猫さんたち

職場に猫さんが二人やって来た。僕が休みの日にやって来たので、その翌日の朝に初顔合わせとなった。厳密には、二週間ほど前にほんの少し顔を合わせたが、お互い余所余所しく、心を向かい合わせたとは言い難い。

当日、いつもと変わらず店は昨日の余韻を低域に微かに漂わせた状態で、空気はほとんど止まった状態だった。リュックを客席に置き、ゆっくりと静かに二階に上がると、静かに二階建てのケージが佇んでいた。覗いてみると、片目を引きつらせた淡い色の三毛が下方から僕の眼を捕らえていた。心の声で挨拶をしたが、海外で言葉の通じないことに動揺する青年のように、僕の気配は落ち着かない。もう一人の八割れの子はトイレの影で息を潜めている。今は静かにしていよう。猫さんの立場にしたら、そうするのが最善だろう。

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