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Uber、Airbnbのその先!次世代のサービスマーケットプレイスとは?

グリーベンチャーズの四方です。

前回書いた記事でも登場した、今年上場予定のUberやLyft、Airbnbは代表的なサービス系マーケットプレイスです。今回は、米国の名門VCであるAndreessen HorowitzのパートナーLi Jin氏、Andrew Chen氏がまとめた、次世代のマーケットプレイスについての良記事をご紹介します。

※本記事は筆者自身の考察や、日本の統計データなどの加筆を含みます。

原文はこちら


モノ vs サービス:次の1兆円規模産業

インターネット黎明期においてマーケットプレイスのスタートアップは大きな飛躍を遂げ、我々のモノの購買行動を確実に再定義した。一方で、サービスに関しては同じレベルに達したとは言い難い。

アメリカ国内の個人消費の69%をサービス産業を占めているものの、商務省経済分析局によると、サービス産業の7%しかデジタル化(=取引がインターネットを介して行われた)されていない。

日本も同様にGDPにおけるサービス産業(第3次産業)のシェアが7割以上であるにもかかわらず、そのデジタル化率は2%程度と思われる。

より複雑で規制の多かった分野が開拓されていく中で、サービス系マーケットプレイスの新たな時代が幕開けるだろう。

この記事では以下のような内容を取り扱っています:

・なぜサービスは未だにデジタル化が進まないのか?
・サービス系マーケットプレイスの歴史
  1.リスティング時代
  2.Craigslistのアンバンドリング時代
  3.○○版Uber時代
  4.マネージド・マーケットプレイス時代
・サービス系マーケットプレイスの未来
  5.規制産業のサービス
・規制市場でのサービス提供を可能にする5つの戦略


なぜサービスは未だにデジタル化が進まないのか?

誰しもが友人や知り合いに「良い医者知らない?」とおすすめの「サービス提供者」を聞いた経験があると思う。なぜこれらのサービスを、モノの場合と同じように検索し、消費していないのか?

サービスがモノに対して遅れをとっているのには以下のような理由があると考えられる。

・サービスは複雑で多様なニーズがあるため、オンラインのマーケットプレイスで関連する情報を手に入れることを難しくしている
・サービスの質は主観的なもので、求められる基準が人によって違うため、「成功」の定義が難しい
・フラグメンテーション(断片化)=中小のサービス提供会社はオンライン化のためのツールや時間が不足している
・実世界でのインタラクションがサービス提供のカギとなるため、購買のバリューチェーンの一部をオンライン化するのが難しい


サービスマーケットプレイスの4つの時代と、その先

今までの主な4世代のサービスマーケットプレイスがそれぞれどのような枠組みを生み出してきたかおさらいしよう。

(a16zブログより)


1.リスティング時代(1990年代)

最初のサービスをオンライン化する試みは、区分などがほぼないマーケットプレイスだった。どのサービス提供者が存在するかをリスト化したYellow Pages(日本でいうタウンページ)のデジタル版だったが、同時にユーザーにとっては提供者の評価、問い合わせ、スケジュール調整、そして取引といった負担を強いた。基本的に買い手であるユーザー側が取引相手を精査する責任を負い、信頼を築く必要があった。

Craigslistの「サービス」カテゴリーは、サービスマーケットプレイスの原型であり、家の改築、塗装、カーペットの清掃、ウェディングフォトグラファーなどのサービスが寄せ集められている。ごちゃ混ぜ感が強く、はっきり言ってUIは最悪である。(しかし私が米国に留学していた2015年ごろでも、未だに家具や賃貸物件を探すために普通に使われていたことは、特筆すべきプラットフォームとしての粘着性と持続力だと思う…笑)


2.Craigslistのアンバンドリング時代(2000年代)

2000年代に現れた企業は、バーティカルな分野に特化することで、特定の産業に合わせた機能を搭載するようになった。

例えば、Care.comはCraigslistの子育てカテゴリーを切り出し、フィルターや整理された情報などの機能で地元のベビーシッターを探す顧客体験を飛躍的に改善した。

この時代のプラットフォームは、レビューが溜まれば溜まるほどユーザーが増え、レビューもさらに増えるというネットワーク効果を活かし、「大衆の知恵」を使って取引相手に対する信頼を築こうとした。しかしユーザーごとにサービスの良し悪しの判断基準は違うため、数えきれないレビューを見て、幾千ものサービス提供者の中から選ぶという負担は変わらないという問題はまだ解決されてない。


3.○○版Uber時代(2009‐2015年)

2010年に入ると、交通や食品の宅配などの分野において、比較的シンプルなサービス用のオンデマンド型マーケットプレイスが流行った。モバイルの普及によって、ワンタップでサービスを予約したり仕事を引き受けることが可能になり、Uberといった会社はリアルタイムでサービス提供者を繋げることで流動性の最適化を実現した。

(1)、(2)時代のマーケットプレイスとは違い、こうしたオンデマンド型マーケットプレイスは会社自体がサービス提供者と捉えられるようになってきた。言い換えると、実際に宅配や運転を行った人ではなく、「DoorDashからランチ注文した」「あそこまでUberしよう」というように、DoorDashやUberががエンドユーザーとの関係を直接受け持つというイメージだ。

時間と共に、このカテゴリーの多くのスタートアップが淘汰された。生き残ったのは、需要・供給サイドの双方に魅力的な価値を提供できたものだけだった。このモデルの成功のカギは、いかに頻度の高いユースケースに注力し、流動性や信頼、安全を促進するためのインセンティブや仕組みを作り続けられるかにかかっている。


4.マネージド・マーケットプレイス時代(2010年代半ば)

ここ数年は、オペレーション面で付加価値をつけるマネージド・マーケットプレイスの数が増加。○○版Uberモデルは簡易なサービスに適していたが、マネージド・マーケットプレイスはより複雑で高単価、そして信頼関係を必要とする類のサービスに挑むために発展してきた。顧客がサービス提供者を見つけて信頼を築くのを「可能にする」だけでなく、実際に関係の構築を「実現する」ところまでカバーするというわけである。

不動産マーケットプレイスであるOpendoorは、ユーザーが家を売りたい時にOpendoorがその家を買い、メンテナンスを請け負い、実際に購入者を見つけるところまで引き受ける。修理、リスティング、内見といった、数ヶ月かかる伝統的なプロセスとは対照的だ。但しその分運営費はかかるため、普通のマーケットプレイスの手数料が10%程度に対し、30-45%と価格設定が高いことが一般的である。

マネージドマーケットプレイスは、専門性が高くて顧客が自分で適切なサービス提供者を選ぶのが難しく、取引額の大きいサービスに適したモデル。個人的には、まだまだ白紙の状態から参入できる業界が多いのではないかと思う。「自分の時間で買う」ことで人はより幸せになれるという研究もあり、全部任せられる方が幸福度が上がるという点もこうしたサービスがこれから盛り上がる理由になるのではないかと思う。


5.サービスマーケットプレイスの未来:規制産業(2018-?)

次世代のマーケットプレイスは、最もデジタル化が難しい規制分野を切り開くことになる。政府や業界団体によって資格を認められる、会計・教育・法律・建設・エンジニアリングといった分野が対象だ。

(a16zブログより)

ネット前史には、サービスの規制や資格は提供者の職務のスキルや知識を示すものだったが、デジタルプラットフォームは彼らの情報を公開し、レビューや保証などによって顧客の信頼を築いた。小さい頃私たちは知らない人の車に乗ってはいけないと教えられたが、Uberのユーザーはそんなことに全く抵抗がない。

サービス業のライセンスは当然重要な規格となるが、同時に供給を大幅に制限し、必要なサービスへのアクセスを難しくする。また、ライセンスを取得するのに満たすべき基準も、サービスを受ける顧客側が本当に求めている訳ではないことがある。


規制市場でのサービス提供を可能にする5つの戦略

こうした規制市場に挑むスタートアップは日に日に増えているが、サービス提供を可能にするためには以下のようなアプローチが必要だ:

1) 認可サービス提供者の検索を容易にする
2) 既存のサービス提供者を採用・管理し、質を担保する
3) 認可サービス提供者の供給プールを拡大/増加させる
4) ライセンスを持たない専門家を活用する
5) 自動化とAI


1) 認可サービス提供者の検索を容易にする

Houzzは家の改修、StyleSeatは美容の専門家を探し、予約するための機能に特化している。

2) 既存のサービス提供者を採用・管理し、質を担保する

HonorTrustedは免許を持つ介護士やベビーシッターを採用し、トレーニングと必要なリソースを与えることでサービスの質を向上させている。

3) 認可サービス提供者の供給プールを拡大/増加させる

認可サービス提供の供給を増大させるために、地理的なアービトラージを埋めるという方法がある。DecoristHavenlyLaurel & Wolfといったインテリアデザインの会社は世界中のデザイナーが顧客の家に訪問せずともサービスの提供を可能にしている。また、OutschoolLambda Schoolなどは教育分野でリモート教育を実現している良い例だ。

サービス提供者の認可取得プロセスを分かりやすくする/簡易化するという方法もある。Wonderschoolは在宅ケアのための免許を取りやすくしているサービスだ。

(4) ライセンスを持たないスペシャリストを活用する

Uber、LyftといったP2Pライドシェアはこれの典型例。他にも鬱、神経症、他の軽いメンタルヘルスに悩む人々を、ライセンスは持たないもののトレーニングを受けた専門家と結ぶマネージドマーケットプレイスであるBasisなどがある。

(5) 自動化とAI

MDacneはニキビの診断・処方を画像認識で行ったり、Ike Roboticsは自動運転トラックの開発によって免許を持つトラック運転手をリプレイスしようとしている。


最後に

サービス分野を再定義するような企業は、雇用と収入を増やし、より柔軟な働き方を可能にし、消費者がアクセスしやすくなりコストを削減する。消費者・プロフェッショナル両方の生活を変えることができることになる。

参考までに日本では以下のような職種が業務独占資格・名称独占資格として定められている。

しかし、これらの職種や記事の中で触れられた企業は規制産業のほんの一部だ。規制が存在する業界一つ一つに、顧客とサービス提供者のニーズがまだ満たされていない現状があり、独自の機能や特性を持ったマーケットプレイスを考えられる余地があると思う。また、規制は変わらないものではなく、その時々で強化・緩和される時期があり、そのタイミングが参入の狙い目である。そこに次のAirbnbやUberが生まれるスペースがあると信じている。

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もしこの記事で書いたような、複雑で規制が存在する分野でサービスを検討してらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください!

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