無痛分娩ってほんとに痛くないの?陣痛から出産までを完全レポート!
日本ではまだまだ浸透していない無痛分娩。
日本産婦人科医会調査では2016年度の無痛分娩実施率はなんとたったの6.1%だったとのこと!
まだまだ「あの痛みを乗り越えてこそ母親になれる」という意見が主流なのか、無痛分娩に対応出来る病院が不足しているのか…。
それに比べて海外ではかなり一般的。
厚生労働省の資料によると、2017年度のフランスの無痛分娩の割合は90%以上!ほとんどが無痛分娩です。
そして私も海外(カナダ)で無痛分娩出産した人の1人。
今回は無痛分娩を考えている方に向けて、私の経験を時系列に沿ってまとめました。
海外と日本ではやり方が少し異なることもあるかもしれませんが、無痛分娩は実際どんな感じなのか参考にしてもらえればと思います。
【無痛分娩レポート】自宅で陣痛が来た
その日はなんだか昼間から若干の腹痛がありました。
夜寝ようと思いベッドに入ったのが22時頃。
横になったものの生理痛のような痛みは続き、全然寝られません。
ふと時間を計ってみるとだいたい10分間隔。
不規則で10分以上間が空いたり5分くらいだったり安定していませんでした。
陣痛に耐えながら家で待機
やっぱりこれは陣痛だと確信したのが23時過ぎた頃。
事前にインストールしておいたアプリで間隔を記録していきます。
深夜0時半を過ぎた頃には平均で5分間隔くらいでした。
痛みは段々強くなるものの、間隔は8分から4分と安定しません。
とうとう寝ているのも苦痛になり、リビングに夫と戻り陣痛にひたすら耐えます。
テニスボールを試してみたり腰をマッサージしてもらっても陣痛は想像以上に辛く、早く病院に行きたかったのですが、実は問題が。
まず助産師に自宅に来てもらい、陣痛が3分間隔になってOKが出てからでないと病院に行けなかったのです。
そのときまだ私は5分間隔。
湯船に浸かると痛みが和らぐとの情報から、お風呂で陣痛に耐えました。
風呂場で悶絶しながらひたすら「1から10までゆっくり数えて1ラウンド乗り切る」を繰り返すこと数時間。
やっと痛みが3分半くらいの間隔になってきたところで私に限界が。
夫に助産師に連絡するように懇願しました。
このとき時刻は朝7時。
陣痛が本格的にスタートしてから既に6、7時間経っていました。
やっと助産師からOKが出て病院へ
助産師が家に到着したのが7時半頃。
私の様子を見て、さっそく子宮口のチェックをしてくれました。
チェック結果は「子宮口5センチ」
私はもう自分は8センチとかで、このまま自宅で産まれてしまうのではないかと思っていました。
絶望…。
しかしもうこれ以上は…と思っていたので、無理を言ってやっと病院に行けることに。
自宅を出る前にトイレに行くとおしるしもありました。
そして私はぐったりとタクシーに乗り込んだのでした。
【無痛分娩レポート】病院に到着。入院へ
病院に到着。
緊急外来に行くと車椅子が出てきたのでそこにとりあえず座らせてもらいました。
助産師から事前に電話連絡が入っていたので、皆に「あなたが5センチの人ね!」と言われて私の病院でのあだ名は5センチさんに。
夫は窓口で何やら話していたのですが、車椅子に座っている私を見て
夫「病室まで歩けるでしょ?歩いたほうがお産も進むって言うし…」
私「そんなの病室までの距離によるでしょ!」
夫にキレました。
すると、必死な私を見て病院のスタッフの方が車椅子を押してくれ、産婦人科窓口まで連れて行ってくれました。
やっと産婦人科に着いたと思ったら、今度は少し日本語をかじった受付の女性が得意気に話しかけてきて、陣痛に耐えつつ日本語でお相手する私。
そしてついに病室までたどり着いたのでした。
私がお世話になった部屋
受付を済ませ、通された部屋はびっくりするほど良い部屋でした。
完全個室で私達のアパートよりも広いんじゃないかと言うほどの面積。
ベッドは分娩にも対応していて、出産から退院まですべての時間をそこで過ごしました。
バスルームにはジェットバス。
私は家で散々湯船に浸かってたのでまったく使わなかったですが。
テレビもあり、夫が寝るための簡易ベッドもありました。
【無痛分娩レポート】麻酔投入!痛みからの解放
夫から助産師に無痛分娩に切り替えるよう言ってもらい、ようやく無痛分娩への手続きへ。
病院の麻酔医を呼んでもらいました。
「15分くらいしたら来てくれるみたいだからもうちょっとだけ待ってね~」
と言われ、その間も3~5分間隔で来る陣痛にただただ耐える私。
やっと麻酔医が現れました。
一通りリスクなど説明を受けます。
陣痛の合間に聞き、陣痛が来ると中断の繰り返し。
大体のことは事前に勉強していたので、ろくに話しも聞かず全てにうんうんと頷く私。
もう次の陣痛のラウンドが来るのが恐怖でした。
最後に同意書にサインし、やっと処置開始です。
麻酔の針が体に刺される
陣痛1ラウンドをこなした直後、すばやくベッドに腰掛け背中を丸めます。
後ろで麻酔医が針を刺しているようでしたが、陣痛の痛みでおかしくなった体には何も感じず。
無痛分娩は針を刺すとき痛いのがデメリットと聞いていてちょっと怖かったのですが、陣痛の痛みに比べたらなんでもないので心配しなくて大丈夫です。
しかし私、ここでなぜか号泣。
ワンワン泣いたわけではなく、自然と涙がポタポタと止まらなくなったんです。
それを見て夫もちょっともらい泣き。
助産師が「なぜ泣いてるの?」と涙をぬぐってくれたのですが、わからない…とだけ答えました。
今考えると、理由はたぶん
やっと痛みから解放される安堵
子供はお腹で頑張っているのに自分だけ…という申し訳なさ
自然分娩で産む人と比べての不甲斐なさ
そんないろんな感情が一気に来て涙が出てしまったんだと思います。
泣いている間に処置は終わり横になりました。
最後の数回の陣痛に耐え、10分ほどで痛みは感じなくなり、痛みから解放されました。
麻酔を打ってから
ベッドに横になって麻酔が効いてからはただひたすら子宮口が開くのを待つのみ。
痛みをまったく感じなくなりました。
足には感覚がありなんとか動かせる程度で、お腹の周りだけ感覚がなくなりました。
時々お腹とその周辺の麻酔の効き具合をアイスノンで触ってチェックしてくれます。
お腹は全く冷たく感じず、お腹から離れるにしたがって徐々に感じるようになりました。
胎児の心拍は常に誰かがモニタリングしてくれます。
お産の進みの停滞
私の子宮口は約6センチの状態で停滞していました。
麻酔を打つと痛みを感じない分、お産の進みが遅くなったり止まってしまったりすることがあります。
徹夜明けでお腹がすいてきましたが、麻酔を打ったため食べることは出来ません。
病院は朝昼夜とご飯が用意されますが、私は食べれなかったので夫に食べてもらいました。
こちらがその病院食。
日本に比べると驚くほど質素。
早く開かないかな~と思いつつ、ウトウトしたり看護師さんたちと談笑しながら時間を過ごしていきました。
陣痛促進剤投与
数時間待ったのですが子宮口は一向に開かず。
助産師「あと1,2時間待ってみてダメだったら促進剤を使いましょう」
通常、促進剤を使うと痛みも増して辛いらしいですが、私は麻酔を打っているため関係ありません。
結局、促進剤を投与。
すると1時間ほどで子宮口は8,9センチに。
でも急激なお産の進みが負担になったようで胎児の心拍がちょっとだけ弱くなったとのこと。
その後、自然に10センチに開くまでスピードを弱めると胎児も安定。
慎重に調整しながら出産に備えました。
【無痛分娩レポート】いよいよ出産!
待つことさらに1,2時間。
助産師「じゃあそろそろいきんでみる?」
お産に向けて周りでバタバタと準備が始まりました。
ベッドが分娩台に早変わりです。
ひたすらいきむ
どうぞと言われても、力の入れ方がわかりませんでした。
助産師「私が触ってるところわかる?ここに向かって目いっぱいいきんで!」
機械の波形でわかる陣痛のタイミングに合わせて、アソコに全神経を集中させて力を入れます。
助産師の今!という合図で、すぐ息を思いっきり吸い込み息を止め、ぐーーーといきみ、息が続かなくなったらまたすぐに息を目一杯吸い込み2回目。
3セットやって次の陣痛に向けて休憩です。
後半は自分でもお腹が張るのが何となく分かったので、そのタイミングでいきみ続けました。
しばらくすると、胎児の頭が見えてるとの事。
大きな鏡を私の前に持ってきてもらうと、私のアソコ4,5センチの穴の中から黒い髪の毛が見えていました。
それからは胎児の出具合を自分で見ながら何度も何度も陣痛に合わせていきみましたが、なかなか出てきてくれません。
体力があった最初に比べて疲れてきて、なかなかうまくいきむ事も出来なくなってきました。
いきみすぎて頭に血が上ったのかガンガン頭痛がしてきました。
夫がタオルで冷やしてくれます。
何回いきんでも少し見えては戻っての繰り返し。
頭の血管切れるんじゃないかってくらい頑張ったのですが、なかなか出てきてくれず。
時間だけが過ぎていきました。
赤ちゃんが便をしてしまい危険が迫る
助産師「赤ちゃんが今、中でウンチしちゃったみたい。万が一のために医者も呼ぶわ!」
ネットで胎児はストレスで中で排便することがあり、それを吸い込むと危険という情報を得ていた私。
私「やばい。私がもたもたしてるから赤ちゃんが苦しくなってるんだ」
と思った私は、体勢を寝姿勢から座位(和式トイレのポーズ)にチェンジ。
目の前に備え付けられたバーにしがみつき、もう血管切れてもいい!と思いつつ渾身の力を込めていきみます。
このときが人生で初めて自分の体のことより他の大切なものを優先した瞬間だったと思います。
いきむこと数回。
その瞬間。
オギャーーーと大きな産声と共に私の胸に赤ちゃんが放り込まれました。
夕方4時50分。
2720グラムの元気な女の子でした。
赤ちゃんと感動の初対面
血みどろでまだへその緒もついたままの状態。
プルプル震えていてすごく小さくてすごく温かかったです。
ぎこちない手で子を触っていたらへその緒を自ら切るか聞かれ、もう疲れ果てていたので断りました。
今思えば記念にやっとけば良かったです。
夫はグロいのがダメなので拒否していました。
後処理は子供に夢中になってる間に終わりました。
会陰は少しだけ避けてしまったらしいです。
胎盤が少しお腹に張り付いたまま残ってしまっていたらしく、取るために体に手を突っ込まれたらしいですが、まだ麻酔も効いている状態だったのでなんともなかったです。
今考えるとちょっと怖いですね。
【無痛分娩レポート】出産後の初授乳
まだ放心状態の私の横で、手際よく子の計測や健康チェックが行われていきました。
すべての器具が個室に持ち込まれ、子供が私の目の届かないところに連れて行かれることは一度もありませんでした。
すぐに初乳を促され、吸わせてみることに。
前日までお風呂場で絞ってみても全く出ていなかったミルクが出るようになっていてびっくりしました。
初乳なのですごく少量でしたが子供は一生懸命吸ってくれました。
私が抱いている間に足から採血が行われたり聴力テストを受けたりと忙しい様子。
夫がまだ一度も子供に触ってないことに気付き、抱いてみたら?と言うと怖いらしく遠慮気味。
恐る恐る抱いて笑顔になった夫。
その顔をベッドに横たわったまま携帯で撮影。
3人家族になったんだと実感しました。
たくさんあった器具は片付けられ、私達家族だけが部屋に残されました。
分娩終了から即育児開始
前日寝る直前から陣痛が始まって産まれたのが夕方だったので、寝不足だった私達は子供が寝ている隙に仮眠をとりました。
2時間ほどは寝れたでしょうか。
その後夕飯が運ばれてきたり、私の血圧と体温測定、子供のチェックなどがありつつ育児開始。
子供が泣けばおっぱいをあげ、動けない私に代わって夫はオムツ換えとあやし担当。
体はまだ産後数時間で全身が痛んで辛かったですが、子供が泣くのでそうも言ってられません。
すでに子育てスタートした感じで、やり方も看護師に教わりながらこなしました。
その日はそのまま就寝。
夜中も子供が泣けば夫と協力してオムツを換え、あやし、授乳しました。
【無痛分娩レポート】出産翌日は検査漬け
出産の次の日、相変わらず数時間毎のチェックがありつつ、ご飯が運ばれれば食べ、子供の世話をしながら過ごしました。
子供は少々小さく産まれたので、何やら検査項目が増え(なんの検査だったか忘れてしまいました…)そのOKが出たらいつでも退院して良いとのことでした。
1週間近く入院する日本との1番の違いは、この入院日数かなと思います。
出産後問題なければ翌日、帝王切開でも3,4日後には退院ととても短いんです。
家で休んだほうがリラックス出来るだろうとのことですが、私はちょっと不安でした。
親の助けもなく夫と私だけで出産直後から子育て開始は少々ハードな気がして…。
結局、子供の検査結果が出たのは夕方で、もう1泊しても良いと言われたので、お言葉に甘えて次の日の朝まで病院にいさせてもらうことにしました。
検査を待っている間は、子供の基本的なことや産後の体についての講習をうけたり、政府への登録など書類関係の説明があったりとあまりゆっくり休む時間はなかったです。
そしてそのままみんな疲れてぱったりと就寝しました。
【無痛分娩レポート】出産翌々日。退院
子供は長く寝てくれ、夫も疲れてぐっすり。
私が一番先に目が覚めました。
朝食が運ばれ、夫の分も頼んでおいたのに目を覚まさず、私が全部食べました。
朝食を食べたら帰る予定だったのに、二人とも眠り続け、ほっておいたら結局昼になり、お昼ごはんまでいただいてしまいました。
帰り支度をして帰路へ
まずは私達が用意した服を子供に着せました。
初めて見る普段着の我が子の可愛さといったら…すでに親バカです。
その後、カーシートに乗せねばいけなかったのですが、やり方がわからず病院の人に聞く夫。
嫌がる子をなんとか座らせると、うまいこと眠ってくれました。
私も着替えをすませ荷物もまとめ、準備完了。
お世話になった病院の方々にお礼を言い、病院をあとにしました。
カナダでは病院受診も入院も保険で賄われるのでお会計がなく、用が済んだら帰るだけなのでなんとも慣れないというか妙な感じです。
【無痛分娩レポート】タクシーで家へと思いきや…
病院から自宅までは徒歩で15分の距離ですが、産後の体のことも考えてタクシーで帰ることに。
タクシーを呼んだは良かったのですが、またしても夫は車にカーシートをうまく取り付けることが出来ず…。
車のタイプが取り付け不可能なのだと判断しタクシーを断り、結局シェアカーを自分で借りてくることに。
最後までバタバタでしたが、無事に家に子供を連れて帰ることが出来ました。
私達の家にようこそ!
用意していたベビーベッドに寝かせた子供は本当に小さかったです。
陣痛が始まってから慌しく病院に行ったので部屋は散らかり放題。
この数日で起こったことは一生忘れないだろうと思ったのでした。
出産をきっかけに仕事を辞め在宅ワークを始めた海外在住の在宅ワーママです。
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