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16歳のスウェーデン人環境活動家、グレタさんの2019年ダボス会議スピーチ全訳

16歳のスウェーデン人環境アクティビスト、Greta Thunbergさん(日本語表記はグレタ・トゥーンベリやグレタ・トゥンベルクなど複数あるようです)がノーベル平和賞候補にノミネートされたとのこと。今年のダボス会議でのスピーチは圧巻でした。検索してみましたが全訳が見当たらないので、「勝手に翻訳シリーズ第2弾」、ダボス会議でのグレタさんのスピーチを翻訳してみました。

↓スピーチの映像はこちらが見やすいです(一部編集されています)


以下は、スピーチ全文の翻訳です。

"Our House is on Fire"

私たちの家は火事になっています。私はそのことを伝えに来ました。私たちの家が燃えているのです。
IPCCによると、私たちが犯してきた過ちが取り返しのつかないことになるまで、あと12年もありません。
12年以内に、二酸化炭素排出量を現在の半分以下に抑えるべく対策を講じるなど、私たちの社会はあらゆる面で過去に例のない変貌を遂げなければいけません。
ただ、今言った数字には、公正さは反映されていません。パリ条約が世界的に機能するには(訳注:各国間の、つまり先進国とその他の国の間の)公正の概念は絶対に必要です。また、この数字には、北極の永久凍土が溶けることにより排出されるメタンガスの悪影響も反映されていません。
ダボス会議のような場所では、皆さんは成功物語を語りたがります。しかし、今までの経済的な成功はとんでもない代償を伴ってきたのです。気候変動の問題に関しては、私たちは失敗したと認めなければいけません。現在までのあらゆる政治的な動きは失敗に終わりましたし、メディアは気候変動に関する大衆の理解を醸成することに失敗しました。
しかし、人類が失敗したとはまだ言えません。
失敗しつつはありますが、まだ方向転換する時間はあるのです。私たち自身が解決できるのです。まだ私たちの手に全ては委ねられています。しかし、現状のシステムの失敗を認識しない限り、私たちに勝ち目はないでしょう。
私たちは今、恐ろしい危機に直面しており、莫大な数の人々が声もなく苦しんでいます。礼儀正しく伝えることや、言って良いことと悪いことを気にしている場合ではありません。はっきりと事実を話すべき時なのです。
気候変動の危機を解決すること は、人類が直面した問題の中で最も困難で複雑な課題です。しかし、その解決策は、非常に簡単で、子供にも理解できるものです。温室効果ガスの排出を止めれば良いのです。
やるか、やらないか、それだけです。
大人は、白黒はっきりつけられるものなどないと言います。しかし、それは嘘です。とても危険な嘘です。私たちは、1.5度以上の温暖化を防止するか、しないか、どちらかです。人類の手に負えなくなる不可逆的な気候変動の連鎖反応を引き起こさずにすむか、すまないか、どちらかです。
私たちが築いてきた文明を紡ぎ続けるか、諦めるか、どちらかです。これ以上白黒はっきりしていることがあるでしょうか。人類が存続するかしないかの問題に、グレイゾーンはないのです。
私たちには、選択の自由があります。未来の世代が快適に生きていけるよう今変革を起こすことができます。あるいは、今まで通りのやり方を続け、失敗することもできます。
これはあなたと私にかかっています。
いつの日か、活動家は必要なくなるべきでしょう。政治家に全てを任せ、変革を望むなら選挙に行けば良いのです。しかし、政治に変革の意志がない場合、どうしたら良いのでしょう。私たちが必要とする政治的な動きが全く見当たらない時、何をすれば良いのでしょうか。
このダボス会議では、他のどこでもそうですが、皆、お金のことを話しています。お金と経済成長だけが大事な関心事かのようです。
気候変動の危機は、危機とみなされていないため、気候変動が私たちの毎日の生活にどのような影響を及ぼすのか、一般の人は全く気付いていません。カーボンバジェット(炭素予算)というものが存在し、残されたバジェットがどれだけ小さいかということを、つまり、私たちが排出できる二酸化炭素の量はほとんど残されていないということを、一般の人は全く知らないのです。この状況を今日から変えなければいけません。
カーボンバジェットがどんどんなくなっていることを一般の人に知らしめ理解してもらうことほど重要なことは現代にないはずです。カーボンバジェットこそ、新たな世界的通貨となり、未来のそして現在の経済の中心となるべきです。
私たちは歴史的な転換点にいます。私たちの文明そして地球の生物圏全体を脅かす気候変動危機を少しでも理解している人は、それがどんなに気まずくそして経済的な不利益を伴うことだとしても、はっきりと明快にメッセージを伝えなければなりません。
私たちは、現代社会のあらゆる側面を変えなければいけません。あなたの二酸化炭素排出量が多ければ多いほど、道徳的義務は大きいのです。属する組織が大きければ大きいほど、あなたの責任は重いのです。
大人は皆、「若い世代に希望を与えないといけない」と言います。しかし、私はあなたたちの希望など要りません。あなた方に希望を持ってほしくないのです。むしろパニックに陥ってもらいたいです。私が毎日感じている恐怖をあなた方にも感じてほしいのです。そして、行動を起こしてほしいのです。
危機の真っ只中にいるかのように行動して下さい。家が火事になった時のように行動して下さい。実際にそうなのですから。

16歳の小柄な高校生に、こんな重責を押し付けてしまった私たち大人は何をやっているのか…。グレタさんはアスペルガーの診断を受けているそうです。グレタさんがたった一人でスウェーデンの国会議事堂前で座り込みの抗議活動を始めたのは去年の8月。彼女のFBには、「背後に大人がいてやらされているんだろう」「自閉症の子供の言うことなど聞く意味がない」など、数々の誹謗中傷を受けてきたことが書かれています。現在、1人で始めたストライキの抗議活動は、学生が金曜日に学校に行かないことにより気候変動の問題解決を政府に迫る"Fridays for Future"という運動となり、全世界に広まっています。グレタさんのFBによれば、2019年3月15日(金)のストライキは、112カ国1769ヶ所で開催されたとのこと。
私も、今日から出来ることに取り組み、周囲を巻き込んでいかねばいけません。小さくても私に出来ることをやっていきます。

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