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介護士さんのやさしい笑顔に救われて


#やさしさに救われて
私は3ヶ月間だけでしたが住宅型有料老人ホームで清掃の仕事をしたことがあります。

3ヶ月間だけしかお仕事が続けられなくて申し訳なかったと思っています。

そんな3ヶ月間の中で私にとって天使のような介護士さんがいらっしゃいました。

元々は施設内の清掃は介護士さんの仕事だったので、介護士さんから仕事を教わることになっていました。

彼女は40代くらいでショートカットが似合う小学校の先生みたいな感じの方でした。

他の介護士さんからも仕事を教えてもらったのですが、介護士さんはみんな常に忙しそうで、いつも小走りで少しイライラ気味なわけで、私が天使だと思った彼女がいなかったらもっと早く辞めていたと思います。

清掃の仕事の引き継ぎというのは、ほとんど掃除箇所と掃除道具置き場を教えてもらって終了というところがほとんどです。

彼女は、
「掃除道具で何か必要なものがある?」
「何かあったら言ってね。買ってくるから。」

と言ってくれ、ボロボロの古タオルを使っていたのが使いにくかったのでマイクロファイバークロスを数枚買ってもらいました。

そんなことでもすごく嬉しかったのです。

たくさんの介護士さんがいて、居住スペースには清掃人だけとなることがほとんどで、たまに会うと
「大丈夫?」
と、ニコニコ笑顔で、肩をポンとたたいてくれる。

朝や帰り際にたまたま事務所で会うと笑顔で何か声かけてくれる。

一瞬でも彼女の笑顔に出会えれば救われていたので、彼女に会えなかった日は残念な気持ちでした。

私が担当していたのは居住スペースの共有トイレと洗面台の掃除と居室のトイレと洗面台の掃除でした。

高齢者ご本人は朝9時頃からみなさんほぼ強制的に隣のディケアルームに連れて行かれ、運動したり、発声したり、とにかく居住スペースには誰もいませんでした。

トイレの掃除を40ヶ所くらいやっていると、だんだん気が滅入ってくるのです。

信じられない汚い所もあるのですが、一生懸命自分でも気持ちを明るく、この部屋の方がデイケアから帰ってきたら、うわーっキレイになってる!気持ちいいね〜って思ってもらうんだと気持を奮い立たせて頑張ってはいるのですが、30ヶ所過ぎた頃からフラフラになってきて、倒れそうになっていました。

そして、辞めることにしたのですが。

辞める時に、例の天使の介護士さんが、
「えっ〜!辞めると〜?」
と残念そうに言ってくれて

辞める日の朝、
「帰る前に声かけてね。」
と言われ

何とこっそりプレゼントをいただきました。

私はビックリしてしまって、

彼女は
「勉強させてもらったから。」
と言いました。

その言葉が不思議で、私こそ忙しくても常に優しい笑顔で穏やかでいる彼女が素敵だと思ったのに。

私は20年前くらいから、いろいろな清掃の仕事ばかりやっていて、掃除についての生意気な意見も言ったかもしれません。

素敵な笑顔に救われた三ヶ月間でした。
彼女の笑顔は忘れられません。


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