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劇団四季『ひばり』観劇

2024年の観劇はじめは劇団四季の『ひばり』。なんとこれが人生四十ン年目にして初の劇団四季。

演劇を習っているくせに、人生でこれまで四季を観たことがなくて。
方々で幾度となく非国民扱いを受けていたのだが、やっと人間になれたような気がする。

『ひばり』への思い入れ

『ひばり』は、5年前に演劇のワークショップ公演で実際に舞台で演じた作品だ。実にこの時が人生で2回目の舞台。今振り返っても、経験浅めの社会人だらけのワークショップ公演で、この作品を選ぶのはクレイジー過ぎるだろとしか思えない。

その時に演じた役はコーション。実在の人物でもあったこともあり、とにかく時代背景、宗教、ジャンヌダルクの人生…いろんな本を読み漁って役作りをしたことを思い出す。やり方が適切だったかは分からないが、今までで間違いなく一番役の背景理解に時間をかけた作品であることは確かだ。

公演自体は素人なりに頑張った、というレベルを超えたものではなかったと思うが、それなりにやり切った感はあった。ただ、その時の一番の心残りは、本来3時間半近くもあるこの脚本を2時間弱にするために、あちこち大幅なカットがされ、ただでさえ難解な脚本なのに様々な背景や説明がお客さんに伝わらず、ほぼ初見の人には理解不能な作品になってしまったことだった。

分かりやすくなっていた『ひばり』

今回『ひばり』を観ての一番残っている感想は「こんなに分かりやすくなるのか!」ということだった。

今回の劇団四季の『ひばり』は、休憩除くと2時間25分。
予想通りあちこちのセリフがカット(ハヤカワ演劇文庫のアヌイ戯曲をベースにすると。でもそもそも初翻訳は劇団四季の舞台に合わせていたことをさっき知った)されていたのだが、話の骨格や登場人物の心情理解に必要なところがスマートに残されていたように思った。あと、言葉をところどころ分かりやすく言い換えていて、分かりやすさを後押ししていた。

そして、さすがプロ、役者の皆さんのセリフの言い回しや表現の明瞭さがすごくて、何が起きているのか、何が語られているのかがすーっと入ってくる。作品を観ながら、作品のいろんな解釈やメッセージが改めて腹落ちした感じがあって、これを観てから改めて演じてみたいと思ったくらいだった。

座席の問題?好みの問題?感受性の問題?観方の問題?

一方で、今回観ていて感情が動かされたり、目が離せないと感じるかといわれると、そういう感覚はなくて。(隣の人はいびきかいて寝てたしね…)。Xとかで他の方の感想を見ていると、お話は難解で分からなくても役者さん、特にジャンヌ役の五所さんの演技に感動した人が多かったようなので、これは自分の問題なのかな。

座席が1階席の一番後ろで、舞台との距離が遠かったせいかもしれない。
単純に自分の感受性が鈍すぎるのかもしれない。
普段小劇場ばかり見てるから、役者の表情や息遣いも含めて感じることに慣れ過ぎているのかもしれない。
自分が演じたことがあるせいで、無意識のうちにそれと比べたり、台詞の言い回しとかに気を取られながら観ていたのかもしれない。

ボードリクールとシャルル7世、異端審問官の方の演技が好きだったかな。あとはやっぱりコーションの深みと厚み、存在感は凄かった。


もう少し観てみないと、自分が劇団四季を好きになるのかも分からない気がした。自分はストプレ小劇場が好きなのかなと勝手に思っているけど、ミュージカルも食わず嫌いだし、今年はもう少し観る作品の幅を広げてみようと思う。



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