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ドイツの超優良中小企業「ケルヒャー」に学ぶ顧客志向マーケティング

ビジネスモデル図解のDAY5です。

先日にご紹介した中小企業の再生モデルに関する記事が予想以上に好評を頂きました。 
読んで頂いた方々ありがとうございます!

こちらの記事は、中小企業(老舗旅館)がテクノロジーを活用してビジネスモデルを転換した事例について分析してみました。

今後も中小企業の事例が競争優位性を発揮している事例の分析は進めていきたいと考えています。

今日も中小企業のモデル企業を分析してみます!

中小企業の戦略はドイツから学ぼう

さて、ドイツは国際的に競争力のある中小・中堅企業の数が多いことで有名なのはご存知でしょうか?※今日はドイツ企業の分析です。

第13回「ドイツ経済を支える強い中小企業『ミッテルシュタンド(Mittelstand)』」

ドイツでは競争力のない中小企業は「ゾンビ企業」と呼ばれ、国民のなかにゾンビ企業を永らえさせようという発想自体がないため、銀行はとても冷たく、淘汰されていく。今、ドイツの中小企業の黒字化率はほぼ100%に近いと言われている。ドイツの中小企業は、大企業を凌ぐペースで成長し、欧州の他国と比べてもドイツの中小企業は付加価値および雇用者数の双方で大きく伸びている。雇用を吸収し、失業率低下に大きく貢献したのも大企業よりむしろ中小企業である。このためドイツにおいて中小企業は国の経済の屋台骨を支えるという意味を込めて「ミッテルシュタンド(Mittelstand)」と呼ばれている。

ドイツは国の産業政策により、中小企業の国際的な競争力を引き上げているのです。

では、どのような特徴をもった中小企業が、世界で活躍しているのでしょうか?

カスタマーセントリック(顧客中心)戦略で優位性を築くチャンピオン企業

チャンピオン企業??

チャンピオン企業とは、無名の中堅企業ながらも、コアとなる技術や顧客との強い関係性をもち、世界市場で大きなシェアを獲得している企業のことです。

チャンピオン企業と呼ばれる企業の特徴として、顧客との距離感の近さがあげられます。←ここが今日のテーマです!

隠れたチャンピオンの全般的な強みは、お客さまに近いことです。88%の隠れたチャンピオンが、技術よりもお客さまの距離感が重要だと語っています。さらに、隠れたチャンピオンの38%の従業員が、定期的に顧客にコンタクトをしている。一方、大企業の場合には8%にすぎません。【ヘルマン・サイモン講演】隠れた世界企業チャンピオン

チャンピオン企業の特徴として、技術力より顧客との距離感の近さがポイントとのこと。

グローバルにビジネスを展開し、顧客との距離感を近くするとは具体的にどういうことでしょう?

ここから事例を見ていきたいと思います。

カスタマーセントリック戦略(顧客中心戦略)を武器に躍進するケルヒャー

チャンピオン企業の代表例として紹介されることの多い、ドイツに本社をもつケルヒャーという会社についてビジネスモデルの構造を分析してみます。

ケルヒャーは、清掃機器の世界最大手メーカー。高圧洗浄機をはじめとして、スチームクリーナー、床洗浄機、スイーパー、バキュームクリーナー、ドライアイスブラスターなど3,000種類の清掃機器を有しています。

日本国内でも業務用、家庭向け商品を発売。家庭用高圧洗浄機の分野では約70%もの圧倒的シェアを誇っているようです。

このケルヒャーは日本の中小企業にも大きなヒントを与えてくれる事例なのです!

ビジネスモデル図解から、チャンピオン企業の特徴を理解していきましょう。

ビジネスモデル図解

独ケルヒャー「中小企業のグローバル化」に成功

上記の記事にある通り、ケルヒャーは現地の市場ニーズに合わせて徹底的にサプライチェーンをカスタマイズしているようです。

業務用市場でも、清掃機を農業機械に使うのであれば、使用するのは主に平日です。部品の不具合や故障など、何かあれば週末にディーラーに行くことも出来ます。しかし、ビル掃除やスーパーの清掃など、業務用と言っても都市部の使用が中心なら、故障などがあるとすぐに対応が必要になります。我々はそうした市場の状況に合わせたサプライチェーンを徹底して作ってきました。日本では17の支店・営業所を設け、部品の交換や修理の技術者派遣などに即座に対応できるようにしています。

市場ニーズに合わせてサプライチェーンを作るという発想は、技術力がある企業が忘れがちなことだと思います。

ケルヒャーは、グローバルで3000億円を超える売上規模になっても、カスタマーセントリック=顧客中心主義を掲げ、市場に適応している。

ケルヒャーから学べるポイントまとめ

ケルヒャーから日本の中小企業が学べる点はこの3つです。

①グローバルで競争力を発揮することを前提に事業戦略をつくること

②顧客の痒い所に手が届くサービス=カスタマーセントリック(顧客中心)戦略を実践すること

③本社管理で競争力をつくる部分と、ローカライズして競争力をつくる部分を使い分けること

中小企業が優位性を築くためには、明確な選択と集中をすることはもちろんのこと、ニッチな市場で顧客ロイヤルティを高め続けるためのカスタマーセントリック(顧客中心)戦略が必要ということが、ケルヒャーから学ぶことができます。

隠れたチャンピオン企業たちから学び、国際的な競争力が高い中小企業を、もっと日本から生み出していきたいですね!

今後も日本の中小企業のモデルケースとなる企業の分析は進めていきます!!