デルフト工科大学院:インタラクションデザイン研究科について

初めまして、デルフト工科大学(TU Delft)のインタラクションデザイン研究科の修士2年の木原 共です。研究留学に関するAdvent Calendarの記事として、TU Delftの紹介をしたいと思います。デザイン留学を考えてる方の参考になればと思います。

大学院について

私が所属している学科はインダストリアル・デザインエンジニアリング科のインタラクションデザイン研究科 (Master of Design for Interaction)です。この学科はデザインとエンジニアリングを駆使して、社会の課題に立ち向かうプロダクトを開発する機関として長い歴史があります。

社会実装に非常に重視しており、数年前にはAEDが乗ったドローンを開発した修士研究が話題になっていました。

学部生が使用する教科書が、日本ではデルフトデザインガイドとして出版されています。

オランダ語でやるの?と思われる方もいると思いますが、修士以降のプログラムが全て英語で行われるので、英語が話せれば全く問題がないです。同期は国際色が豊かでアメリカ・インド・アイスランドなど様々な国から来ています。

RCA, MIT, TU Delft…他に検討した大学院

社会課題に立ち向かうデザインを実践を通して研究したかったのですが、デザインリサーチを専門的にやっている大学院が日本に殆どありませんでした。

そこで、慶応SFCの学部を卒業したタイミングで、欧米のデザインスクールを受験することにしました。CIID, Stanford,MIT Media LabやPolitecnico di Milano などを検討し、最終的にRoyal College of Art : Innovation Design Engineering科とTU DelftのInteraction Design科を受験しました。

両方とも合格しましたが、デルフト工科大学院に出したポートフォリオと修論のプロポーザルの受けが良く、奇跡的にオランダ政府の国際奨学金に通って全額学費免除になったので、RCAを辞退してデルフトに進学することにしました。この過程でデザインスクールの受験や、欧州の奨学金事情に詳しくなったので、また別途記事を書きたいと思います。


<人 - 物 - 場 - 社会文脈> のインタラクションデザイン

デルフトにおけるインタラクションデザインは、「人 - 物 - 場 - 社会文脈」の関係性を包括的にデザインすることに重きを置いています。

Human Computer Interaction(HCI)の研究には技術先導型のInteraction Paradigm派と、近年注目を浴びつつある、実際のコンテクストの中におけるインタラクションに着目するPractice Paradigm派がいます。(詳しくはCHI 2014のKari Kuttiらの論文を参照)

引用 : The turn to practice in HCI: towards a research agenda, CHI2014

デルフトで学術的なインタラクションデザインの研究を行うId Studio Labでは、後者のPractice Paradigm派の教授が多く、病院や学校といった状況の中でのインタラクションデザインに着目した研究が多く行われています。

例えば、介護施設における認知症患者が座って塞ぎ込みになることを防ぐMagic Tableというプロダクトの研究などが行われています。

引用 : ‘Magic Table’ gets dementia patients moving

また、この学科の卒業生は、いらなくなった物を他人にあげることができるプラットフォームとしてGoedzakという袋を提案し、それを元に起業をしています。

引用 : Goedzak sustainable rubbish sacks by Waarmakers | Dezeen

このように<人 - 物 - 場 - 社会文脈>の間にある相互作用を読み解き、状況に介入するデザインの実践が行われているのが特徴です。

一見地味ですが、確実に社会をよくするものをレイモンド・ローウィが提唱するMAYA (Most Advanced Yet Acceptable)の考え方を元に社会に実装するプロジェクトが多いです。

なにを研究でやっているのか?

具体的な修士研究の内容としては、「物乞い」の行為を遊び的な介入を通して、Street Debaterという新しい職業に変えられないかを研究しています。詳しくはこちらの記事にまとまっているので是非ご覧ください。

また、使われなくなったスマホを再利用する方法を考える、phonvertというプロジェクトをWaag Societyという公的なデザイン機関にてインターンとしてやっています。このプロジェクトについてもnoteにて今後、紹介していく予定です。

最後に

以上、簡潔に大学院で行われている事と私の研究の紹介を行いました。noteを始めたばかりなので、まだ手探り状態ですがtakramの牛込さんのようにnoteでは日本語での発信をし、mediumでは引き続き英語の情報を発信していく予定です。

私のその他の研究については、こちらの個人サイトにまとまっています。(近いうちに日本語も対応します...すみません...)

デザイン留学を考えている方、オランダのデザイン界隈に興味がある方がいれば色々と相談などに乗れると思うので、是非気軽に連絡をください。

アムステルダムかデルフト付近によくいるので、近くに来られる場合はご飯を食べにいきましょう。美味しいヘリングがある店をたくさん知ってます!

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もしサポートをいただけたら、修士研究の研究費用に全額つかわせていただきます。

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