見出し画像

天井

子供のころ、風邪で寝ているとき、よく板ばりの天井の模様を眺めていた。ぐるぐる・うねうねとした木目が、お化けや動物に見えたりする。

ひとつの天井に何枚もの板が並べて貼られていた。一本の木をスライスして材料がとられているようで、隣り合った板の木目は同じような模様をしながらも、部屋の隅に向かうにつれて形を変えていた。ぐるぐるのお化けの姿も、部屋の隅に行くにつれ小さくなっている。

もひも熱や鼻の症状がひどかったら、天井の観察なんてしていられないだろうから、この記憶は症状が和らいだときのものなのだろう。気持ちは元気で食欲もあるのに、安静にしていないといけない。こんなつまらないことがあるのだろうか、と思いつつ、もう少し学校を休んで、日常生活をサボりたい気もしていた。

今日の昼頃から熱と寒気があり、ベッドで寝ている。気持ちは元気だし、お腹も空いている。鼻も出ないし喉も痛くない。例えるなら、コロナワクチンをはじめて打った日の夜、熱だけがひたすら上がった、あの感じだ。

幼い日を思い出して天井を眺めるけれど、あるのは白い壁紙だけだ。木目を観察する遊びはできないが、この壁紙も嫌いじゃない。つまらなければ目を閉じるだけだ。

明日病院に行く予定だが、明日の朝には平熱に戻っているといいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?