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タティングレース習得の道のり

タティングレースを初めたのは2011年です。
習得は完全に独学です。たくさんの本から1000を超えるパターンを収集・作成してきました。

始めたきっかけ

以前の職場でマクラメアクセサリーの作成と販売をしていました。
当時使用していたのはタイ製のコットンの蝋引きひもでした。
質感もよく気に入っていたのですが、より繊細なものを作れないか日々思案していました。
そんな時手芸店で見かけたタティングレースの本で、マクラメのタッチング結びと同じ結び目を使われていることに気がつきました。
最初はタティングレースの技術をマクラメにいかせたらよいなという軽い気持ちだったのですが、あっという間にタティングレースに夢中になっていました。今思うと、とても少ない道具でいつでもどこでも作れること、繊細なのにしっかりした構造のレースを作れることに惹かれたのだと思います。

基礎の習得


ダブルステッチ中。糸はDMC SD #80。

タティングレースは小さな舟形の道具=シャトルに糸を巻き、左手の指の間に渡した糸の上下を、右手に持ったシャトルを往復させて結び目を作ります。
シャトル2往復で一つのステッチができます。これをダブルステッチと呼びます。
タティングレースの初めにして最大の難関がダブルステッチです。多くの方が挫折するそうです。
私も初めはなかなかできなかったのですが、太めの糸(レース糸20番等)でとにかく何度も繰り返す内にコツをつかみました。

初心者向けの本に掲載されているのは、ダブルステッチ、輪状の「リング」と線状の「チェイン」、つなぎ方3種類くらいです。これを覚えるとほとんどの本に掲載された作品を作れるようになります。

パターンの収集と作成

それからは、手に入った本に載っているパターンをほぼ全て作るという方法で学んできました。
購入可能な和書·洋書、県内の図書館の蔵書、ネット上の古い本のPDF(主にAntique Pattern Library)と手を広げていきました。絶版になっていて古書でもなかなか見当たらない本を閲覧するために国立国会図書館へも行きました。パターンだけでなくタティングレースの歴史についても、多くの情報を得ることができました。

収集・作成したパターンを分類して貼ったノート

写真のノートは、その過程で収集・作成したパターンを種類ごとに分類して貼ったものです。
現在は全部で6冊あり、収集・作成したパターンは1000を超えました。
作成した一番古いパターンは1850年台のマドモアゼル・リーゴの書籍に掲載されていたものです。その他現在に至るまでのイギリス・フランス・アメリカ・ドイツ・日本・韓国等のパターンを作成しています。海外の美術館(V&A)の所蔵品画像を見ながら一部を復元したこともあります。

現在

たくさんのパターンを実際に作ったことで、タティングレースで技術的に表現可能なことと不可能なことの区別ができるようになりました。
初めはその制限の中でできるデザインを考えていたため、なかなか思い通りの作品を作ることができませんでした。
パターンの収集作成をさらに続けていると、一見不可能に見えるデザインを実現するアイディアが思いつくようになりました。
オリジナルの作品を考える上で一番参考になったのは Elgiva Nicholls の2冊の本です。基礎的な技術でも組み合わせ方を変えたり、糸のテンションのかけ方を変えるだけで、さまざまな表現ができることを知り、より自由に考えられるようになりました。

現在販売·発表している作品の多くは、10年前の自分には実現不可能に感じられるデザインばかりです。
もっと自由に作品を作れるように今もコツコツ作り続けています。

'With two shuttles and an inventive brain, there is no end to the designs that may be invented'
「二つのシャトルと独創的な脳が一つあれば、生み出すデザインに限界はない」

Lady Hoare 'The Art of Tatting'


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