伊右衛門に学ぶ、人の真・善・美に向き合ったユーザーリサーチ

お茶と言えばサントリー伊右衛門。

野中先生の「イノベーションの作法」にて伊右衛門のユーザーリサーチ→イノベーションストーリーが紹介されていてとても面白いです!

日本人にとってのお茶の本質を言語化、概念化する開発プロセスは、ユーザーインサイトをつかむとはどういうことか?を考えさせられます。

ぜひ、みなさんに共有できればと思い、伊右衛門の①メタファーを活用したユーザー調査→②潜在意識をコンセプトへ落とし込むというプロセスをまとめてみました。

①メタファーを活用したユーザー調査

伊右衛門の開発にあたり、よくあるユーザー調査にある定型的な質問ではなく、開発チームはこんな質問をしたようです。

答える側の思考を刺激し、潜在意識をあぶり出すような設問に知恵を絞った。例えばこんな質問だ。
「急須で入れたお茶は、あなたにとってどんな存在ですか。人・モノ・動物等に喩えてください」
「お茶を飲んだことのない外国人に急須で入れたお茶の味を誉めるとしたら、どのようにいいますか」
「『今日から一年間、急須で入れたお茶をいっさい飲んではいけない』」という法案が可決されます。あなたは国民の代表として、緑茶を飲み続けることができるように反論しなければなりません。どのように反論しますか」

ユーザーの潜在意識を掴むためには、「深い問い」が必要。

形式的なインタビューや、定量的なデータを集めるだけで終わるのではなく、コンセプトを掘り下げるような質問を考え、ユーザーを含めて共有することでインサイトの発見につながる可能性があるということがわかります。

さらに、伊右衛門のコンセプト生成のリサーチはモニター形式で行われたようです。あえてモニター調査とすることでユーザーの本音を引き出すことを狙ったようです。

答えにくい質問でも、というよりは答えにくい分、多くのモニターたちがネットの向こう側の見えない質問者に向けて懸命に答えを考えてくれた。「外国人にお茶の味を誉めるとしたら」の質問には、「五感を駆使して感じる自然のおいしさ。日本の豊かな自然を感じさせる一品」という回答があった。

②ユーザー調査から共通のテーマを設定

①のリサーチから設定したのは『大人の哺乳瓶』というメタファー。
このコンセプトから、あの独特のフォルムと、誰もが記憶にあるだろうCMが生まれたようです。

働く大人の哺乳瓶。
働く男が帰りたくなる家。

この2つのテーマを考えながら、CMをみてみる。

シリーズを通して見ると、その完成度の高さに驚かされる。

ほとんどの人が「仕事中の一息」として、お茶飲料や缶コーヒーを飲んでいたが、そのときの心理を掘り下げて、最後に「大人の哺乳瓶」というイメージにたどり着いた。ホッとする時間、へこんだときにそばにいて欲しい人、癒し、安らぎの場・・・と連想をたぐっていって、「働く男が帰りたくなる家」という伊右衛門のCMテーマが決まったのだ。

ユーザー調査で理解した、顧客の潜在意識を「大人の哺乳瓶」というコンセプトに落とし込んだチームあっぱれです。

伊右衛門のコンセプト生成プロセスから学べること

①質問の方法
プロダクトやサービスにまつわる暗黙知を掘り起こすための質問をする。
そのために、質問にメタファー(喩え)や場面設定を使うなど工夫し、答える側も自身の原体験を反すうしないと答えられないような問い方をする。

②チーム全体で共有言語を設定
納得のいくキーコンセプトを設定する。ユーザー調査で満足しない、分析して満足しない。

競合調査やデータ分析により、相対的な価値を見出すことだけではなく
本質を追求して、プロダクトやサービスの絶対的な価値を発見していきたいものです。

人の真・善・美に向き合ったユーザーリサーチ

伊右衛門の開発は、なぜ成功したのかを考えたときに
日本人にとっての緑茶の真・善・美に目を向け、緑茶飲料の理想を追求するチームの姿勢が根本にあったことを忘れてはいけないし、僕たちマーケッターが学ぶべきこと。

そして、調査の方法論より、何とかユーザーのことを理解しよう、お茶と生活との関係性を根本的に問い直そうといった調査に取り組む前のスタンスがあったからこそ、伊右衛門の商品開発は成功したのだと思うのです。

ユーザーの真・善・美に目を向けたユーザーリサーチを直近のテーマにしていきたいと思います!

多くのマーケターが、自分の心の奥底では消費者を一番にしていないことを認めるべきだ。消費者の信頼の低下がひとつにはマーケティングのせいだとしても、この問題を解決する最大のチャンスを手にしているのもマーケティングである。なにしろマーケティングは、消費者に一番近いところで行われる経営プロセスなのだから。マーケティング3.0

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