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N尾さんはシバきたい

今ではあまり使われない表現だが、
関西弁で『茶をしばく』という言葉がある。 
『ちゃーしばく』と読む。

『カフェでお茶する』という意味だ。

僕は珈琲、紅茶、緑茶が大好きだ。
というかスイーツと一緒に嗜むのが幸せだ。

だからといって五ツ星ホテルのロイヤルでトレンディなコーヒーにスペシャルなスイーツが最高と言うわけではない。
むしろ高級な食材ほどアレルギーで死にかける。
えび、いか、たこ、かに、魚卵全般がダメ。
スイーツに使われる中ではピスタチオとカシューナッツは僕にとっては猛毒に他ならない。
緑色したスイーツの名称に『抹茶』『よもぎ』という文字が無ければ全力で忌避する。
これら高級アレルギー食材は結婚式の披露宴などで使われがちだ。

とある結婚式で前菜として茹でた輪切り大根に松葉ガニのあんかけをかけた和洋折衷料理が出たことがあった。
事前にアレルギー食材を伝えていたため、あんかけが取り除かれたものが出てきたのだ。
僕は出てきた輪切りの大根を見て思わず呟いた。

『おでんやん…』

それはまごうことなき「大根のおでん(単品)」
仰々しい大皿に小さな円柱が中心にポツン…。
おい、シェフを呼んでくれ。
いいか、カニだけを取り除け。
なぜ、あんかけごと取り除いたんだ。
その呟きが新郎に聞こえており後々になって、

『中尾には申し訳ないことをした』

と、半笑いで謝られた。
『おでんやがな!』と言って、
しばいた方が良かったのだろうか。

いや、違う。
友人をしばきたい話をしたかったわけではない。

茶をしばきたい話がしたい。

紅茶はアールグレイ。
緑茶は知覧。
ホットコーヒーはファミマ。
アイスコーヒーはサンマルク。

これに芋けんぴがあれば僕は生きていける。
なんと安上がりであろう。
だいたい300円で幸せになれるのだ。

紅茶は高温で抽出するが、
緑茶はやはり80℃が良い。
70℃や水出しは中途半端に薄く感じてしまって、うまく抽出できない。
その点、氷出しは成功確率が高い。
低温になればなるほど苦味は減る。
抽出時間が長くなればなるほど旨味もでやすい。
この絶妙なバランス。
苦味重視が80℃。
旨味重視が氷出しなのである。

コーヒーに関しては最高に出会うのが難しい。
コーヒーの味を構成する要素にも色々あるが、その中に大の苦手とするものがある。

それは『酸味』である。

ネスカフェのゴールドブレンドを崇め奉る勢力がある。
迷ったら金色のパッケージを買い物かごに入れとけば間違いないとする、そこのあなた。
確かにゴールドブレンドは美味い。
コク・旨味・苦味ともに高い水準でバランスが取れていると思う。それは認める。
しかし、酸味も強い。
コーヒーコーナーで金色の瓶を手に取り、毎回、悩むまではいく。
だけど結局、買うのはUCCの117なのである。
これは酸味が少なく、苦みが強い。
値段もゴールドブレンドより安くてコスパもいい。ダバダー♪どうも違いのわかる男中尾です。

で、酸味が少ないアイスコーヒーの筆頭として僕が全力で推すのがサンマルクのアイスなのだ。

僕だけかな?と思ってGoogle検索してみた。
そしたら、サジェストで

『サンマルク アイスコーヒー 泥水』

って出て、もう、シバいたろか!と。
って誰をシバくんだ。
僕が愛してやまない泥水が、アイスコーヒーと呼ばれ…じゃなかった。
アイスるコーヒーが泥水呼ばわれされている現実に僕は苦虫を噛み潰したような顔になった。
だけど苦いのが好きです。

え?そんなにマズいですか…??
サンマルクのアイスコーヒー。
僕、超美味しいと思ってるんですけど?

ローソンのアイスコーヒーも中々イケる。
ファミマは…ちょっと酸味強いけどまぁイケる。
セブンは強すぎる。
けど、世間の人気はこの順番の逆行な気がする。

まあ少数派に入ることは慣れている。
僕はサンマルクのアイスコーヒーで十分に幸せになれるのだ。
嘘か真かサンマルクのアイスはチョコクロに合うように設計されていると聞いた。
なるほど、チョコレートの酸味の分、コーヒーの酸味を抑えてるなら納得だ。

更に上を目指すなら『水出しアイスコーヒー』が最高であるが、近所のスーパーでは中々お目にかかれない。
豆からいくとなれば、設備が整っている喫茶店にいくしかない。
僕の地元、堺を中心に店舗を展開している『桜珈琲』というコーヒーチェーンがある。
ここの水出しアイスを初めて飲んだ時、脳がトロけるかと思った。
あれは夏の暑い日で、喉が乾いていたのも手伝ったのかもしれない。
ストローで吸い始めた瞬間に衝撃が走り、そのままゴクゴク吸い続けた。止まらない。
灯油ポンプさながらに自動で胃に流れ込むようだった。
息が続かず、ストローから口を離し、ため息を吐いた時、意識が揺らいだ。
風が語りかけるレベルの美味さなのである。
そういえば長いこと飲んでいない。
一杯800円くらいだった気がする。
一晩掛けてドリップしているらしい。
納得のお値段である。

僕は本当は嫁さんと昔みたくシバき続けたい。 
新しいお店を開拓したい。
子どもが生まれてから、シバけなくなった。
前述の『桜珈琲』は中々子連れで行けるような店ではない。

んにゃ、お店に行くのもいいけど…

仕事終わりの食後、アールグレイをテーブルに置いて、芋けんぴをポリポリしながら、ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド(ティアーズオブザキングダム)をプレイしていたあの日々は…

ボコブリンをシバきまくっていたあの日々は…

最高だったなァ…

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