湾岸ミッドナイトとプライベーターのあり方
湾岸ミッドナイトが始まったばかりの頃、僕は色物漫画として読んでいた。
「悪魔のZ」なんてオカルトだし、ご都合主義の漫画だなぁと。
物語が進んで、北見さんをはじめとする車作りをしている人たちが出てきて語り出したとき、心にしみる言葉が印象に残った。
富永と山下というチューナーの会話にこんなやりとりがあった。最近Twitterのタイムラインに流れてきたので思い出した。
長いけれど引用する。
山下:「大事ですよね。
いくら速くてもわかってない奴は結局駄目でしょう。」
「PMCの時にもたくさんいましたね、
とにかくなんでもすぐ聞くお客。
もちろん教えますョ、ちゃんとわかって欲しいから」
山下:「でも、人に聞いて納得する奴って、
また誰かの言葉で考え変わるんです。
結局、自分の感覚や実体験じゃあないですしね・・・」
富永:「なあ山下・・・オレが中学の時、担任が言った言葉だ。」
人は、聞く・見る・やる・・・てな。
聞いたコトは忘れるが、見たことは覚えてる。
そして、やったことは理解していく。」
富永:「オレはその先生が好きだったから、
ずっとその言葉を大事にしてたのョ。
セッティングも聞かせるだけでなく、
目で見てもらい、手でやらしたりもした。
客にはみんなわかって欲しいと思ってたョ。
でも・・・ムリだったナ。」
富永:「おまえも今まで何百回と聞かれたろ・・・。
Z32ていったいドコがいいんですか?」
山下:「大変でしたね、いつも。
GT-Rみたくわかりやすい要素ありませんから・・・。」
富永:「Rのスゴさは誰でもわかるもんな・・・。」
「で、オレはある時ふと気づいたのョ。
ああ、先生の言葉に続きがあるナ・・・って。
先生の言葉はその他の奴をはぶいてる・・・と。」
富永:「聞こうとしない、見ようとしない、やろうとしない奴、
そりゃ、わかりっこないって。」
富永モノローグ:(わからない奴にわかってもらおうと時間を費やすほど人生は長くない)
(出典:湾岸MIDNIGHT 句読点、改行は編集しました。)
僕は今のバイクに乗って15年以上。
それなりにいじっているし、その中で学んだことはとても多い。
ぽん付けの部品もあれば、他車種用を加工したりワンオフで作っているところもあったりする。
時々、同じスポーツスターに乗っている人から聞かれる。
「XXXXの部品って、YY年式のXL????にも、つきますか?」
僕は答える。
「つくよ。」
ただ、その後に付け足す。
「つける気だったら、何でもつくよ」
大抵はそこから踏み込んでこない。
加工前提だったら何でもつけられる。その気があるかどうかだし、僕も出来れば後押ししたい。
ただ、プライベータは自己責任。つけてみての不具合もあるかもしれない。
乗ってみて気がついた箇所を修正するためになんとかする。
そのためにカスタムする。
カスタムしてから乗ってみて、不具合に気がつく。
その不具合を、当初の目的を損なわないように修正する。
そんなことの繰り返し。
ただ、修正するときには、不具合の理由やカスタムをする理由を理解しないと解決にならない。
つくかつかないかなんて最初の話。つけるだけの理由があるか、悪影響はあるか、自分で判断しないと。
ただ、こんなことは、聞いてもわからない。やってみないと実感しない。
でも、最初のきっかけだけは奪ってはいけないと思う。
聞かれたら、できるだけ応えたいし、答えたい。
若い頃の自分がそうだったから。
不用意に聞いて叱られたり、「プライベータのあり方を考えて見て」と言われたりもした。
それを踏まえて長いことバイクに乗っている。
後に続く奴には親切に。ただし聞いて、見てやる奴なのは前提だけど。
そんな人が増えてくれると少しだけうれしい。
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