応援
一昨年引っ越した時から、部屋の扉の前に、カタバミが生えていた。私はそれを勝手に「クローバー」と名付けて、心の中で呼んでいた。外から家に帰ってくると、毎日、足元のクローバーが迎えてくれるのだ。
数ヶ月前、アパートの共用部の整備があって、クローバーは硬い土で埋められてしまった。中庭の表面はなめらかになり、歩きやすくなったけれど、クローバーが消えてしまったことは私にとって少し残念だった。
今日、ちょうど取り組んでいる原稿に行き詰まって近くの公園まで散歩に出かけた。小雨が降ってきたので引き返し、アパートのドアを開けようとして、あのクローバーが復活していることに気がついた。
散歩の間にとつぜん生えてきたわけではなく、先ほど部屋を出るときにはすでにあったはずなのだ。それどころか、数日前から少しずつ成長していたのだろう。毎日あんなに元気付けられ、埋められたときにはがっかりしたクローバーなのに、今日になるまで気づかなかった。
私の注意が散漫だから気づかなかったのだろうけれど、今日、私の目にクローバーが飛び込んできたのは、やはり私がそれを求めていたからなのだと思う。「クローバーに応援されている」、そう思って、もう少し原稿を頑張ろう。
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