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リュックサックの頑丈なファスナー

昨日、満員電車に乗っていたら、目の前にいた人のショルダーバッグのファスナーが壊れていた。スライダーの片方が脱線していている。それを見て、以前私が持っていたカバンのことを思い出した。

5年ほど前に買ったそれはタウンユースのリュックサックで、なかなか良いお値段がしたのだけれど、形が気に入り、どうしても欲しくなって購入を決めたのである。生地が厚く、かなり頑丈な作りで、ファスナー部分は撥水仕様になっていた。その丈夫さをいいことに、私はかなり雑な扱い方をしてしまっていた。勢いよく開け閉めをしたり、大きいものを無理やり入れたりして、特にファスナーには負担をかけていた。

そんなことをしているうちに、ある日、ファスナーが壊れた。テープ部分はめくれ上がり、スライダーが脱線した。他の部分は新品同様なのに、ファスナーだけが壊れてしまったのである。気に入っているし、使えないことはないのだけれど、かなり不便だ。結局、少し経ってから、私はリュックサックを別のものに買い替えた。

「頑丈だから」と気を抜いていたのだ。気に入っているものなら、もっと丁寧に扱ったっていいはずなのに。「頑丈」と「雑に扱っていい」をイコールで繋いでしまっていたのだと思う。私はいつも失敗したあとで、自分の態度を省みる。「後悔先に立たず」なのだけれど、気付くのは、たいていあとになってからなのだ。


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