実家の湯沸かし器が壊れる その7

その1はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n59bcd0be61d7

その2はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/naf5e44adc409

その3はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n1a4bac5b28fa

その4はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n9e0d4914b4b7

その5はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/n42426e90bb66

その6はこちら。
https://note.com/tomohasegawa/n/ne555869e8f13

1時間半かけて台所とお風呂場を往復し、熱湯を汲み入れればお風呂ライフは戻って来る。湯船から出た後も、部屋は沸騰した蒸気とエアコンのためポカポカで、温度変化が少ないから高血圧気味の母にとってはバッチリ、ボディもソウルもハート・ウォーミング。

それでも確かに更なる欲が出てしまう。もう少し大胆且つ贅沢にお湯を使いたい。体や頭髪を洗うため、湯船の中の貴重なお湯を循環させて繰り返し使わなくてはならない。それ程水温は下がらないものの、濁ったお湯の中から出てくる際、新鮮なお湯で最後体全体を流したいなあ、という思いに駆られる。

明日には東京ガスの人が来て、いつ納品されるかわからない湯沸かし器の設置のための見積もりを持って実家にやって来る。本当に2,3か月も待たねばならないのか。お風呂ライフは戻っては来たが、快適お風呂ライフへ、アッパークラスを目指すとなるとまだまだ先の話となる。それまで母と僕は共に心折れないままで居られるのだろうか。

1月31日。朝日と共に二人はほぼ同時に起き、購入した電気ポットでインスタント・コーヒーを僕は作った。ただ母は新品ポットを使わず、勝手にいつものやり方でお湯を沸かして緑茶を飲んでいる。マイペースなのは相変わらず、特にそのことで何か僕は言ったりしない。お茶を飲みながら、よく眠れた、と母が言ってくれたのは嬉しかった。名古屋からLINEで母と話すと話題は睡眠で、かなりの頻度で、今日は眠れなかった、になるので。僕の方は色々考えてしまってあまり眠ることが出来なかったんだけど。

「クマガイ電工 沸かし太郎 SCH-901」があればもう少し快適なお風呂ライフになるかもしれないが、4万円も払う価値はあるのだろうか、僕はそう母に尋ねた。母はとりあえず昨日のお風呂で十分だとは言ってくれた。僕も「たまに銭湯へ行けば十分凌げる感じだよ」。しかし母は「銭湯には怖くて行けない」そう答えた。2,3か月もこの状況が続くと果たしてどうなるか。僕もその間東京にずっと居られるわけでもない。今後に対する名案が出ないまま、ドアチャイムが鳴った。

母も言っていたのだが、東京ガスのSさん(仮名)はとても温厚でいい人だった。なので気兼ねなく色々質問することが出来た。見積もりを渡される際に、まず、本当にそんなに納期が待たされることになるのか、と尋ねた。Sさんは申し訳なさそうに、「明日には2月になります。ならばどうしても5月頃になってしまうんですよ。今納品が行われているお客様は、大体10月頃申し込まれた方なんです」。ネットでも見た通りの話だった。更に状況が悪化するとは言わなかったまでも、2,3か月の2の方にはならず、3の方、そして前倒しで早まる可能性はないということは理解出来た。

「ネットで、沈めるだけで湯沸かし出来る電気グッズ、があるんですが、ご存じですか」。知ってます、そして使っている方が結構います、ただ漏電等の問題があったか等は私からは何も保証できないのでコメント出来ません、と、Sさんは自分の管轄外のことなのに知っていることならばと教えてくれた。

「湯沸かし器は本当にどこにもないんですか?Amazonで検索していたら、幾つか見つけたんです」。そう僕は言って、

“パロマ 20号ガス給湯器 【オートタイプ】【給湯+おいだき】壁掛型(都市ガス) 都市ガス FH-2010AW-13A”

をスマホ越しにSさんに見せた。「本当だ、Amazonにはあるんですね...」。

続く

その8はこちら。https://note.com/tomohasegawa/n/n84527c5c2eb6


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