化、国家などのクラスが生じる
フォームとプロセスをザクザクに行き来する
キャリブレーションとフィードバックでスパイラルアップしていく
時間の捉え方、情報収集しキャリブレーション、フィードバックするための情報処理、非連続性を生む
→何人も同じ川には二度とは入れぬ

八章
娘さんとのやりとり。会話が高尚過ぎてさっぱりついていけない。何となく感じたのは宗教に強く縛られ過ぎない人生で私はよかった思う。

付記
内側では展開されてくる規則性と生理機構が守られる必要があり、外側では環境の気まぐれな要請に従わなくてはならない。
要、不要によって習慣と試練、養育によって新しい体細胞的特徴を獲得していくが子孫に遺伝してはならない。
一つの偏った精神が支配するよりは、二つの偏った精神が抗争する方がまし


いやぁなかなかの読書となりました。これは再チャレンジが必要な一冊です。

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