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ふゆほたる
2019年7月20日 01:12
「さて 行くか…」龍之介が向かうのは 宿命の相手のもと。きらびやかな街から外れた 古い廃屋に 身を潜め 来るべき時を待っていた。そして 今宵 その日を迎えた。「玉三郎よ ついに参ったな この時が。」「龍之介よ この勝負 どちらが 最後に立っているのだろうな。」焦燥と高揚が入り雑じる感情を 圧し殺すように 両者は 向き合った。静かな水面は そこに 何も無いかのように凪いで
2019年7月2日 00:38
誰の目にも触れてはならない。暗黒に咲く花。それが 那奈 本来の姿。普段は 宿屋で料理支度をする 何ら変わりない 奉仕人。しかし 料理を作り終われば その刃は 頼み人の狙う対象に向けられる。「さてと…」すっかり暗くなった この街が 那奈の箱庭である。1週間程 刻を遡る。「那奈ちゃん! 頼むよ! これじゃあ 玉三郎が浮かばれないよ!」「あの玉ちゃんが やられた…?」
2019年7月1日 00:09
彼の名は 人呼んで『契り屋 夢ノ助』。頼み人の願いを 全て叶えることで 名が知れている。今日も そんな噂を聞き付けた うら若き娘が ここにまた1人。「貴方が 契り屋さんですか?」「いかにも。 どこで 私の噂を聞いたのだ?」「夢ノ助さんは この界隈では 知らぬ者はおりませぬ。」煙管を吹かした 夢ノ助は その娘の瞳を 覗き込んだ。沸かした白湯が 煮立つ音だけが 母屋を満たし