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【読書録】稲垣えみ子さん著書「一人飲みで生きていく」を読んで

こんにちは、ともです。
稲垣えみ子さん著書
「一人飲みで生きていく」を読みました。
この本は、稲垣さんが一人飲みを通して得た人生の極意を、
余すところなく書かれた本です。
一人飲みとは、飲食店に一人で入って、
いい感じに楽しく飲み食いし、
お会計して帰るというものです。
それだけ?と思うなかれです。
想像以上にこれがそんな簡単なもんじゃないことがわかります。
稲垣さんはこれを「修行」と表しておりました。
一人飲みはまさに人間としての修行なんですね。
私自身は外食恐怖症があり、
一人どころか外で食事ができないので想像でしかないのですが、
考えるだけでも震えてきます。
一人飲みは、己を滅し、
店へのリスペクトや、常連客への配慮、目の前の食に集中し楽しむこと、
周囲の空気を読み、ソツなく振る舞い、
相手を尊重し、敬意を払い、感謝して、礼儀をわきまえて、と、
もうほんとに気が遠くなるようなものの上に成り立つのです。
でも、よくよく考えると、これらのことは、
人生のすべてのことに通ずることですよね。
人間は弱いもので、すぐに自分が自分がとなるし、
自分を大きく見せよう、相手よりも勝とうとして、
人への配慮、敬意、感謝、礼儀の気持ちを忘れてしまいます。
そもそも何と戦って何に勝とうとしているんでしょうか?
きっと、自分を特別に見て欲しいとか、認められたいとか、
そういう気持ちなんですよね。
私も承認欲求が強い方なので耳が痛いです。
ここで、店側の視点で見てみると…、
というのも、私の実家は飲食店だったので、
色んなお客さんが来ていたのです。
その中には常連さんというのもいて、
まるで自分の家のリビングのようにくつろいでいくお客さんもいましたが、
今思うと、あれはすごいことだったんだなと改めて思いました。
毎日同じ時間にやってきて、
流れるような所作で定位置に座り、いつもの生姜焼き定食を食べ、
座布団を折りたたみ枕にしてコロンと横になりテレビを見て、
時間になったらサッと会計をすまし帰っていく。
とても自然体で毎日通ってくるのです。
こんなの自分がやろうと思ってもやれません。
どれだけの修行をすればこのレベルにたどり着くのでしょうね。
稲垣さんは傷だらけになりながら(※例えです)この域に到達し、
フーテンの寅さんみたいな生活をされているそうですが、
もはや尊敬しかないです。
というか、寅さんて実はスゴい人だったといまさらながら思いました。
(あれは大人になってはじめてわかるスゴさですよね)

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