私にとっては何でもない日なんだけれども。

図書館のカウンター、今日のおすすめ本コーナーにサラダのレシピ本と俵万智の歌集が並んでいるのを見て、あぁ今日はサラダ記念日だと思い出した。

中学時代、感性は違うけど馬が合った友達が「今日はサラダ記念日だよ、七夕イブじゃないよ」と言っていた印象が強いせいで、毎年7日になってから、あぁ昨日はサラダ記念日だったなぁと思っていたので、当日に思い出せたことが漠然と嬉しい。

「図書館」と「サラダ記念日」の組み合わせも、「サラダのレシピ本」と「俵万智の歌集」の組み合わせもぴったりで、なんだか意味もなく胸がきゅんとする。

一方で、コンビニではサラダ味のスナックにゴテゴテとしたPOPがついていて、えぇ世の中そんなものなのですかと「サラダ記念日」で検索すれば記念日にかこつけたキャンペーンのまとめサイトがヒットした。

ねぇ、それはちょっと、違うんじゃないの。

大きな声で叫ぶ勇気はないけれど、無視できない程度にはザラリとしたものが残る。なんというか、もっとこう、商業的戦略とは関係のない、銭の匂いのしない瑞々しい話であって欲しかった。当日に思い出せるとなんだか得した気分になる、そのくらいの“淡さ”が似合う。そう思っていた。

教科書で初めて読んだ日ではなくて、いつか思い出した日に良さがわかったり。どこかのカップルが、ふざけていろいろな記念日を量産していたり。そういう、ささやかだけど、ちょっとキラリとする、金平糖みたいなかわいいものを生んできた歌じゃないのですか。少なくとも私にとってはそうなんですよ。

とはいえ。別に私にとって何の記念日でもないので、今日の夕飯は胡麻和えとおひたし。しょんぼりしながら、ビールを開けたいのをグッとこらえながら。

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