【掌編小説】水しぶき

 朝から雨が降っていた。この間買った新しい傘を差して出かけた。
 新しい傘で歩くのは楽しい。人気のない通りに入ったので、周りに人がいないことを確かめて、傘をくるくる回してみた。少し冷えた掌の中で、プラスチックの取っ手が滑るように回転する。
 突然背後に何かが落ちるべちゃっという音がして、その直後、ふくらはぎの辺りを強く叩かれた。咄嗟に足元に目をやったが、そこには濡れた地面があるだけだった。
 首をかしげつつふと上を見ると、傘に靴とお尻の跡が残っていた。

(トモコからきいた話)

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